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†サキュバス†(学園編)
司書の新たな欲情(0)

 倉石美紗(くらいし みさ)は飢えていた……。

 それは今まで経験したことのない種類のものだった。
 校舎の地下の祠(ほこら)を調査中、そこに封印されていたと思われる「もの」が躰(からだ)の中に入ってきた。
 とてつもなく強い力を持った何かだ。
 そして、自分自身が内部から大きく変化した。
 それに自我を乗っ取られたのだろうか。
 否。
 意識は依然として自分のものである。
 むしろそれと合わさることで本来の自分になったようにさえ感じる。
 自分が何者であるのか、何をすべきなのかが明確に理解できるのだ。

 完全なる融合だった。



 新たに湧き上がった欲望は、激しい渇きを訴えていた。

 その飢えを満たす唯一の方法……。

 それは、これまで二十六年間行ってきた食物の摂取方法とは遥かに違っていたが、彼女はその手段をすでに知っていた。



 自分は何者でもない。
 一個の「クライシミサ」という個体である。

 まわりの人間は餌にしか見えなかった。


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