☆ササメモリアル☆
■イベント企画:まに祭!H■

■「佐伯先輩・・・・!!!」
雉鷹が木陰に佇んで本を読んでいると見慣れない顔の女子生徒が話しかけてきた。

制服は一般生徒の物を着ている。どうやら同じカトリック科の生徒ではないようだ。

「佐伯先輩!!今日私笹目先輩と一緒に歩いているのを他校舎で見ました!」

「あ・・あぁ・・」
それがどうしたんだと思いながら雉鷹は返事を返す。

「佐伯先輩は・・・!!笹目先輩とお付き合いなされてるんですか・・・!!!」

その言葉に雉鷹が彼女が何を言いたいかを察したがそれは押し黙るように視線を彼女に向ける。
「そういうわけではないが・・・・」

「佐伯先輩・・!!!!なら・・・私と付き合ってください!!!!舞台で先輩の姿を見てからずっと好きでした・・・!!!!」

あぁやっぱり・・・・・。
そう思い雉鷹が言葉を返そうとすると
「私、見たんです。賛美歌の鑑賞の後先輩と別れた笹目先輩が他の一般男性にキスしてるところを・・・!!!」

「・・・・・」これには雉鷹も驚いた。言い方が少々おかしいが確かにソレは事実であるが。
「それがどうしたというんだ・・・・」
今の自分には笹目のソレは関係は無い。関係ないとは思うが何故ソレを俺に伝えるんだと思いながら雉鷹はため息をついた。

「先輩・・・!!!私!笹目先輩みたいに軽いつもりはありません・・!!だから私。先輩と一緒に夜の部を・・・・!!!」

「・・・・・・悪いが・・・・」雉鷹の機嫌は一気に急降下した。
「・・・・夜の部までには出るつもりだが。・・・俺は君のような口の軽い女性はあまり好きでは無いんだ。」
笹目の事を軽いというがそれを話してくる目の前の女子生徒もかなり口が軽い気がする。

そんな女性と付き合えば瞬く間に自分のプライベートまで世に筒抜けになりそうだ。
断ったのはそんな理由ではないが・・見ず知らずに女子生徒に大事な部員の1人を悪く言われるのは部長としてあまりいい気はしない。その部長の座ももうすぐ引退が差し迫ってはいるが雉鷹はそのままぎっと女子生徒を睨みつける。

それでも彼女は食い下がる。「口が軽い・・・わけじゃないです!私・・・先輩が笹目先輩に騙されてるんじゃないかと思って・・それで・・・・」
女生徒は今度は泣きそうにそう言ってきた。

「・・・・・・」雉鷹は仕方なく女子生徒に近づくと慰めるようにぽんぽんと頭を撫でる。
「悪いが・・・・」

”夜の部にはもう予定があるんだ・・・・・”
それは口から出たでまかせであるが頭の端にかすかに誰かが浮かんだ気がする。

・・・・それが夜の部にも出ていれば話を交わしたいところだが・・・・・・。

耳元で優しくそういうとやっと彼女は諦めたのか「すみません//」と言って泣きながら去って行った。

そしてまた「はぁ」とため息をつくと雉鷹は近くのベンチにまた腰を落として本を読み始める。

それにしてもあの笹目が・・・・・・・。
昨日の舞台での祝福にも少々驚いたがその話が本当であればかなり驚く出来事である。
会った時はまだ固い人形のような女子生徒だったのに・・・・・・。

そう思いながらページをめくる。本日の賛美歌が彼女の心にどう響いただろうか・・・・・。

-------
一般開放の時間ももう終了が差し迫ってくる。

そして暫くしたら夜の部が始まる事になっている・・・・

笹目はどうするべきか迷っていた。・・・・・夜の部に出ても”思い出”を作りたい相手は・・・・・・・

そこに「笹目やい・・・!」

何故か神風鳳太を連れた板脇シノがやってきた。
「お・・・お婆様・・・!!!と・・・・神風君・・・!」
何故か微笑が出た。安堵というかなんというか。彼が一緒にいてくれたのかと思うとお婆様が1人でやってきて大丈夫・・・かと思った一瞬の不安も少し和らいだ。そんな感じの笑みであったが。

「笹目・・・和美・・・!・・・・・今日は・・・・!!!」
鳳太が何かを言おうと思ったところに「「鳳太・・・・!!」」と神風家の両親その両名が現れた。

「父さん・・・・!・・・それに。母さん・・・・!!!」

「あ・・・・・」笹目がそれに挨拶をしようとすると「和美ちゃん・・・!!!」
今度は笹目家の両親が現れる。

「あ・・・・・・・・」

そして初めて両家のご両親と当の鳳太。和美が揃う事になる。
「和美ちゃん・・・私達・・・・」

「鳳太・・・・・・」
何かを話そうとする両家の両親。それにシノがこう言った
「ここで会ったのも何がの縁だべ。・・・皆うちに来てご飯でもたべんちゃい!!」
相変らず何語なのか良く分からないがその言葉に笹目と鳳太は顔を合わせて笑みを向ける。

いろいろな事もあり鳳太は随分シノさんと打ち解けたようだ。

「一緒に・・・・帰りましょう」
手を差し伸べる笹目に両親の間に入って腕を組む鳳太。

二人の夜の部は校舎ではなく板脇家でとり行われることとなった。

といっても元の許婚のような関係ではなく”友人”として。
長い付き合いがしていけたらとそう思う。

・・・・・・・・・最後は皆笑みを浮かべて板脇家に帰ることになった。

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あきゅろす。
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