■「今日の演目を発表する。舞台演目は”眠れる森の美女!”」 それは以前演劇部で公演をしたことのある演目で舞台セットがまだ一部器材室に残っていたことからそれが決まった。 「舞台は王子が茨の森についてから魔女を倒しそれから姫と口付けを交わすまでだ・・・・」 「く・・・口付けですか・・・//!!!」 かなり敏感な後輩部員が顔を真っ赤にしてそう呟いた。 「笹目。お前はとりあえず棺に入って眠っていろ。あとはアドリブで構わない・・・・・物語の方はコチラの特別ゲストが決める・・・・!」 「特別ゲストですか?」部長の言葉に笹目は不思議そうに見つめ返す。 「あぁ・・・安心しろ。お前も良く知ってる奴だ。あとはそいつの言動を見てお前がアドリブであわせればいい・・・・・・・」 「アドリブって・・・いいんですか先輩そんないい加減で・・・!!しかも配役もちゃんと決まってないじゃないですか!!」他の後輩部員もそう呟いた。 「配役は今から決める・・・美術班はすぐさまセットの用意。音楽班もナレーションは俺がやるが。当時使っていたBGMをすぐさま用意する事・・・あとは・・・・・衣装も一着借りていくぞ・・・!!!」 そう言って部長は部室を後にする。 「・・・・特別ゲストって誰ですかね・・・・・・?」 笹目はのほほんと椅子に座って新たな台本を覗いていた。 アドリブでいいという割には台本はしっかりと出来上がっていた。多分部長が用意したものだと思うが相変らずの用意周到振りである。 -------- 「出番が着たらちゃんと自分で判断して動くんだぞ。」 笹目が棺に入れられて舞台に設置されるまえ。雉鷹はそれに顔を寄せて話しかけてきた。 「分かりました・・・・部長・・・笹目は部長を信じます・・・・!」 ・・・・・本当に口付けを交わすことは無いだろうとは思いながらも笹目は少し震えていた。 この震えは何だろう・・・・・・そう思いながらも棺の中で眠りについた。 -------- 「父さん・・・・!母さん・・・!!!」 校門につくと一般公開にはまだ早いが父親と母親の姿がソコにあった。 「鳳太・・・!相変らず。元気だな・・・!!!」 「それで笹目家の長女の方とはどうなの?」 頭を撫でる父親に抱きついてくる母親。 それを鳳太は受け止めながら 「・・・・・これから自分の気持ちを伝えてきます・・・・・・・」 そう言ってその手を離すと校舎の方に戻って行った。 -------- そして開演時間がやってくる。 「・・・・・・茨の森の非道な魔女よ・・・・・!!!!!!!!姫は俺が助け出す・・・・・!!!!」 件を持った鳳太がステージ入り口から突入してきた。 そのままステージに上がり舞台がスタートする。 棺の中で眠る笹目はどこかで聞いたことのあるその声に困惑していた。 本当に口付けることは無いだろう・・・・分かってはいるが・・・・ この声は・・・・・・・・・・・ 分かっていながらも笹目の鼓動はドキドキとおかしな音を立てていた。 そこに先日部長から言われた言葉を思い出す。 ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |