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* Succubus chronicle *
淫魔女王と若き勇者


 「残念だったわねぇ」

 地下迷宮の最下層にて、淫魔の女王は足元でカエルのようにひっくり返った勇者の股間を素足で踏みつけながら嘲笑った。

 「天才とかおだてられてその気になったんでしょう? ここまでたどり着いたのは大したものだけど、童貞のくせに淫魔に立ち向かうなんてアリエナイわぁ」

 「ひっ……ひぐぅ!」

 身ぐるみ剥がされたまだ十代半ばの若き勇者は、怒張したペニスの裏筋をなぞられながら、どぷっ、どぷっと大量の白濁液を吐き出していた。
 すでに腹の上、胸の上は自ら放った精液で白く染まっている。
 勢いのよいものは更に遠くまで届き、あどけなくも端正な顔を淫らに汚していた。
 それに群がるように両脇から幼い姿の妖魔が数匹、顔を寄せペチャペチャと搾りたての精液を舌ですくい取っている。
 限界を遥かに超える射精、それは生命を削り取って精液に変えているようだ。
 しかし、死と直結しているはずなのに、とても甘美で心地良く、それがなおさら怖ろしい。

 「おどき、お前たち。おやつの時間は終わりだよ」

 淫魔の女王は他の妖魔たちを追い払うと、勇者の腰を跨いで立った。
 勇者よりもだいぶ背が高い。
 豊満なふたつの膨らみ越しに見える顔には淫靡な笑みがたたえられ、ウェーブした黒髪の両側からはねじ曲がった角が突き出でいた。

 「童貞チンポはあたしが美味しく頂くわ」

 淫魔女王がゆっくりとしゃがみ込む。
 勇者のものは大量に精を放ったにもかかわらず、淫魔の手に握られるとすぐに硬さを取り戻した。

 「も、もぅ……許して下さぃ……」

 勇者は力無く哀願した。

 「なぁに? 許して欲しいの? だったら、ちゃんと謝ってごらん」

 先端部が淫魔の潤った熱い肉襞に触れたとき、恐ろしい程の性的欲求が湧き起こった。
 それは、生命の泉から生気を一滴残らず汲み上げられることを予感させた。

 「ごめんなさい! 魔王さま、ごめんなさいぃ」

 「うふふ……」

 勇者の必死の形相を見て、淫魔は楽しそうに目を細めた。

 「ダメよ。許して…………ア・ゲ・ナ・イ」

 ずにゅ、と勇者の亀頭が淫魔の秘裂を広げると「ああっ」と彼は初めての感触に歓喜と絶望の混在した声を上げた。

 「まだよまだよ、最後まで辛抱して……」

 ず、ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、と淫魔は容赦なく腰を落としていく。

 「あ、あ、あ……」

 勇者は懸命に射精をこらえているが、あまりの快感に勝手に声が出る。
 長くはかからず、すぐに、ずぬん……と腰が触れ合った。

 「あん……全部入ったわ。よくガマンしたわね。ご褒美よ」

 そう言って淫魔は腰を押し付けたまま前後に動かした。

 「うああああああ!」

 勇者は叫んだ。
 根元は千切れるほど絞め上げられ、先端は淫魔の最深部でザリザリと擦られる。
 竿とカリは、まるでヌメリを帯びた無数の指に掴まれ、凄まじい握力で激しくしごかれているような感覚である。
 淫魔から与えられる快感は、たとえ童貞でなくとも耐えられるはずはなかった。
 ドピュッ、ドピュウッとあえなく淫魔の中で射精する。

 「あはは、キタキタァ! 天才童貞剣士の膣内射精キタァ」

 淫魔はだんだんと激しく腰を動かしていく。

 「ああああああああ!」

 勇者の意思に関係なく、腰がのた打ち射精が続く。

 「とっ、止まらないィィ! 助けてっ、助けてぇっ!」

 「あら、そういえば、まだあなたの名前訊いてなかったわねぇ」

 淫魔は腰を振りながら悠長に質問した。

 「ア、アベルっ、アベルっ……ひぃっ……死ぬ、死ぬぅっ……!」

 この答えが天才剣士の最後に発したまともな言葉だった。

 「アベルちゃんか……大丈夫よ、あたしここに来てからはまだ誰も殺したことが無いんだから」

 「ふひぃっ……ふひぃっ……!」

 口の端から泡を吹き、ただ射精するだけの人形のようになった勇者の上で淫魔は言う。

 「ちゃんと息があるうちに近くの村まで帰してあげる。そして、意識が戻ったらあなたは言うのよ。『魔王さまはとてもお強くてかないませんでした』ってね。それがあたしの伝説になるの」

 もはや、勇者に声は届いていないようだがお構いなしに続ける。

 「そして、あなたはここへ戻って来る。何故なら、もう人間のセックスでは満足出来ないから。あなたは至上の快楽と引き換えに、この迷宮を護る魔戦士になるのよ」

 淫魔は勇者の上に覆い被さると長くしなやかな指でその顔を包み込み、そっと耳打ちした。

 「ここへ来るまでにあなたが殺して来た魔戦士たちの代わりにね」

 そこまで言って淫魔はクスッと笑うと、ゆったりと腰を波打たせ勇者のモノを味わいながら「クククク……」と楽しそうにしばらく喉を鳴らしていた。



 『淫魔女王と若き勇者』

 END



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