Resurrection extend Metamorphose
(3)
人間が仲間を見捨てることができないのを知っているので、女は自由に振る舞っていた。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、とわざと大きな音を立てて指を出し入れする。
「ああっ、あっ、いやぁっ!」
深香が無意識に腰をくねらせた。
頭では拒否しながらも、躰はさらなる刺激を求めている。抗い難い快楽に襲われ、深香は涙を流しながら、ただ声を漏らすしかなかった。
女が指を抜いた。
「ひんっ!」
深香がびくんと震える。
腰が指を求めるように勝手に女の躰のほうへ動いたので、彼女は戦慄した。
あっという間に淫魔の虜になろうとしていたのだ。
彼女の躰はそれに対し、まったくというほど防衛手段を持っていなかった。
深香は淫魔宮に務めながら、実際には淫魔のことをなにも理解していなかったのだと思い知らされた。
「それじゃあ、いただこうかしら」
女が紙細工を破るように簡単に下着を剥ぎ取り、露わになった深香の尻に自分の熱い剛直をこすりつけた。
「ひ、ひいいい……」
深香はガチガチと歯を鳴らした。しかし、恐怖とは反対に、股間はとろとろにとろけて、止めどなく愛液をあふれさせていた。
「ま、待て!」
女の張りつめた先端が深香の秘裂にピタリと当てがわれたとき、綺良が声をあげた。
「私を好きにしろ。その娘にはなにもしないでくれ」
綺良はボタンをはじき飛ばしながら白衣を脱いだ。
中に着ていたシャツに手を掛ける。
「ああ、脱いでてもらうと面倒がなくていいよ。好きにさせてもらうからさ」
女は口の端を歪ませた。
発達した犬歯が覗く。
「こいつのあとでな!」
女は深香の細い腰を両手でがっちりと掴むと、一気に腰を突き上げた。
「ぎゃあああああっ!!」
深香の悲鳴が制御室に響きわたった。
「深香っ!」
綺良は飛び出そうとしたが、女の余裕の表情を見てできなかった。
淫魔があの『茨木童子』なら、ひと捻りで深香を絶命させることも可能なのだ。
陰陽庁本部に保管されている、かつてこの鬼の腕を斬り落としたという「鬼丸の太刀」があれば文字通り太刀打ちできたかもしれないが、本部から応援が来るのはもっとあとのことだろう。
素手の人間には「どうか殺されませんように」と祈りながら見守るしかなかった。
「ひぃうっ、ひぃがっ!」
深香は辛うじてつま先が着いた状態で、後ろからずんずん突き上げられている。
「つかい込んでないねえ……あたしの相手をするにはあまりに経験不足だ」
女が深香の耳もとでささやいた。
だが、深香には聞こえていないようだ。
目はどこも見ておらず、大きく開かれた口からはだらだらと涎が垂れている。
「だけど、流石は綿瀬の血統。だんだん気持ちよくなって……きたぁっ!」
女は、ぐいぃと上体を反らして、腰の上で激しく深香の躰を揺さぶった。
「ひぎゃあああああああ!」
猛烈に突き上げられて、深香は断末魔のような悲鳴をあげた。
その体勢になってはじめて、深香の中に入っているモノが綺良にも見えた。
自分の腕ほどありそうな巨大な肉茎が、深香の秘裂を限界まで拡張して出入りしていた。
「ふっうううううん……」
女は深香の躰をまるでオナホールのように軽々とあつかいながらさらに速く腰を上下させる。
そして自分のモノを一気に引き抜いた。
「ひがっ!」
小柄な躰からズボッと音を立てて、巨大な肉茎の全体が現れる。
直後、愛液まみれの深香の秘裂からシャアアアッと勢いよく液体が噴射された。
「あはははは! 今度は潮噴きかい? お漏らしが好きだねえ」
その飛沫は綺良の靴までとどいた。
「イバラギ……!」
綺良は爪が刺さるほど拳を握りしめ、歯軋りした。
「なんだい、もう順番が待てなくなったのかい?」
女は傍らに深香を投げ捨てた。
