■「笹目先輩・・・・・!」 笹目の顔を見るなりカセンは更に伸びた髪を振り乱して抱きついてきた。 ここは蘭姫の部屋。彼女の顔を見てカセンは文化祭の出来事を思いだしたようである。 文化祭・・・ミスコンでカセンは麗姫に挑んだが大差で負けてしまった。 それなりに根強いファン層も存在したのだが転校当初の生意気な男装姿が足を引っ張ったのか票が中々伸びなかった。 上から文化祭終了後。三年の麗姫と戒が生徒会から引退をしてしまい。カセンは尚更1人になったその状況に悔し涙を流した。最後は戒に祝福の花冠をかぶせてもらった麗姫のその姿に1人置いて行かれた様な気になりながらも。見に来た笹目に励まされて後夜祭に挑んだ。 そこで楽しそうに話す戒と麗姫の姿を見て打ちのめされて今に至るのである。 「・・・・・笹目先輩・・・・私・・・・・生徒会長からアイツを奪えなかった・・・・!!!!!!」 ウルウルと涙するカセンに笹目は少々苦笑いを浮かべながらその頭を撫でてやる。 「大丈夫ですよ。・・・・ここに来れば生徒会で会う機会が減った戒さん・・早乙女さんにもまた会えますし・・・・・・・それに彼は・・・・・・・」 多分”両思い”であるそれを思い出しながら・・・それでも仲の良い二人を思い浮かべてため息をついた。 本当にあの二人は”仲がいい”それは誰しもがその仲をそういう風に見てしまうようなものであったが・・・・・それでも”不動”のミス華桜は”男性票”を一気に集めた。 それだけのカリスマ性と魅力を持つのが華桜麗姫。その人である。 時期はもうクリスマス・・・・笹目も文化祭を見に行った後からクリスマス公演・・・部活の引退準備や冬休み前のテスト期間などでカセンに会う暇も無かった。 ・・・・・・・・・・まさかこんなにショックを引きずっていたとは・・・・・そう思いながらも笹目は彼女を抱きしめ撫でながら・・・・・・・ 「クリスマス・・・プレゼントを買いに行きましょう・・・・!!!」 そういい始めた。 恋人達が集まる聖夜。彼女にとっての後夜祭をもう一度実現させてあげたくなったのである。 「告白しましょう・・・!カセンさん・・・!!!!私もソレに付き合います!!!」 そういった笹目にカセンは驚いて目を丸くした。 「こ・・・・・告白・・・!???????」 そして視線を下に落とすと顔を真っ赤に染めた。 「無・・・無理です・・あたし・・・だって・・・・・・///!!!!!」 そういう彼女に 「今は麗姫さんが傍に居るから大丈夫かもしれませんが生徒会の仕事をおりてフリーになった彼に他にもそういった女性が現れるかもしれません・・・・・多分麗姫さんと戒さんは付き合ってないと思いますが・・・・・・・・・・彼がそうなった事でこれからソレを狙うやからが増えるかもしれませんよ?」 そう言うとカセンは「あいつに着く虫は笹目先輩同様に打ち落としてやる・・・!!!」 何故か笹目に対してもソレが気に喰わないというようにそういい始めた。 少々物騒であるが・・・要は独占欲が強いのである。 上から引っ込み思案な女性らしさもありながら。不器用ながらに存在するその淡い恋心を笹目は応援したくなったのである。 出来れば自分も・・・・淡く心に残るソレに決着を付けたいが・・・・・・・・・・・・ でも自分は今進路を決めて卒業を目指さなければいけない身。 クリスマスが迫りそれももうあと数ヶ月しかない”卒業”に向けて。身を固めなければいけない都合上ふらふらとそれに気をとられるわけにはいかないが・・・・・ それでも目の前の彼女のソレは成就させてあげたい。 そう思い行動に出ることにしたのである。 それから「助っ人を呼びましょう。」 笹目はそう言って。携帯を取り出した。 「助っ人?」 カセンは笹目に抱きついまま不思議そうにその顔を眺めていた。 ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |