淫獣たちの森 1.猛獣活用法(2) 「いいぞ、マット、ニケ、離れろ!」 魔術師が叫ぶと、戦士と格闘家は左右に散った。 間を縫って魔術師からモンスターへ電撃が走る。 モンスターは絶叫を上げた後、地面に崩れ落ちた。 「やったぞ!」 「ふひぃ……やばかったな」 戦士たちが近づいていくと、不意にモンスターが起き上がった。 まだ、息の根は止まっていなかったらしい。 「うわあああっ!」 戦士が前肢(まえあし)の一薙ぎで吹っ飛ばされた。 モンスターが咆吼を上げる。 魔術師が腰を抜かしたように尻もちをついた。 しかし、それ以上襲ってくる様子がない。 モンスターの胴には、人間の躰くらいある、太い蛸の足のような触手が巻き付いていた。 それが見る見るうちに増えて、モンスターの巨躯をぐるぐる巻きにし空中に持ち上げる。 モンスターが再び咆吼を上げた。 触手はその付け根の方へモンスターを引きずり込もうとしていた。 「うひゃあっ、出たあっ!」 更なる災厄の登場に魔術師が悲鳴を上げた。 ……来たぁっ! 逆に今までやる気のなさそうにしていた女僧侶は、目を爛々と輝かせ立ち上がった。 [*←BACK][NEXT→#] [戻る] |