■謎の男とのテニス対決は急遽幕を開けた。 元々男はメイの事を前々から狙っていてしつこく追いかけていたストーカーのようなものであった。 だが。メイのその強さになかなか彼女をものにすることは出来ずいつしか彼女を倒した瞬間から彼女が自分のものになると思いこむようになっていた。 そんな中。目の前に現れたましろは格好の餌食であった。 この男を倒せば・・・・・・・大男はそう思い対決に臨んだ。 「たっちゃん仕込の俺のテニスは中々にしぶといよ・・・・!!!!」 「笑止・・・!全て我が拳で突き落としてくれる!!!!} 「落としたら意味無いっつーの・・・!!!!!!」 テニスのルールわかっていってんのかコイツ・・・・・・と思いながらも良くは分からないが負けたら猫忍さんが男のものになってしまう・・・!という事でましろは真剣な顔つきでラケットを握った。 「行くよ・・・・・!!!」 そう言って軽快にサーブを投げつける。丸腰の男はそれを手刀で叩き落した。 「だからルールが・・・・・・」 そういうましろに 「ナイスサーブです。ましろ様・・・・!」 メイが棒読みでそう答えてきた。 「・・・・・・!・・・・へへっ・・・・!」 あからさまな演技だとは分かりつつもなんだかんだで嬉しいましろはメイに向かって指を立てた。 「むむむ・・・・!!!!」 ソレを気に喰わないという目で見ているのは大男の方である。 「叩き落とす程度では駄目だというのか・・・・・!!!!」 ならば・・・・・・!!!!!!!! 「それじゃぁ・・・次も行くよ・・・!!!」 そう言ってましろがまたサーブを投げる・・・・次に男が繰り出してきたのは正拳突きであった。 「これならどうだぁ・・・・!!!」 「え・・・っ・・・・!!!」 力を持った鋭いソレがまっすぐましろの顔に向かって飛んでくる。 ま・・・・マズイ・・・・!!!ましろが何とかラケットを顔の前に構えると ふわりと目の前に優しい風が吹いた。 仕方ないですね。ましろ様・・・・・・これは今回一つ貸しにさせていただきますよ・・・・!!!!!! そう言ってメイはましろの前に降り立つと綺麗なフォームの回し蹴りでソレをけり返した。 その風圧に圧倒されて腰を落としたましろからはしっかりとメイのパンツが丸見えだった・・・・・・・・・ 黒の・・・・・ヒモパンだ・・・・・・・・。 ソレが彼の最後の言葉・・・・もとい意識を失う直前の言葉であった・・・・・。 --- 「寒っ・・・!!!」 そう言って。目を開けると冬の濁った寒空が見えた。 「ん・・・・ここは・・・・・・・?」 身体を起こして周りを見渡すと。ソコは見慣れた公園であった。 ベンチに寝ていたらしいましろの枕元には今朝買った参考書が枕代わり置かれていた。 「・・・・・・」 「夢・・・・・・?」 不意に先ほどまでの出来事が頭を流れる。 「・・・・・・・!!猫忍さん・・・・!????」 「はい・・・・・・?」 ましろがそう言ってあたりを見渡すと背中側のほうから声が聞こえた。 「どうしました、ましろ様?」 そう言って振り返ると両手に缶コーヒーを握り締めたメイがこちらに向かって歩いてきた。 「あ・・・・・・」 先ほどの出来事を思い出して急に赤くなるましろはソレが夢だったかどうかメイに聞いてみた。 「・・・・・・・・・・夢だと思いましたか・・・・・?」 「いや・・・・・」 今思うとソレはメイの”計算”だったような気がする。 本屋で偶然出くわしたのも・・・・・男があの場所で待っていたのも・・・そして・・・・・・・・・・・ 「これも・・・・・・猫忍さんの・・・・計算かい?」 そう渡されたコーヒーを飲みながらちらりと見やる。 同じベンチ。隣に座ったメイは 「何のことですか?」とヒョウヒョウと返す。 それでも・・・・・・・・・ 「なんとなく。理数科の猫忍さんならやりそうなことだよね。」と。ましろは笑って見せた。 それに何かを感じ取ったのかクスリと笑うとメイは「ハッピーバースディ」と彼に手編みのマフラーをかけた。 「え・・・・?猫忍さん・・・//!??」 驚くましろにメイは笑顔で「鳳太さまが以前笹目様にと作ったものです・・・・・・・先日何気なくに頂いたものですが・・・今日のお礼に差し上げます」 と言ってフッっと笑った。 ・・・・・なんだろう。なんだか分からないが少しだけ自信が持てたような気がする。 「有難う・・・・・少しだけ。猫忍さんの香りがするよ・・・・」 そう言って巻いたマフラーに顔を寄せるとメイは笑顔で「鳳太様の涙の結晶です」 と答えた。 正直ましろは”それはいらない”と思ったが。なんだか気持ちがぽかぽかして嬉しいような気がしたのでにっと笑って笑顔を返した。 そして・・・・・・ 「先日・・・君が俺の家に遊びに来た時に・・・こう思ったんだ・・・・」 ”手を握りたい” それはささやかな憧れの気持ちであるが・・・・・・・ 「今日は・・・・・・・・握らせてくれるかい?」 そう言って手を差し伸べる。 と、メイは笑顔で「遠慮します。」 と低く答えた。 ・・・・・・・・そっか・・・・・・。 「残念だな」というましろにメイは「先ほどの大男をなだめ返すのに少々手が汚れてしまって・・・・・・・・・・・」とクスリと笑った。 コレも猫忍さんの計算だろうか。 「君が。好きだよ・・・。」 ましろはそう言って笑顔を見せた。 ■END■ [*前へ][次へ#] [戻る] |