■今から暫く前。冬休みの出来事である。 年が明けてましろこと八代真司郎は冬休みの宿題と戦っていた。 何分進学科の彼は近い受験のこともありその勉強と冬休み開けのテスト勉強。それに今手につけようとしている宿題に追われていた。 そこに来客者が現れる。 「ましろ・・・!手伝え・・・!!!!」 佐伯雉鷹。その人だった。 「きじたっちゃん・・・・・・何の用だよ・・・・・はぁ・・」 厄介者が来たとばかりにこのときだけはため息をつく。 だが几帳面なましろはしっかりお茶の用意をする。 ココは彼の自室。部屋には趣味のパソコンなどがいろいろ置いてある。 「この写真や画像を卒業までに一本の映像に収めたい。」 そう言って取り出した写真や録画品。 ははーん・・・さては噂の笹目ちゃんの画像だな・・・・・ ましろはそう思ったが。それは笹目のものではなかった。 「きじたっちゃん・・・いや・・・雉鷹・・・お前・・・・・」 「俺もできればお前と同じ大学を受けたい。・・・勉強もしているし宿題も終えている。 だが卒業を前にしてやりたいことがあるんだ。」 それはまだ恋愛感情なのかどうなのかわからない。 それでも卒業までに胸に残る気持ちを伝えたい。 「これが出来たらお前の宿題も。・・・・・いや学科が違うから手伝えないかもしれないが一応は手伝ってやる。・・・・代わりに・・・・・・・・俺は・・・・・」 ”できれは卒業までに告白したい・・・・・・” そう雉鷹がそう言おうとした瞬間 「ぜひ手伝わせていただきます!!」 ましろがその気になったらしい。 彼は映画研究会の幽霊部員(ほぼ帰宅部)なので部屋には色んな機器が色々置いてあった。 もちろん画像編集もお手の物である。 しかし進学科という理由もあってそれには少々時間がかかるようであるが・・・・・ 「こんな美人を毎日拝んで編集できるなら俺は幸せだね・・・・!!!」 そして「もし付き合うことになったら今度彼女を紹介してくれ!!!!!」 そういった瞬間に彼は雉鷹に叩かれた。 「冗談が過ぎるぞ。ましろ。告白はしたい・・・・・だが。俺の意中の女神様は遠い世界のお人なんだよ」 文化祭の日にそう思った。自分とは住む世界も見ているものも違う気がする。 だからこそ惹かれるものがあったのかもしれない。 きっと想いは叶わないかもしれないが”告白”だけでもしておきたい こんな俺でも本当に・・・・”役不足”かもしれないが・・・・・・・・・ 雉鷹はそう思いながら瞼の奥に見える彼女を思って目を伏せた。 ”なぁ。ましろ・・・できれば俺もお前と同じ大学を受けたい・・・・・しかし。もし二人揃って落ちる事になったら・・・・・その時は一緒に小説家を目指さないか。” 一瞬。そんな考えがよぎったが・・・・それは言葉に出さなかった。 ”夢”を追いたくなったのは彼女の影響なのかも知れない。本気でそれを目指す決心をつけたのは・・・・・”あの時”のあの強い意志と眼差しを目視した影響かもしれない。 今はまだそれが誰かは言えない・・・それでも淡い心の奥の気持ちを自分なりに決着を付けたい・・・・・・。 「俺は絶対”教師”になる・・・できれば今の高校にまた戻って来たい。」 それが叶わなければ第二の夢を追うことを目指したい。 それでも・・・・・ 「もしいつか彼女の”子”がまたこの学校に現れたときは主のお導きだと思って大事に育ててやりたい・・・・」 「雉鷹・・・・・」 もしかするとそれも叶わない願いかもしれないが・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 自分も回りもこれから”大人”としてどんどん社会に出て行く事になる。 ”成人”まではまだあと2年あるが・・・・・・・・・・いつかは誰かを好きになって・・そして子をなして育てる事になるかもしれない・・・・・・・・。その相手が誰になるかは分からないが・・・・・できれば多くの子にカトリック科の生徒として色んなものを伝えてやりたい。 不器用で誰かを傷つけた事も多かったような気がする。 特にあの・・・いや・・・名前は伏せておこう。彼にもかなりキツイ言葉を吐いた気がする・・・・・・・・ そんな自分を変えたのは。笹目の成長であり。また奥底に眠るソレの影響かもしれない。 「こんな俺でも・・・・・卒業して別れる前に・・・・」 ”その思いを伝えたい。” できれば・・・・・もしこの先会うこともなかったとしても・・・・・・・いつか・・・・いつかまたそんな出会いがあることを・・・・・・・・・・・・ できればまたもう一度この学校で・・・・・・・ 「大丈夫だよ。雉鷹。・・・・俺はあんたを尊敬している。」 俺は仏教徒だがあんたのその生真面目な性格は短所であり調書だとましろは言った。 「そんなわけで・・・・・・ちょくちょくお前のところに編集を頼みにくると思う。一緒に俺の卒業制作を作ってくれないか・・・・・」 「了解!きじたっちゃん。・・・・その代わり・・・・」 ”今度笹目ちゃんを紹介して・・・・!” ましろがにこにことそういったが案の定叩かれた。 そんな冬休みの出来事である。 ■END■ [*前へ][次へ#] [戻る] |