■そういえば・・・中学一年生の他校の”あの子”に”恋って良く分からない”、と話したような気がする・・・・・・ その時は彼女の持つぽかぽかした心に触れて・・・安心して眠れたような。そんな気がした。 笹目の今のこの気持ちは”恋”なんだろうか。・・・・・それとはまた。違うようなでも似たようなその気持ちに。笹目はどうしたらいいのか分からなくなっていた。 ”相談があります。あとで連絡ください”笹目はその”一年生”にメールを送ると携帯を仕舞って教室を出る 「笹目ちゃーん!一緒にご飯食べよー・・・!!!」 リリちゃんが笑顔で迎えに来てくれたので学食に向かう事にした。 もちろん笹目は手には自分のお弁当を持っている。 ソレを持って学食に行くのはもう笹目は慣れっこだったそんな感じでリリちゃんとお昼を過ごす。 「ねぇ・・・リリちゃん・・・・・」 「どうしたの笹目ちゃん深刻な顔をして・・・・」 向かい合って椅子に座り笹目がそれに話しかけた。 「リリちゃんって・・・好きな人とか・・・・居るの・・・・・・・・?」 かなり突然な言い方である。 笹目は少々失礼かと思ったが聞いてみたくなってそう言った 「んー・・・・・・・」 暫しの沈黙の後。「いるよ!」とニコニコ答えたその答えは「笹目ちゃん!」 だった。 笹目はソレは嬉しく思ったが。今の気持ちをどう話せばいいか迷いながらもソレに続ける・・・・・・ 「私も・・・リリちゃんが好き。・・・大好き・・・・!でもそういう気持ちを”男の子”に寄せるのは・・・・迷惑なのかな?」 そう答えると。リリちゃんは急に真剣な顔つきをした。 「笹目ちゃんは・・・・・・少しわがままなんじゃない?」 ”え・・・・?”笹目がそう思ってリリちゃんを見つめるとその瞳の奥底に赤く光る何かが見えた。 「リリちゃん・・・・・?」 「・・・ううん。冗談。・・・笹目ちゃんは・・前は”部長”のことが好きだったんだよね・・・・・・」 ソレは暫く前の話。今は他に好きな人が出来たようでなんとも思わず部長といい関係を築けている。 「・・・そうだね。でも・・・今は・・・・・・」 それがわがままなのだろうか。笹目は確かにそれで周りを振り回してしまったような気がして少々押し黙る。 「その時と・・・・今の気持ちは・・・・”一緒なの?”」 そう聞かれて笹目はストレートに”違う”と思った。 確かに部長の事は好きだった・・・嫌われたくないと思ってずっと演技の自分を続けてきた。 人形のような生活の中でリリちゃんだけが何でも語れるお友達だった。 でも途中から・・・部長が好きなのは”リリちゃん”なんじゃないかと思うようになってしまった。 それだけ傍に居るほどに”彼女”リリちゃんが自分より魅力的に思えたからである。 「私は・・・・・」どうなんだろう。自分でも良く分からない。只。以前にそういう事を思ってしまったリリちゃんにそういう話を持ちかけたのは失礼だったのかもしれない。笹目はそう思いなおして。改めてリリちゃんを見やる。 本当に黒髪にお花の髪飾りが似合う可愛らしい・・・上から魅力的な女性である。部長とも仲も良く。男女関係無く誰とでも仲良くできるその姿に笹目は憧れを抱いていた。 しかし彼女のも本当は”演技”の自分を演じてきた演技者なのかもしれないが。 「今の関係を・・・壊したくないと思う。部長への気持ちは終わらせたけれども・・・でも・・」 今のこの気持ちのままでいいのだろうか。・・・でもそれを終わらせてしまうと自分の彼への眼差しは拒絶のものに変りそうな気がする。・・・・・・・自分の奥底を見ているようで触れられるのが怖い・・・・・ そんな気持ちを思いながらも”奥底”の自分を見ているような感覚だからこそ。大事にしたいとそう思う。 「ずっと友達でいたいの。本当に。本当に”好き・・”だと思う。だから・・・・・」 男女の垣根を越えて”ちゃんとした”友達になりたい。 それは私のわがままなのだろうか・・・・・。 笹目がそう思いなおすと 「それをそのままストレートに伝えたらいいんじゃない?」 リリちゃんにそういわれた。 ストレートに・・・・? 「笹目ちゃんは・・・何故か本心を隠すところがあるよね。・・・・・私も見ててそう思うよ。いつも人形のような綺麗な形で全てを演技で終わらせてしまうの。」 「・・・そうかな・・・・・?」 「そうだよ。・・・私も・・・・・そうだもの・・・・・」 「え・・・・?」 不意にリリちゃんが目を逸らした。 何か悪い事をしてしまっただろうか・・・・笹目がそう思ってリリちゃんの方に向かおうとすると。 「なんてね。・・・笹目ちゃんの気持ちを真似してみただけだよ」 と笑顔を向けられた。 ”わがまま”なのかな・・・・・・・ 笹目はそれに笑顔を返す事が出来なかった。 なんとなく”リリちゃん”のその笑顔がぎこちなく見えたからである。 わがまま・・・なのかな・・・・・・・・。 それから笹目は暫く授業が耳に入らないほどに悩んでいた。 そして放課後を迎えるのである。 [*前へ][次へ#] [戻る] |