時間遡行者の反逆
1.
魔法少女になるということ……
それは、人知れず孤独な戦いを続けていくということ――だけではないようである。
魔女を倒したあと、見滝原(みたきはら)中学三年、巴(ともえ)マミはその場にぺたんと座り込みスカートを捲り上げた。
「ああ……興奮がおさまらないわ」
魔女と戦いそれを撃退した高揚感でまだ頬を上気させていた。
下着の中から熱くたぎるモノを引き出した。
後ろで見ている一学年下の鹿目(かなめ)まどかの腕ほどもあろうかという巨根であった。
それを両手で扱く。
「あっ、あっ、鹿目さん! こんなはしたない私を見ないで!」
もう何度目かのことである。
マミが見られて興奮していることはまどかにもわかっていた。
まだそういった性癖は理解できないが、マミがそういう性格であることは理解した。
ここ数日、マミの魔女退治を見学している。
キュゥべえという小動物の姿をした不思議な生き物に魔法少女にならないか勧誘され、どうするか迷っていたところだった。
マミは、大事なことだから簡単に決めず、じっくり考えたほうがいいと言って、自分の魔女退治を見学するよう勧めてくれた。
そして、何回か付き添っているうちにまどかの意志も固まり始めていた。
いつもなら黙って見届けているまどかが、マミの正面にしゃがみ、マミの手の上から熱を放っているそれに手を添えた。
「か、鹿目さん?」
「マミさん……いつも、たったひとりで町を守ってくれてありがとうございます。もし、あたしが魔法少女になることで魔女退治のお役に立てるのなら、マミさんの寂しさを少しでも紛らわせることができるなら、あたし……」
「鹿目さん、よく考えて。誰かのために魔法少女になっても後悔するわよ」
「いいえ、何度かマミさんの背中を見てて思ったんです。こんなあたしでも誰かの役に立てるなら、それだけでも素晴らしいなって。その上で、もしマミさんの慰めになるのならそれはとっても嬉しいなって」
「本当? 本当にそう思う? 後悔しない?」
「はい、後悔しません」
「ありがとう鹿目さん。私もう独りじゃないのね。あなたがいてくれれば、私もう何も怖くない!」
「これからはふたり一緒ですよ、マミさん。まだまだ、足手まといかもしれないけど、あたし、魔法少女になります!」
「その必要はないわ」
その人物はこつ然と現れた。
「暁美さん」
「ほむらちゃん……」
まどかと同学年の転校生、暁美(あけみ)ほむらだった。
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