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Access 2 アサシン

「だから…君たちの知り合いじゃないかと思ったんだが…」

とある小さなバー。
洒落た照明が揺れる薄暗い店内には年代物のワインがズラリと並んでいる。
カウンターの奥には小さなテーブルを囲んで椅子が四脚あり、そこには黒髪の男と金髪で髭を生やした男、向かいには茶髪の男が一人座っていた。

「"A"ってタトゥーは別に決まり事じゃない、アスラは好きでやってるだけだし。その患者は俺たちとは関係ないと思うがな。…なぁアスラ」
「ん〜多分」
「おいおい、多分かよ」

アスラと呼ばれた黒髪の男は首に黒い二連ベルト、赤いシャツに白の上着、そして頬に"A"の文字。話し掛けた隣の金髪で髭を生やした男とは親しい仲らしい。
金髪の男は煙草をふかしながら前の茶髪の男を見た。

「京助、そいつはどんな奴なんだ?若い男?髪は?ただのタトゥー好きなパンク趣味の奴なんじゃないか?」
「デューク言い過ぎだ。その医者、命狙われてるんだぞ」
「命!?」

アスラのセリフにデュークと向かい側に座る男、赤名京助は見合った。アスラは手元にあった新聞を指差す。

「二宮明彦…だっけ?」
「あ、あぁ…よく知ってるね」
「昨日ルーシィから連絡があって、君の友人が事件に巻き込まれたから助けてやってくれって」

ルーシレンス・アラン、通称ルーシィ。
表世界では名の知れたモデルだが、裏世界では女アサシンを勤める実力派だ。

「何だ京助、あの女に頼んだなら俺たちにまで頼む必要ないだろう。大体あいつも自分が依頼されたならアスラに頼むんじゃねぇっての」

デュークは吸っていた煙草を消し、新たな煙草を一本取り出すとテーブルの上にあったマッチで火をつけた。
赤名は煙を軽く手で仰ぎ、首を左右に小さく振った。

「いや、頼んでないよ、相談だけ。ルーシィは受けるって言ってくれたんだけど、可愛いルーシィが怪我をしたら大変でしょ?」
「オイオイ…」

三人のやりとりを見て、カウンターに居るマスターはクスクスと笑い始めた。デュークはそれを見て眉を顰めたが、赤名は立ち上がってカウンターの席に移動した。

「マスター、紹介料は弾むからアスラ君たちにこの仕事引き受けてもらってよ。頼む!明彦の身に何かあったら…」

切実そうに赤名はマスターの手を握る。マスターは苦笑いしながらコクリと頷いた。

「良いよ。二宮明彦君のボディーガード、それだけが依頼だね?」
「ああ…その患者のことは、無闇に関わらない方が良いと思うし」
「分かった。…でも、この手を握る仕草は女の子限定にしなよ」
「あ…ハハハ!そうだね!」

デュークはチッと軽く舌打ちをすると席を立った。そして椅子に置いてある上着を取り、テーブルをライターでコンコンと叩く。

「じゃあボディーガードの為の衣装やら何やらの諸費用、それから今日の飲食代も京助負担な。それなら俺たちが引き受けてやる。なぁアスラ」
「ん?俺は別にいいけど」
「何だよ甘いな!飲食代ってことは、更に食ってもいいんだぞ?」
「マジ!?じゃあ俺今日のお勧めランチ二つ!」
「ハハッアスラらしいな」

赤名は微笑み、デュークに"その条件で良いよ"と頷いた。
そしてここからが本当の事件となる…。







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あきゅろす。
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