床に倒れた深香は、「ぐぅ」とひと声あげただけで動かなくなった。
見開かれた目はなにも見ていない。
腰と太ももがプルプルと震え、股間からまだ断続的に潮を噴いていた。
「深香……!」
「脆いねえ……綿瀬を名乗るならもう少し楽しませておくれよ」
射るような眼で睨みつけている綺良には構わず、女はあたりを見まわした。
「ここには『綿瀬』だけかい? 『渡辺』は居ないのかい?」
「『渡辺』継承者は陰陽庁には居ない。そもそも渡辺党は陰陽師ではない」
「渡辺」といってすぐに思いつくのは、平安時代に茨木童子の腕を斬り落としたといわれる渡辺綱(わたなべのつな)である。
鬼はかつての仇敵の子孫に復讐を考えているのだろうか。
「そうか……たしかに陰陽師ではなかったね」
女は階下を見下ろした。
「まあ、いまあたしが用があるのはあの娘だけだけどね」
綿瀬久魅が綿瀬未空を犯している。
女はその姿を満足気に眺めていた。
綺良は後ずさった。
深香の躰が気にかかる。
しかし、強大な敵を相手に綺良にはなすすべが無かった。
できることといえば応援が早く来ることを祈るだけだが、警備の男たちがいつの間にか倒れていたことを思えば、はたして現在の陰陽庁にこの鬼に太刀打ちできる力があるのか疑わしかった。
「下の陰陽師は、クミに任せるとして……」
淫魔の影がゆらめいた。
つぎの瞬間には顔が綺良の鼻先にあった。
現実の距離を無視するような動きだった。
「ぐっ!」
綺良が呻いた。
膝丈のタイトスカートがめくれ、女の腕が入り込んでいた。
下着の上から股間を掴まれている。
女が腕に力を込めた。
「ぐああぁっ!」
痛みとも快感ともつかない強い衝撃を受けて、一瞬、目の前が真っ暗になった。
「どうしたの? 気持ちいいの?」
綺良は女の声で我に帰り、両手で股間の腕を掴んだが、それはびくともしなかった。
女は手の位置をずらした。
「!」
同時に綺良は股間に激しい違和感をおぼえた。
「な……なに?」
鬼の腕がなにかを掴んでいる。
それは下着からはみ出し、鬼が腕を引くとつられるように伸びてきた。
「まさか……そんな……」
スカートの中で起きている出来事である。
見ることはできない。
しかし、綺良は感じていた。自分の躰に生じている変化を。
鬼の腕がいっぱいまでそれを引き伸ばすと、つづいて握ったまま根もとまで一気にごしゅ、としごいた。
「ひっ!」
股間に張りつめたような違和感。
それはかつて経験したことのない快感に変わった。
見えていなくてもそれがなんであるか想像できた。男性器の感触である。
その敏感な先端は鬼が動かすたびにスカートの布でこすれ、腰を震えさせた。
「やややめろぉ……!」
自然に声が震えた。
「あはははは、立派なモノが生えたねえ!」
ごしゅ、ごしゅ、と前後にこすりながら黒い女が笑った。
「どうだい? この感触。女はしごかれる快感には慣れてないからねえ……そら、脳みそとろけちまいな」
先ほど久魅に言ったのとおなじような言葉を綺良にもくり返した。
「ひっ……ひっ……」
腰がよじれ自然に声が漏れる。
女がもう片方の手でスカートをまくり上げた。
「ああ……!」
そこにあるものを見て、綺良は自分の躰の変化を嘆くように絶望的なうめき声を漏らした。
成人男性の平均を遥かに上まわる太くて逞しい男根がそそり立っていた。
「気に入ってくれたかしら、このプレゼント。あんたらは、『淫魔』と呼んで下級の悪魔のように思ってるけど、あたしたちはときには天使以上にもなれるんだよ」
「なん……だと?」
綺良は刺激に耐えながら女を睨んだ。
女は唇の端を吊り上げた。
「天使だよ。さあ、望みを叶えてやる」
女が躰を横に交わすと、その後ろには倒れていたはずの深香が立っていた。
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