サキュバス日記
淫魔の食欲
○月×日
深夜。頬につたうものがあり、眠りながら涎を垂らしたのかと手の甲で拭った。
それが意外な量だったため目を開けた。
「うお!」
すぐ目の前にサキュバスの顔があった。その口もとからダラダラと涎が垂れていた。
「なんだお前の涎かよ!」
サキュバスはいま気づいたかのように手の甲で拭った。
「うわ、めっちゃ濡れてる」
「濡れてる、じゃないだろ、涎垂らすな! 寝顔覗くな!」
ヌチャヌチャと粘液が擦れる音が室内に響いていた。サキュバスのもう片方の手が自身の股間をまさぐっていた。
「ユウくん、ずるいよ。ユウくんはフェロモン出しまくりだから、あたしの躰が反応しまくっちゃって我慢できないィィィ!」
「俺はなんともないんだが」
「それはあたしがユウくんをうっかり食べちゃわないようにフェロモンをマイナス気味にしてるからでしょ! 本当なら、サキュバスのオナニー見て正気でいられる人間なんていないんだから……ああっ、あたしってエライ! あたしってエライィィィ!!」
「あ、ああ……偉いな(うっかり食べられる俺って……)」
「ああああ、嬉しい! ユウくんに褒められた。褒められちゃった!」
サキュバスは思い切り仰け反ると、そのままゴツンと後頭部を床に打ちつけてブリッジの体勢になった。そして股間に伸ばした指のあいだからブシュブシュと液体を漏らした。
「出た! 嬉潮噴いちゃった!!」
「なんだよ、その『嬉ション』的なやつ、ってか床!」
「ああ、だらしなく潮噴いてるとこユウくんに見られてる! 視姦されちゃってるぅ!!」
「いや、視姦してねえし!」
「イク、イク……ホメアクメ、イクゥゥゥッ!!」
「なんだよ、ホメアクメって」
「イグゥゥゥゥゥゥ!!」
サキュバスは躰をいまにも矢を発射するかのごとく弓なりに反らせブルブルと震わせたあと、糸が切れたようにゴトンと床に崩れた。
そして、しばらく肩で息をしていたが、のろのろと立ち上がると「ごめ……ちょ……ちょっと、クールダウンしてくる」と言ってベランダから出て行った。
すっかり目が覚めたのでベッドから降りると、足の裏一面に濡れた感触があった。
今度からは自分が漏らしたものは自分で片つけさせよう。
まるで動物のしつけのようだが。
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