■「豆はー外!福はーうち!!」 「乱鬼。うちには怖い”お兄ちゃん”が居るからね。・・・・・追い出しちゃ駄目だよ?」 「はーい!!!」 姉の蘭姫と弟の乱鬼。少女達がくすくす笑いながら豆をまくその光景に笹目がやってきた。 「こんばんわー蘭姫ちゃん。乱鬼くんもこんばんわ。」 「あ!めーちゃんだ・・・アレ・・・・?」 笹目。こと”めーちゃん”の姿を見て喜ぶ蘭姫。と、その横に 「あ、鬼似鷹(きじたか)さんだ・・・・!・・・こんばんわ!」 「こんばんわ蘭姫さん。」 恋人の鬼似鷹、こと佐伯雪鷹がやってきた。 「あれ?知り合いなんですか?」 彼は蘭姫の通う中学校の生徒会長の護衛。今は笹目の家で同棲中だが元は彼女の通う学校関係の人間である。 「えぇ・・・・・”彼女”は・・・おっと」 雪鷹は何かを言いかけて口を閉じた。 彼女。早乙女蘭姫の本名は華桜蘭姫。 彼女の通う華桜中の理事長の隠し子である。 今は訳あって本人も知らぬまま父親の部下である”早乙女ダイナ”の家にて”早乙女蘭姫”を名乗っているが実は彼らの身内である。 なのでコードネーム鬼似鷹も含めた三獣鬼と呼ばれる護衛たちとも少なからず顔見知りの関係なのであるが、それはまた別の話。 「えぇ・・・今日は蘭姫さんのところに報告があってやってきました。」 佐伯雪鷹と始めて蘭姫の前で本名を名乗った彼がそういうとすかさず笹目が「私達。先日・・・・〇月×日に入籍しました//。」と笹目が恥ずかしそうそういった。 「入籍?」まだ中学生の蘭姫にはまだ良く分からなかったことだがとりあえずは恋人として一緒に暮らしているとそう答えた。 そういった笹目の左手には光るものがついていたが正式な結婚(式)はまだ先のことである。 「そんなわけで今日は節分という事でシノさんが作ってくれた黍団子を紅白のお餅の代わりに持ってきました。」 そう言って玄関の中に入ると雪鷹は懐からソレを取り出した。 シノさんというのは笹目の祖母。同棲中の家の家主の名前なのだが。蘭姫たちとも面識がある。 「シノさんが・・・!」蘭姫が嬉しそうにそれを受け取る。 そうすると小学生の乱鬼も嬉しそうに喜んだ。 「今日は節分ですからね。ソレを食べて怖い”お兄さん”をやっつけたらいかがですか?」 ふふふと喜ぶソレを見て嬉しそうに言う雪鷹。 その後ろで「ほう・・・・俺を倒す算段か・・・面白そうだな。」 リアルな般若面で顔の半分を隠したダイナが後ろから現れた。 「あ。ダイナさんこんばんわ。」 ニコニコ微笑む笹目に 「雪鷹テメェ・・・・・・・・・減らず口もいい加減にしろ!!!!!」 ダイナが彼の首元を掴む。 もちろんそれは冗談交じりの戯れであるが。 そんな感じで早乙女家の節分がとりおこなわれたのである。 ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |