■「よう・・!お前か。一年最後の今学期から新しく生徒会に入ってきた帰国子女ていうのは」 緑の短髪が爽やかに揺れる。最初は好印象を持った男だった。 けれども 「あ・・戒・・!また制服のネクタイを乱しましたね・・・・!」 あの女が現れた。”華桜麗姫”生徒会長で奴の飼い主・・・ 「げ・・!”麗姫(うるひめ)!”今日くらいは見逃せよ・・!可愛い後輩の前で威厳は保ちたいだろ・・!!!」 そう言ってこちらに笑みを向けるそいつ。 それに「威厳を保ちたいなら服装を直しなさい・・・・!!!!」長いスカート丈が良く似合うその美しい風貌の彼女がその乱れを直接直す。 絵になる光景だった。決して男の方が美男というわけではないが美男美女カップルとしてクラスでもファンが多かった。それが気に入らなくて逆に気になった。 別に好きなわけじゃない・・・・アイツの事・・・けれども・・・ 3日目の昼。ついにカセンは笹目の家から出て行くことにした。 彼女が学校へ言っている間祖母の畑の手伝いや家の掃除や選択など火事仕事をこなしすっかり女の子の自分に戻っていた。 帰りも彼女にもらった綺麗な女物の服装にロングヘアのカツラを被っていたので気分もそのまま油断していた。 ”私の在る場所・・・・・ソレは・・・”どこ”・・・だろう・・・?” 「・・・・つっ・・!”カセン”・・・!???」 え・・・・? エレベーターから降りて三階。部屋へと繋がる通路に入ったところでそいつが目に飛び込んできた。 何故かそいつはドアの前に背を向けて座り込んでいたので思いきりコチラの顔が見えたらしい。 「・・・・・っ・・・・!?????????戒・・・・・・!???・・・・・・・・・あっ・・・・」 しまった・・・・・・・ つい返事をしてしまった・・・・・・・・・・・・ 戒・・・・”先輩”・・・と答えようとした手前で声が詰まった。 「お前・・・・”戒”はネェだろう・・・・先輩に向かって・・・・・・」 はぁとため息を付くとこちらに寄ってきた。 私は慌ててエレベーターのボタンを押すとドアが開いた。そこから乗り込んでとりあえず逃げよう。 そう思い無機を変えた瞬間に小さな影が目に飛び込んできた。 「あ・・・”戒”・・・。どうしたの・・・・?」 大根とネギの入ったスーパー袋を持った中学生服の女の子だった。 「あ・・・・!よー・・・蘭姫・・・!!!!!!」 そう言って後ろの男が手を振っている。 「実はよ、俺。家の鍵忘れちまってな。・・・とりあえず両親が帰ってくるまでお前ん家にいさせてくれ。」 何事も無かったの用にやりくりされるその会話。 私には訳が分からなかった・・・・・どういうことだろう・・・・・・。 「と・・・いうわけで。うちの学校の後輩”カセン”だ。」 どん!!と効果音でもつくんじゃないかと思うくらいの勢いで部屋に上がった私に彼は手を向けた。 ・・・・何故こんなことになったのだろう・・・・・。 仕方ないので”彼女”にもらった白い帽子を深く被る事にした。 極力顔を見られたくない。 が・・・ 「あ・・・・・!」 ”蘭姫”と呼ばれていた女子中学生が話し出した。 「あ、いつもゴミ出しのときに見かける高校の先輩だ・・・・・」 ・・・・ゴミ出し・・・・・? その言葉に思い当たる節があった・・・早朝早めに学校に出かける途中大きな袋を持った小さなオレンジの髪の子を良く見かけた。 それは私の部屋と同じ階の違うドア・・・・。 ”そうか・・・・” そういうことかぁー・・・・・・・・・・・・・・・ 私は愕然と肩を落とした。 早乙女蘭姫と名乗ったこの少女。・・・・きっとこの男。”早乙女戒”の親戚か何かである。 ・・・そこまで気づいて私はすぐさま退室しようとドアに向か・・・・・・ おうとしたら戒・・・先輩に腕を捕まれた。 「・・・・・・・・おい。今日は鍋らしいぞ。一緒に食っていけ・・・・」 何故か少し涎が見える。 「嫌です。」 すっぱりそう答えるとその先で小さな少女が顔をしかめた。 ・・・・・ロングヘアが昔の自分を思い出すようで・・・・仕方なくもう暫く居座る事にした。 ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |