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Pandemic
- Afterlife -(2)

 僕はペットボトルを持って、守衛が開けたドアを通った。
 中は小部屋になっていて奥にドアがある。
 重く厳重なドアだ。
 それを開けるとさらにもうひとつ。
 僕が来たのがわかるのか、向こう側からドンドンと強い力で叩く音がする。
 それを開けるなり緋邑那由子が飛びかかってきた。
 全裸である。
 飼い主を迎える大型犬のようにも見えるが、そんなに可愛いものではない。
 感染者は理性なき猛獣だ。
 あっという間に僕が来ていた病院服は引き裂かれた。
 僕は緋邑に押し負けないように部屋に入りながらドアを閉めた。
 潰さないようにペットボトルを床に置く。
 感染者を観察するための広く殺風景な部屋だ。
 いまは緋邑がひとりいて、たくさんのカメラで監視されている。
 緋邑は僕を押し倒すと股間に顔をうずめた。
 感染者がいるからか、僕自身が感染したせいからか、そこはすでにギンギンに張りつめていた。
 緋邑はそれをくわえると頭を上下に動かし、「もっ、もっ」と声を漏らしながらだらだら垂れ流している唾液をぬりつけた。
 前戯も早々に彼女はぬるぬるになったそれをまたぐと、腰を落とし、ずるんっと一気に呑みこんだ。
 「アアッ」と声を上げ、かたちの良い乳房がぶるんとゆれた。
 短い時間であっても前戯をするのはめずらしい。
 なんらかの変化が起きているのだろうか。
 そんなことを考えたが、股間からつたわる刺激が強すぎて頭が働かない。
 考えるのはこの映像を見ているであろう研究者に任せて、僕は行為に没頭していった。
 激しい腰の律動にあわせて、緋邑の乳房がぶるんぶるんっと上下している。
 僕はそれを下から鷲掴みにして乱暴に揉みしだいた。

 「アヒィィィィィィィィ!!」

 緋邑は歓喜の叫びを発し、尻をどすんどすんと叩きつけて来た。
 僕は負けないように躰を起こし、対面座位の姿勢で下から突き上げた。
 すぐに絶頂の波が押しよせてくる。

 「緋邑ぁっ!!」

 胸に顔をうずめ、細い躰を折れんばかりに抱きしめながら膣内(なか)に精を放った。

 「ヒィィィィィィィィィ!!」

 彼女も呼応するようにビクンビクンと全身を痙攣させた。
 イッているのだろうか。
 腰の動きが止まる。
 しかし、激しいセックスだったが「今日はこの辺でやめておこう」と思えるのは抗体を持つ人間だけのようだ。
 感染体は満足するということがまったくなく、ただひたすら快楽をむさぼりつづける。
 僕の首にまわした手に力がこもり、すぐに躰がゆさゆさと動き出した。

 ……その前に。

 僕はかたわらに置いていたペットボトルに手を伸ばした。



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