☆ササメモリアル☆
■憂鬱/笹目C■

■コードネーム鬼似鷹(きじたか)こと佐伯雪鷹は車で音楽を聴いていた。
助手席には劇団のオーディションの広告が置いてあったがそれをちらりと横目で流し「さてどうしますかね。」と車を動かした。向かう先は笹目の自宅。板脇と書かれたその御宅である。


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「笹目和美いいいいいいい・・・・・!!!!」
こちらは神風鳳太の様子である。放課後即行で彼女のところへと向かおうとしたのだがまた生徒指導に捕まった。
相変らず赤毛の指導は無視であるがその分補習を受ける事になり泣きながら叫んでいた。

間でメイに様子を見に行かせようとしたがメイも同じく補習を受けたいと何故か目を輝かせてついてきた。理数科の彼女の脳内は意味不明である。

「鳳太様。補習って楽しいですね♪」
そんな事を言いながら指導の教師を困らすメイ。バリバリとプリントをこなして教師泣かせである。

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「私は・・・どうしたらいんだろう・・・・」
気づけば時刻は4時を回っていた、いつの間にか眠りについてそれから目が覚めた笹目はゆっくりと身体を起こす。

食事だけは取らないとお婆様が心配する・・・・・・。
そう思いベッドを出てドアに向かおうとすると笹目の手が届くより早くドアが開いた。

「失礼します・・・おっと・・・・」

そう言って部屋へと入ろうとしたのは緑の髪の眼鏡の男性だった。

「・・・・鬼似鷹・・・さん・・・・!??」

驚く笹目にすみませんと言って彼は一度ドアを閉めた。

「流石に寝巻きの女性の部屋に入るのは忍びないので一度着替えてくれませんか?」
ドアの置くからそう聞こえてきて笹目ははっとした。

そして耳まで真っ赤にした後に”スミマセン///”と一声かけると”着替えるから下の階に行っててくれませんか”と返した。

その言葉に鬼似鷹と呼ばれた弾性は返事を返すとトントンとリズミカルにも聞こえる独特な音を立てて階段を下りて行った。

”不思議な人だな・・・・・”来て欲しい時に来てくれる・・・・・

それは夢か幻だろうか・・・・・・

笹目はそう思いながら恥ずかしげに服を脱ぎ始めた。
同じ屋根の下に思い人が居る・・・・お婆様はもう帰ってきている頃だろうか・・・・

不思議な感覚が笹目を支配する。おかしな気を起こしそうで自分が怖い。

「早く着替えて下に行かなきゃ・・・・・・」

そう思い笹目は着替える手を早める。

しかしおなかが空いてなかなかな手がおぼつかない。ふらふらしとしながらも着替えてたソレは何故か学生服だった。

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「あ・・・・・・」
笹目が着替えて降りてくると鬼似鷹は何故かシノさんと台所にいた。

「今おにぎりを作ろうとしていたところなんですよ・・・・・・」
用意されたお昼は冷めてしまっていたので新しく・・・・・・そう言いながらスーツのジャケットを脱いでYシャツ姿にエプロンをしたソレに笹目はドキリとしてしまった。

肩まで伸びた髪を軽く縛り台所に立つソレにドキドキしてしまう・・・

「あの・・・・!」笹目が何か言おうとすると「これから学校ぇ行くのけぇ?」とシノさんに返された。

そこで笹目は困ってしまった。ついなんとなく制服を着てしまったのだがそんなつもりはなかった・・・・・
では何故自分は制服を着たのだろう・・・・・・・・。

そう思いながら台所へ近寄っていく。「私も手伝います・・・・!鬼似鷹さんは居間煮に座っててください・・・・・・///!!」なんだか恥ずかしくなりながらも間に入ろうとする。

「いいですよ。笹目さんは朝ごはんを食べてから何も食べてないのでしょう・・・・・・・・笹目さんのほうこそ居間に・・・・あ、いえ。一緒に好きなモノでも詰め込んで作りましょうか?」

何故か鬼似鷹のリードでそういうことになった。シノが「いいのう、じゃぁわだすは漬物でも入れっぺが。」と返す。

ソレに笹目はフフフと笑い何故か3人でそのまま各々の好きなモノを入れたおにぎりを作ることになった・・・・・・・

「このまま・・・夕食。頂いていきませんか?」
各々作ったソレを夕食に、一緒に頂いてくれないかと笹目が誘う。

不思議な空間である。何故か不思議な気持ちに支配されるソレがとても心地よい。

「そうですね・・・ならこのまま夕食はどこかに出かけて食べますか?おにぎりを持って」
冗談で鬼似鷹が返す。流石にそんなことできるわけがない。笹目は18歳とはいえ高校生、しかも制服で出かければどうなるか分からない。だがソレを分かっていながらもつい返されたソレに笹目は笑ってしまった。

「なら敷地内ののテツのところへでもいくべが。」
縁側のテツのところなら夕暮れとはいえそれなりに明るいだろう。

暗くなったら家の電気を付ければ明るくはなるのだが・・・・・

「それはいいですね。テツというのは入り口付近で見かけたあの黒い犬のことですか?」

「あぁ。大事な家族だけぇ、テツにもおにぎりを作ってやっぺや。」
シノさんがそう言う。

「じゃぁ夕飯はそこで一緒にとりましょう・・・・笹目さんは・・おなか空いてませんか?」

「え?」

そう言って楽しそうな話に心地よくソレに聞きいっていた笹目の手が止まる。
「これ・・差し入れにもなりませんがよければお食べください。」

そう言ってチョコレートを差し出された。

「私からのささやかな気持ちです」

そういわれて”何の気持ちだろう・・・・・///”笹目はソレを受け取った。
けれども食べる事はできずそのままポケットにしまった。

鬼似鷹の目の前で食べる事が恥ずかしいのもあったが。初めていただいた鬼似鷹からの頂き物を大事にしたかったからだ。

「このチョコ・・・・・おにぎりに入れたら・・・・・///」
”好きなモノ”を入れるという発想の中で笹目はポツリと呟いた。

「まず犬には与えられないですね。」
ポツリと鬼似鷹がそう返した。

そんな不思議な空間の中笹目はふわふわとした気持ちでいた。

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あきゅろす。
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