■気づくと俺は見知らぬ天井を眺めていた。 慣れない敷布団。起き上がろうとすると布団がずれて腹部が痛んだ・・・ 「・・・・・っ・・・!!??」 鳳太はその感覚に顔をしかめる。”起き上がれない・・・・・” なんとなくそう思って一度倒れ直して腹部に手を当てるとその上から更に妙な感覚が走った 「・・・・・・・。」 男なのか女なのか良く分からない紫色の髪をした髪のが長い少年が自分の上に乗っている・・・・・・・・・。 こ・・・”怖い・・・”だが腹部が痛くて声が出ない・・・・ それでも無理に手でソレを追い払おうと思ったその時だった。 「お姉ちゃーん・・・!!!!!この人やっと起きたよー・・・・?」 そう言って紫色の物体はドアを開けて去って行った。 そして暫くその方向を見つめていると次に現れたのはあいつだった・・・ 「ん・・・・・・。」 起きたかといわんばかりにアイスを咥えてやってきたそれがこちらを見下ろしてくる・・・。 「あ・・・お前・・・!!!!!」腹が痛かったが慌てて俺は起き上がった・・・・・ 「・・っ・・・ゲホゲホっ・・!!」 その勢いが強すぎたのか俺はむせてしまった。 勢いで口から血が出ないかと不安だったが出なかった・・・・ 「・・・・大丈夫か?」咥えたアイスを手に持ち直して。そいつは俺の背に手を当てた。 「お前・・・・・・・」 ”ここはどこなんだ!!”と聞きたかったがそのまえに「何故こんなに腹が痛いんだ・・・!!!!!!」 そう言うと”そいつ”こと早乙女戒は”覚えてネェのか?”と返してきた。 ”は・・・・・?”何の事だと俺が不思議そうにその顔を見つめていると。 「お前、あの黒い犬に突撃されて気絶したんだぞ?」とそれに続いた。 黒い犬・・・・? ”そうだ・・!!!!” 「笹目和美・・・!!!!!・・・・っ・・・!?????」 慌てて立ち上がるとまた腹部が痛んだ。 「いや、そんなに痛いわけねーだろ・・・・」 何故かアイスを食べなおし始めたソレに言われ”何だと!”という瞳でじっと見つめる。 「手当ては完璧にしてやったし・・・・少しサラシがきつかったか?まぁその辺はよくわからねぇが・・・・腹でも減って痛ぇんじゃねぇの?」 ポン。・・・・と。腹部を押さえる俺の背中をそいつは片手で叩いてきた。 「それとも何だ・・・お前・・・もしかして・・・生・・・・・・・りっ・・・・ぶは・・・・っ?」 彼は”生理”とい言いたかったらしい、だがその言葉の途中でスパーンと大きな音をたてるようにそいつの頭を誰か叩いた。 「お昼よ・・・・・?」 低音のそこそこ心地のいい女の声がする。 「あ・・・・!!!」 ”会計女!!!!” 俺がそう言うと「”何よ!バカ男!”」と返された。 ・・・・・・・・・・・・・そして気づくといつの間にか腹部の痛みがなくなっていた。 そして・・・「やっぱり犬は嫌いだ・・・」そう呟いた後「”ここはお前の家か?”」と、会計女に尋ねると。 「違うわよ。・・・それよりあんた。お昼代払いなさいよ。」 ・・・・そう言って玄関へと連れて行かれた。 「どうもピザの”かざくらん”です。パスタとピザをお届けにあがりましたー・・・・」 地元のピザ屋のスタッフがそこでピザとパスタを持って待っていた。 「なんで俺が払わなきゃいけないんだ・・・・!!!!!」 そういうと”会計女”カセンは「あんた、他で迷惑かけたらしいじゃなぁい。ここで暫く寝かせてもらったお礼も兼ねて払いなさいよ・・・・!」と強く睨んでくるものだから仕方なく俺はソレを払う事にした。 「カードでいいか・・・?」 「現金でお願いします・・・・・・」 そんなやり取りのうちピザとパスタを受け取ると「お昼よー・・・・?」 とまた聞きなれない女の声がした。 「あ・・・、えっと。初めまして。早乙女蘭姫(らんき)です。」 ぺこりと頭を下げた少女はピンクのエプロンをつけていた。 そのオレンジ毛が誰かを思い出すようでつい「可愛い・・・・」と声にもれた。 ・・・・・暫しの沈黙の後「「ロリコン・・」」と揃った声が聞こえてきた。 カセンと戒である。 「・・・ち・・違・・・・っ・・・!!!!!」俺がそちらを向こうとすると「有難う///」と当の少女にはにかまれ俺は恋に落ちそうになった。・・・どうにも俺はこのオレンジ毛に弱いらしい。 ”笹目和美”俺の許婚。それに似ているからだ。 そして”お昼”といわれて席に着くとテーブルの上になにやら黒い塊が置いてあった。 そこにピザとパスタが置かれていく。 「なんだコレは・・・・?」 俺がその黒い塊を指差すと。それには似合わないだろう味噌汁を持ってやってきたカセンが”焼きおにぎり”と顔を染めてそういった。 何故赤くなるんだ? そう思ったがそこそこ可愛い赤面顔だったので暫し俺が固まっていると。肩をポン。とたたかれた。 「・・・・・カセンと蘭姫が”一生懸命”作ったおにぎり何だから。残さず食えよ?」 と。俺の皿にそいつは黒い塊を置いてきた。 「早乙女・・・・」俺がそう睨みつけると「はい?」と天使のような可愛い中学生がこちらを向いたので。俺は仕方なくそれを頂く事にした。本当に天使のように可愛い子だ。俺と笹目和美に子供ができたらきっとこんな可愛い子に違いない。 そう思いながら昼食を頂いた。確かに昼食を頂くと本当に元気が出た。どうやらやはり腹が減っていたようだ。それにしても・・・・・ 「早乙女・・・いや・・戒・・!貴様なんでさっきは邪魔してくれたんだ・・・・!!!」 「は・・・・?」 何が。と昼食を食べ終えてソファーに座ってテレビを観始めたそれに俺は語り始めた。 「笹目和美のことだよ!!!!何でお前があいつと一緒にいて。それから邪魔をしてきたんだ・・・!!!!」 俺は随分と大きな声で語ったらしい。「「え?」」まだテーブルで昼食を取っていた女子二人がそれに反応した。 「笹目先輩・・・・?」 「めーちゃん・・・?」 二人はそれぞれ別の呼び方をしていたが二人ともそれには面識があった。 そしてテーブルの隣に座っていたカセンが思いっきり鳳太の胸倉を掴んだ。 「・・っ・・・!!!お前・・・もしかして笹目先輩になんかしたの・・・・!??????」 いや、正確には初めてやっとめぐり合えただけで何もしていない。だが・・・・ 「お前こそなんで笹目和美を知っているんだ・・・・!!!俺の大事な許婚だぞ・・・・・?」 その言葉に女子二人が固まった。 そして鳴っていたテレビの音が止められると「あーあ・・・」 という声が聞こえてきた。 そして「お兄ちゃん。この苦い黒いのおにいちゃんのお皿にあげる・・・」 ててて・・・と早乙女・・・蘭姫の隣に座っていた弟がそういってコチラにやってきた。 ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |