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Access 0 序章
降り止まぬ雨の中…
無駄な争いが、そして病が、重き命の灯火を一つ、また一つと消し去っていく…

そんなある日、一人の患者が病院に運ばれてきた

それは

"宿命"

だったのかも知れない…



Assassin.1 親愛なる友へ


奴との出会いは実に単純だった。
俺は医者で奴は患者、普段何気ない生活の中で出会ってしまったのだ。

「二宮先生、今来た患者さん、身分証明書も何も持ってないんですが…」
「後で調べれば分かるから良いさ。それよりどんな怪我?病気?」
「腹部から酷い出血をしていて…刺されたみたいなんですが、兎に角出血が酷いんです」
「分かった、すぐ行く」

看護師から患者の様子を聞き、俺は彼女とやりとりをしていたパソコンのメール画面を閉じ、手術室へ向かった。


カツカツと廊下に足音だけが響く。

(喧嘩か…それとも自殺か事故か…ここらへんで最近よくあるんだよなぁ、チンピラのいざこざが)

どうせ大したものじゃないだろうに、看護師も大袈裟だ…と俺は半ば適当にあしらっていた。

…だがその考えは間違いだとすぐに気付くことになる。


「先生、こっちです」
「ああ…男、か?」
「はい」

衣服を脱がされた患者は一瞬女と見間違えてしまうくらいに華奢で色白だった。然しそんな事よりもとんでもないものを俺は見つけてしまった。

「な…何だコレは…!?」

患者の体には無数の黒い斑点があり、腹には刺し傷、そして何より、首筋と胸に"A"の文字があった。

「シミ…ですかね?ここにタトゥーなんか入れて悪趣味ですが…」
(いや違う…これはタトゥーなんかじゃない!!)

仄かに光り輝き、赤い色を帯びたAの文字。俺はその光りに吸い込まれそうになる。

「先生、兎に角早く縫合手術した方が…」
「あっああ…分かった」

胸に沢山の疑問が残る。
然し考えていても答えは出ない為、俺は仕方なく手術を開始した。

(何なんだこの胸騒ぎは…)

気が付けば手術は終わり、俺は帰宅した。







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