自分の言ってることに自分で納得してるのが可笑しかった。でも『うん』とは言えなかった。電車に乗り込んでシートに座っても、おじさんは窓の外から手を振っていた。
ぼくも負けないくらい大きく、腕を振る。しばらくして電車は走り出した。
★☆★『お客さん、起きてくださいよ』
ぼくは眼を開けた。眠っていたみたいだ。心配そうに人がのぞき込んでいる。
『音楽駅、終点ですよ』
『ええ!』
ぼくは聞いたことのない駅の名前に驚いてしまった。仕方なく、電車から出てみる。。
駅は大音量のスピーカーがおいてあるみたいに、音楽で溢れていた。曲名はわからないけれど、心踊るような感じの曲だった。
『あの、次の電車はいつ来ますか?』
ぼくは駅員の人に聞いてみた。駅員さんは片手にカスタネットを持って、話す度にカタカタと音を鳴らした。
『五十分後ですよ、電車は。お忘れなく。今晩の演奏は“ヴァイオリストの少年”ですからね♪』
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