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Resurrection extend Metamorphose
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 混濁した意識の中で、綿瀬久魅(わたせ くみ)は強い違和感に襲われていた。
 仰向けに寝かされ、拘束されているのか躰の自由がきかず、視界は霞んでよく見えない。
 なにかが唇に触れた。
 いつの間にか、眼前にあの「黒い女」の顔があった。
 宙空から忽然と現れたその女が、唇を久魅のそれに重ねていた。
 久魅の躰がこわばった。
 肉食獣に捕らわれた草食動物そのものであった。
 黒い女が目を細めてゆっくりと顔を離す。

「理想的な躰になったわね、久魅……」

 そんな声が響く。
 慈しむような、優しい声だった。

「……カラダ?」

 久魅はその言葉の意味を求めて視線を自分の躰に移した。

「……!」

 そして息を飲んだ。
 両の乳房が西瓜(スイカ)のように膨らんでいた。
 それだけではない。
 激しい違和感の原因はその膨らみの谷間にあった。
 照ら照らと艶やかな肉茎が肥大化した久魅の胸にぎゅっと挟まれて彼女に向けられていた。
 最初、それは自分の上にのしかかっている黒い女のものだと思った。
 それにしても異様なサイズである。
 先端、茎の太さとも、久魅が握りこぶしを握った腕くらいあった。

(こんなの、無理……大きすぎる)

 久魅はまたコレでこの女に犯されるのかと震えだした。
 しかし、そうではなかった。
 女が久魅の足首を掴み、彼女の肩まで押し上げる。
 躰を海老のように折り曲げられてようやく違和感の原因に気がついた。
 久魅の顔が引きつった。
 目の前に突きつけられた巨大な「モノ」は黒い女のものではなかった。
 それは自分の股間から生えていたのだ。

「イヤァァァァァッ!」

 久魅は叫んだ。
 叫んだつもりだったが、声になったのか定かではない。
 ひゅう、ひゅうと喉が鳴る。
 躰の自由と同様に声まで奪われているようだった。
 黒い女が上から久魅の豊満過ぎる胸を鷲掴みにした。
 もちろん、手のひらで覆いきれるものではないが、柔らかい乳房に指をめり込ませ強引に揉みしだく。
 さらに、それの谷間で太い肉棒を挟み上下にしごきあげた。

「ヒッ……ヒイィ!」

 かつて感じたことのない強烈な刺激が久魅の全身を痺れさせた。
 これまで、この女には現実ではありえないようななぶられかたをされてきたが、いまあたえられている快感はそのどれとも違っていた。
 腰を中心に躰が震えている。
 本来自分にあるはずのない部位が、快感に悶えている。

「どう、久魅……これ、イイでしょう?」

 黒い女が微笑んだ。

「もともと女の躰は『シゴかれる快感』に耐えれるようにはできていないのよ。それなのに、こんなに大きなモノを……フフ、自分の胸でシゴいちゃって……なんていやらしい子……」

「も、もう……許シテ」

「あなたが望んでいるのよ。さらなる快楽を……ほうら、とろける、とろける……」

 女は久魅の乳房を握る手に力を込めた。
 とろけるどころか、その谷間のモノはガチガチに強度を高め久魅を睨んでいる。
 とろけているのはその先端からあふれ出る透明な粘液と久魅の思考能力だった。



 久魅は俗に言う「まんぐり返し」のような体勢で押さえつけられていた。
 肥大化した乳房に包み込まれ先端からとろとろと唾液を垂らしているのは、存在するはずのない自分のペニスである。
 血管の浮き出た皮は痛いほどに張りつめ、亀頭部分は艶々と光っていた。 

「あっ……はぁっ……はぁっ……はぁああああっ!」

 黒い女が久魅自身の乳房でそれをしごきあげると、久魅の口からせつなげな声が漏れた。
 自然に腰が上下に動き、さらなる刺激を求めるように肉茎がビクン、ビクンと脈打つ。

「もう、らめ……なんか、来る……なんか、凄いの……来るぅ……!」

 女が「しごかれる快感には耐えられない」と言ったように、久魅の意識ははじめて味わう強烈な刺激にあっという間に麻痺していった。

「ふふ……出ちゃうの? 我慢しないで思いっきり自分の顔にぶちまけちゃいなさい、気持ちいいわよ」

「らめ! 来ちゃらめ!」

 この快楽に溺れると理性が完全に吹き飛び、自分が自分ではなくなってしまう。
 久魅はそのことを直感的に感じとっていた。
 しかし、かつて経験したことのない射精の猛烈な欲求には到底抗うことができなかった。

「さあ、いらっしゃい、こっちの世界へ!」

「アアアアア! イグイグイグゥゥゥ!」

 無理な姿勢のまま、久魅は腰をガクガクと激しく揺さぶった。



「久魅ちゃん……久魅ちゃん!」

 絶頂に達した久魅を見て、黒い女が笑みを浮かべようとしたとき、どこからともなく第三者の声が聞こえてきた。
 若い女の声である。
 姿はなく、声は空間全体に響いていた。
 黒い女は動きを止め、宙空を睨み「ちっ」と舌打ちをした。
 そしてまた久魅に目を向ける。
 久魅はヒクヒクと躰を震わせ、先端からは大量の先走りをあふれさせているが、射精には至らなかったようである。
 肉茎はまだいきり立ち、血管を浮かび上がらせ、ビクン、ビクンとのたうっている。
 しかし、せき止められたように精液の噴出がない。

「邪魔が入ったわ」

 女は久魅から躰を離してあたりを見まわした。
 どこまでも白い闇であった。

「先に邪魔者を始末してくるわ。そのころにはあなたはもう自分の力であたし好みの躰になってくれてると思うけど」

 黒い女は巨大なペニスの先端に顔を寄せて、ちゅっとキスをした。
 そして、身を起こして唇についた透明な粘液を舌で舐めとると、久魅を見下ろして満面の笑みをつくった。

「あとでゆっくり楽しみましょう」

 そして、白い靄(もや)の中へ溶けるように姿を消した。





 Resurrection extend

 Metamorphose


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