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Access 1 χ

「もしもし…あ、京助久しぶり。急で悪いんだが、実は相談があってな…」

翌日、休みだった俺は医大時代の友人、赤名京助に電話を掛けた。京助は俺よりも早く医者になり、今はもう有名な腕利きの医者だ。
数々の人間と関わって来た彼なら、俺の知らないことも知ってる気がした。

『ん…明彦、久しぶりじゃないか。どうした?深刻な悩み?』
「ああ…実は、うちに来た患者なんだが、体に"A"って文字があって…」
『A…!?まさかソイツ…』
「…え!」

ビンゴ!?
京助の思いがけぬ反応に俺は目を見張る。

「京助、何か知ってるのか?!」
『知ってる…かも知れない…』

京助の声は震えていた。
その異常な様子に俺はこれ以上聞いてはいけない気がしたが、自分の為にも聞かなくてはならなかった。

「…何なんだ?コイツは」
『…アサシン…もしくはそれに関わる人物…』
「アサシン…?」

聞いたことがある。
依頼で動く暗殺者…闇に葬られた事件の数々に関わっているという…。

『兎に角、このままではまずい!明彦の命が狙われるかも知れないぞ!僕は知り合いに色々聞いてみるから、明彦はなるべく一人で行動するんじゃない!いいね!?』
「あ、ああ…」

何だかとんでもない奴に関わってしまったみたいだ。週一しか会えない彼女に連絡を取る暇もなく、俺は不安に駆られた体を落ち着かせるよう浴室へ入った。

―だが

「!!」

俺は目を疑った。
そう、浴室にはあの患者がいたのだ。

「お前は…」
「僕はχ…早く此処から逃げて」

χは淡々と言う。透き通ったガラス玉のような瞳を俺に向けながら。

「いつ此処に来た!?お前は何者なんだ!」
「危ないっ!」

一瞬だった…。
浴室の窓から一筋の光が注ぎ込み、俺の背中を目指す。然しχは俺を庇い、その場に倒れ込んだ。

ガシャーンッ…

その時やっと気付いた。
その光が銃弾だったと言うことを…。

「χ…」
「二宮さん…僕から離れて…」







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あきゅろす。
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