■「”めーちゃん”って、好きな人。居る?」 不意に蘭姫にそういわれて私は驚いた。 「好きな・・・人?」 ”めーちゃん”というのは私。笹目和美(なごみ)の事。 目の前の少女”蘭姫(らんき)”とは公園で次回の演劇部公演予定だった”人魚姫”の姫の練習をしているときに出会った別の学校の中学生。 「私はね。居るんだ、好きな人」 そう言って誰かを想いながら話したのか少しはにかみ気味の笑顔を見せながら話しかける彼女に私は少し戸惑った。 「あのね、私の好きな人は・・・・・・・」 そういう蘭姫に「何でそんな質問をするの?」と言葉を隔てるように返してしまった。 思い当たる節はある。・・・・・・・心の奥底に居る誰かの影。 「え・・えっと・・。」 蘭姫は困ったように話を続けた。 「だって。ね。人魚姫って好きな人のために命をかけるお話でしょう?」 だから私は”好きな人のこと”本当に好きって話したくて”めーちゃん”ともそういうお話がしたかったんだ。 平然と笑顔を見せるそれに少し眉を曇らせながら笹目もそれに言葉を続ける。 「あのね。蘭姫ちゃん。”人魚姫”って作品はね・・・・」 どんなに好きで求めても手に入らなかった悲恋の悲しいお話なのよ。 そういいたかったけれども。どうしてもそれは涙が零れそうだったので言えなかった。 どうしても”人魚姫”の王子を想うシーンのソレが上手くできない。 ”想う”強さが強すぎるのか逆にソレを隠そうと表立って逆になってしまう。 部長にもそれを指摘されて公園で練習を始めたところで蘭姫と出会った。 「私ね。”めーちゃん”のお歌凄く大好きなんだ。」 綺麗でやさしくて凄く透き通っていて。本当に”お姫様”が目の前に現れたのかと思うくらい素敵だった。 そして 「そんな素敵な人が”好きになる人”ってとっても素敵な人なんだろうなぁー・・って」 笑顔でそう続ける蘭姫に。何かを言いたかった笹目だがそのまま笑顔を返す事にする。 「そうね。きっと、人魚姫は”本当に”王子様の全てを好きでいたんでしょうね」 心の奥底に黒いもやのようなものがかかったがこのこの笑顔を見ているとそれもどこかへ行ってしまう。 「あ、私。もう帰る時間だ・・・・!」 小等部に”弟”を迎えに行かなきゃ・・・・・! そう言って立ち上がった蘭姫に不意に笹目は口付けた。 もちろんそれは唇ではない。”頭”である。 「また。会いましょう。蘭姫。私はあなたのこと。好きよ?」 そう言って笑顔を見せると彼女は顔を真っ赤にして「うん!」と笑顔を見せるとそのまま走って去って行った。 「そっか・・・好きな人か」 心の片隅に何かが浮かんだような気がしたけれどもそれはもうかき消した。 「こういう・・・・・・・”好き”の形もあるんだよね」 それは”友達”としての”好き”。”ラブ”ではなく”ライク”の方である。 「こっちの方が軽い気持ちで素敵に歌えそうな気がする・・・・・・・」 その後笹目は1人残って歌の練習をした。 大好きな貴方が無事に家に帰れますように・・・・・・・。 ---- ※順番がここでいいのか分からないが(何かブログの順番と日付がずれてる気がするけど^^;) カテゴリ二つ別々に作っていたのであわせにくいですが・・・・・何か順番がずれてたらスミマセン></// とりあえずこのあたりから蘭姫入ってきます。 そして暫く学パロが続くと思います宜しくお願いいたします苦笑汗汗汗(順番あってないかもしれない苦笑汗汗汗^^; [*前へ][次へ#] [戻る] |