☆ササメモリアル☆
■イベント企画:まに祭!B■

■「笹目・・・お前・・・本当は・・・・アイツの”正体”に気づいてるんじゃないのか・・・・・?」

「・・・・・何のことです。部長?」
歩いていた足がぴたりと止まる。ソレは桜聖祭前夜のことであった。

準備で部活時間が長引いた手前近くの公園まで雉鷹が笹目を送る事になった。
その時の出来事である。

「いつまでも気づかないフリをしているのも構わないが・・・・・・おまえ自身・・・それがいつまでも続くことだとは思っては居ないだろう・・・・・・?」

その時は何のことだか良く分からなかったが。「”良く分からないです”」
と返したそれは”彼”神風鳳太くんのことだったのだ。

その鳳太くんが目の前に居る・・・・・・・・。
”良く分からないです”本当に・・・・良く分からない。私の気持ちは・・・・何なのだろう。
笹目は棺の中で困惑していた。

”神風鳳太くん”本当は気づいている。前々から両親に言われていた会った事も無い許婚のような人。
密かにそれに憧れたこともあったが今はそれを受け入れられないまま引きずっている。

ソレは彼に失礼だろうと思いながらも笹目もどうすればいいのか分からなかった。
そこに雉鷹が一石投じたのだ。

まさかリリちゃんの代役が特別ゲストとして彼になるとは思っても見なかった・・・・・

笹目は棺の中からうっすらと瞳を開けてその姿を確認する。

真っ赤な赤毛が魔女の化けた竜と戦っている。

確かにそれは”神風くん”だ。

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王子が魔女である竜を倒すと観客から拍手が上がった。

「姫は王子の熱い心で目覚める事ができるだろう・・・・!!!!!!!!」
神風君が剣を持つ片手を上げる。

そして笹目の眠る棺へと近づいてきた。
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笹目が眠る棺へと近づくと神風鳳太は息を飲んだ。
今は目を伏せ閉じている笹目の姿はやはり自分にとっては神々しいものだと思う。
整ったまつげがそのまま伏せられ薄く化粧を入れたその唇が誘うように花咲いている。

正直どうしたらいいかわからない。いけ好かない演劇部部長に乗せられてここまでやってきたがそのまま今の自分の気持ちを伝えても演目がめちゃめちゃになるような気がする。

ここまで来たのはいいがそれは彼女が嫌がることだろう。
そう思いながら暫し笹目を眺めているとうっすらと瞳を開いた彼女と目が合った。

「笹目・・・・和・・・み・・・・!!!」
慌てて大声を出すところだったがそれはなんとか抑えられた。正直この距離まで近づいて目を合わせるのも初めてのことだと思う。改めてそう思うと鳳太は顔を赤らめた。

一度ソコから顔を逸らし視線を下に向けると意を決して告白を決める。

「姫・・・!!!!!俺はずっとずっと貴方が好きでした・・・・///!!!!!!!!!今も好きです!!!!!愛しています。・・・・!!!!」
しかし・・・・

「しかし貴方は・・・・もしかすると他に好きな人がいるかもしれません・・・!!!それでも・・・・・//!!!」

それでも・・・もし叶う事なら・・・・・

「もし叶う事なら俺にも自分にとって大事に出来る相手が本当に見つかったときに貴方はその微笑を俺に見せてくれますか?」

告白というには失恋に近いフレーズだった。ありのままの気持ちを吐いたつもりだがやはり自分には役不足だったかもしれない・・・・・。
失意の余りに告白と同時に顔をそらせた。そして目を伏せて涙が出そうになったその瞬間。こめかみに何か生暖かいものが触れたような気がした。

「そういうことなら・・・私は貴方を祝福します・・・・・」

笹目からの祝福のキスだった。

「姫は王子の熱い気持ちで目が覚めました。」

そして
「お友達から始めましょう?」

小声でそう笹目が言った。
その言葉に感極まった神風鳳太は「笹目・・・なご・・み・・・っ!!!!!」
勢い余って起き上がった彼女の身体を抱きしめようとしたがいきなり足との布がずり下がりそのまますべって棺に頭をぶつける事となった。

「だ・・!??大丈夫・・・・・・?神風くん・・・・!!?」
驚いた笹目が覗き込むと
「ハハハ・・・・一生分の運を使い切ったみたいだ・・・・///」鳳太は恥ずかしげにはにかんだ。

単純に舞台裏から雉鷹が布を引っ張っただけなのだが。

もちろん彼。雉鷹にとっては”お友達”からはお断りの常套句である。
その真意は定かではないが舞台は無事に幕を下ろした。


そしてそのすぐ後のことである・・・・「おおおおおおおおお!!!!!」舞台裏から神風鳳太の雄たけびが聞こえてきた。「やっぱり俺は笹目和美の追っかけを続けるぞー・・・・!!!!!!!!」
そう言って彼は嬉しそうにどこかへと去って行った。

おおかた他の部が何かしら記録したであろう笹目の姿を買い占めるために出て行ったのであろう。

「なんなんだ・・・あの先輩・・・」後輩部員がため息をつく。
雉鷹は他の部員に片付けの指示を出している。

笹目は・・・・他の演目上がりの役者達と一緒に椅子に座ってお茶を飲んでいた。

そこに・・・・・・・
あらかた指示を終えた雉鷹がやってきた。


「笹目・・・・・・」

「なんです。部長?」


「もしお前がよければ明日の午前・・・一緒に賛美歌を聴きに行かないか・・・・・?」

次は雉鷹のターンである。

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あきゅろす。
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