桃水 猫。 拾われたその時から決めていた。 貴方のいる世界にだけ 私の存在を印そうと。 首輪を選ぶ貴方の嬉しそうな横顔を そっと見つめるたびに 爪で私の証を刻み込みたくなるの。 ねぇ、いいでしょう? 私は貴方のモノ? 違うわ 貴方は私のモノ。 少し離れて 少し寂しい この少しの距離が愛おしい。 でも、他に連れてきたら容赦しないわ。 私だけでいいはず。 何がいけないの? 私がここで喉を鳴らして 尻尾を立てて 足にまとわりつけば満足なんでしょう? 私だけで十分だわ。 高いところから 瞳の奥で貴方を確認するの。 貴方の指が恋しくなれば そばで眠ってあげる。 好きなだけ閉じ込めるがいいわ。 今更野良猫になんてなる必要もないし ここが 貴方が 私のテリトリー。 [前へ][次へ] [戻る] |