人形姫(五)
『それじゃあ、何時、降りればいいんですか。降りるなってことですか』

 僕は半ば、苛立ちながら言った。

『そんなに降りたいなら、降りればよろしいでしょう?』

 そう言うと、運転手は軽い笑いの伴った息を吐いた。

『……』

 何を話しても、会話がかみ合わない。
 何かが違うのだ。何かが。
 僕は沈黙を決め込んだ。


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