Resurrection extend Metamorphose
(4)
「深香……!」
「……綺良様」
「無事か?」と問う前に深香はもたれかかってきた。
そして、するすると腰を落とし膝を着くと、熱を放っている肉茎を愛おしげにさすり、おもむろに口に含んだ。
「ああっ、み、深香!」
温かい咥内に包まれる新たな快感と、深香の思いがけない行動に声が出る。
「綺良様、素敵……」
深香は綺良の根もとを両手で掴んでしごきながら、先端を咥え頭を前後に振った。
「ああ……深香、こんな……いやらしい」
普段の生真面目な深香からは想像できない行動だった。
しかし、じゅぽっ、じゅぽっという音がくり返されるごとに、頭から理性や判断力というものが失われてゆくようだ。
「ほら、想いを遂げるがいい。ずっとこうしたかったんだろう? この娘も待ってるよ」
女はいつの間にか綺良の横に移動し耳もとに囁いた。
悪魔は人の心の弱いところを敏感に嗅ぎつけ、そこにつけ込んでくる。淫魔ならば、一般的には強いと思われている愛という感情にも容易につけ入る。彼らにとっては愛も欲望の源のひとつにすぎないのだった。
綺良は同性ながら深香のことを愛おしく思っていた。
深香もまた、その気持ちに気づき嬉しく感じていたが、立場上それに応えることなく、お互いの想いは胸の内に秘められたままだった。
しかし、淫魔が現れたせいで、その一線をあっけなく越えてしまった。これまで抑圧されていた想いは快楽の波で決壊し、もはやとどめる術がなかった。
「さあ、鬼に犯された可哀相な娘をあんたのモノで浄化してやりな」
「……浄化」
強引にでも行為を正当化させる。
それが、最後の、そして決定的なひと押しだった。
綺良は襲いかかるように深香を押し倒した。
乱暴にされながらも深香も歓喜の声をあげる。
深香も望んでいる。
その声を聞いて、綺良の行動を抑制するものはなにもなくなった。
深香の中に入る。はじめてのことだがやりかたはわかっていた。
「はああああああっ!」
自然に声が出る。
手でしごかれただけでも凄まじい衝撃だった。
口に含まれたときはおかしくなりそうだった。
膣の中はそれらを遥かに上まわった。
女が言うように脳がとろけるような快感であった。
「あひいいいいいっ! 綺良様っ……綺良様ぁっ!」
鬼に散々酷使されたはずの深香だが、ねだるように綺良の首に腕を、腰に脚を巻きつけてきた。
深香も感じている。
受け入れてくれている。
ためらうことはない。
綺良は快楽の衝動にまかせ、腰をやみくもに動かした。
絶頂はすぐにきた。
これほどの快感でいままでこなかったのが不思議なくらいだ。
歯を噛み締め、これでもかというほど速く強く腰を打ち込んだ。
「ひぎゃああああああ!」
経験の浅い深香があまりの激しさに叫ぶ。
その悲鳴がさらなる欲情を駆り立てた。
「おおおおおおおっ!」
綺良も叫んだ。
咆哮だった。
どくっ、と深香の膣内(なか)に放った。
「ひぃっ!」
綺良の体内から出た熱いものを受けとめるように、深香も腰をびくんと震わせた。
深く突き入れるたびに何度でも、どくっ、どくっと大量に放出される。
はじめて体験する射精の快感に、脳から火花が出てなにも考えられなくなる。
だが、射精の量が尋常でないことは理解できた。
「うっ……くぅっ……しゃ、しゃせいっ……止まらな……」
深香の下腹部がみるみる膨れ上がっていく。
だが、綺良には自制することはできなかった。
「うおっ……お、おかしく……なるぅっ……!」
「ぎっ、ぎら……ざま……」
許容範囲を超える量を注入されて、深香の躰がのたうっている。
しかし、綺良は射精の快感に耐えられず、何度も深く突入れる。
結合部から、ぶりゅ、と白い粘液があふれ出た。
「じょ、浄化……あたしの精液で……深香を……」
なにもわからなくなっていた。
黒い女が立っていた。
