人形姫(六)
『降り方まで忘れてしまったんですか。それとも、切符を持っていないんですか』

 運転手にそんなことを言われ、僕は何時からこのバスに乗っているのか、記憶が全く無いことに気づいた。そんな状態で切符と言われても、訳が分からない。

『切符が無いんじゃ、話になりませんね』

 そう言われては仕方がない。自分で出口を探すかしなければ、一生出られそうに無い。


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