綺良と深香は床に倒れていた。
ふたりとも衣服は着たままだった。
綺良に起きたはずの躰の変化も見られなかった。
はじめからなにも起きてはいなかったのだ。
「変化の術は得意じゃないんだ……久魅の躰を造り変えるだけでもずいぶん苦労したからね。でも、夢の中なら思いのままさ」
淫魔は別名「夢魔」ともいう。
女は豊満な胸を下から包むように腕を組み、ふたりを見下ろしていた。
「夢と夢をこうやって結ぶと……ほうら、幸せになれただろう? 細菌にだって役に立つのもいるからねえ」
女は狐のように目を細めた。
綺良も深香もおなじ夢を見ている。
否、見せられている。
「綺良様……綺良様……」
「深香……深香……」
ふたりは文字通り寝言のように互いの名前をくり返していた。
綿瀬未空はなんら防衛手段を持たなかった。
患者である綿瀬久魅は動ける状態になく、仮に動けたとしてもとくに危険性があるとは思えない。
外部からの侵入に関しては、陰陽庁から手配された屈強なガードマンが居る。
自分は看護に専念していればいいはずであった。
だが、綿瀬久魅が目の前に立っていた。
本来、何日も寝たきりであれば立つことすら難しいはずなのに、彼女はしなやかな足取りで未空のほうへ歩み寄ってきた。
全裸である。
均整のとれたプロポーションだが、下腹部からそそり立つ男性器がそれをいびつなものに変えていた。
「く、久魅ちゃん……」
未空は後ずさった。
淫魔の痕跡が残る貴重な素体を傷めるわけにはいかない。
しかし、それは後日のための言い訳である。
実際には、本物の淫魔と対峙しているかのごとく躰がこわばり自由に動けなかった。
久魅は股間から生えた肉茎に手を伸ばしさすった。
「ミクちゃん、コレつかいたい……つかいたいよぅ」
腰をくねらせ、悩ましいため息を漏らす。成熟した肉体、巨大なペニスを持っているにもかかわらず、子供のようなしゃべりかたである。
「だめ、久魅ちゃん。快楽の欲求に負けちゃだめよ!」
「ミクちゃんも欲しいんでしょう? 欲しくて毎晩オナってたでしょう?」
「そ、そんなこと……」
「ねえ、ミクちゃんの中で温めて。ぎゅうぎゅう絞めあげて。精液搾り出して。射精したいの。ねえ」
「だめだったら! 久魅ちゃん、しっかりして」
応援はまだなのか。
未空は一瞬、出入り口のほうに視線をそらした。
「ねえってばあ……!」
思いがけないほど素早い動きで、久魅の腕が未空の頭を掴んでいた。
「あっ!」
未空が声をあげ、久魅の腕を払い除けようとしたが、それはびくともしなかった。
華奢な体格からは想像できないような強い力で抑えつけられている。
未空は膝を着いた。
目の前で久魅の股間から生えた太い肉茎が熱を放っていた。
「うふふ……ミクちゃあん」
久魅が腰を動かしながらそれを口もとにこすりつけてきた。
「だ、だめ、久魅ちゃ……」
未空は久魅を制したいがこれではうかつに口も開けなかった。
「ミクちゃんが夢にまで見た久魅のおちんちんよ。ほら、しゃぶって、ちゅっちゅして」
「うぶぅ……!」
久魅の先端は透明な液をどろどろと止めどなく垂れ流している。
それを唇や頬、鼻先に塗りたくられる。
鼻孔からそのにおいが入ってくると、未空はおかしな気分になっていった。
頭の芯が焼けつくようで、論理的な思考能力が無くなっていく。
毎晩抑えていた久魅のモノへの欲求が首をもたげ増大していく。
自制心が薄れ、抵抗する力が弱くなる。
唇の隙間から粘液が侵入してきた。
(これが、久魅ちゃんの味)
口を結んでいた力がさらに弱まる。
(これが、毎日想像していた久魅ちゃんの……)
未空は我知らず舌をチロリと出して久魅の先端に触れた。
久魅はそれを笑みを浮かべて見下ろしていた。
もう無理にすることはない。
余裕の笑みだった。
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