■「へへっ・・・」 本屋の店内、朝一番で参考書を買いにきた八代真司郎はソレを手に取り笑顔を見せた。 進学科に在籍する彼もなんだかんだで勉強が好きなのである。 そして手にしたソレを片手に清算へと向かう。今日は11月23日。彼の誕生日である。 ガー・・・・・・・・・ と自動ドアを抜けて道に出ると丁度目の前を見知った顔が通りかかった。 「猫忍・・・・さん・・・・!!!!」 そう言って目の前をすり抜けたソレに話しかけると買い物袋からネギを覗かせた彼女がうっらと微笑んだ・・・・・・・ように見えた。 彼はその”猫忍さん”に好意があるのである。一度はフラれているものの。”友達”関係になれたソレは彼にとっては好都合とばかりに気にする様子は無かった。 そして・・・・・ 「良かったら途中まで送っていくよ・・・・!というか一緒に歩かせてもらってもいいかい?」 と笑顔で話しかけるとネギを片手に振り向いたそれはこくりと小さく頷いた。 --- 「そうですか。今日はましろ様のお誕生日ですか・・・・」 ”ましろ様・・・・”なんだかんだで不思議な呼び方で呼ばれているソレはえへんと誇らしげにそう頷いた。 「あぁ。・・・・これで俺もきじたっちゃんと同い年だ。いつまでも弟分みたいにはいられないからね。」 と18になったソレを誇らしげに言う彼にまだ17歳のメイはクスリと微笑んだ。 「鳳太様も早くましろ様みたいに自立してくださればいいものを・・・・」 従者である彼女は主のソレをため息混じりにそういった。 まだ17歳の彼もまた笹目にフラれてはいるもののなんだかんだでおっかけを続けているようである。 変わらない毎日。少しずつ変化していくようでやはり変わらないソレは何だか照れくさくもありものかしいものであった。 そんな中でも彼らは少しずつ大人になっていく。ソレは自分のため。周りのため・・・・そして・・・・・ 「猫忍さん・・・・!」 ましろが何か言おうとした。 と。その瞬間・・・・・・・ 「ふはははは・・・・!待っていたぞ。猫忍メイ・・・!今日こそは我が主をうちまかして女にさせてくれよう・・・・・!」 2mはあるかと思われる柔道着の変な男が現れた。 隣町の柔道部の主将である。何故そんな彼がこの町に居るのかは分からないがメイの事を追いかけてここまでやってきたようだ。 「・・・・・しつこい人ですね。貴方はどうあがいても私には勝てないと言うのに・・・・・」 何だか良く分からないがましろは間に挟まれてその会話を聞くことになった。 「あの・・・・猫忍さん・・・・?」 そう言ってましろがメイに話しかけると「なんだ!その男は・・・!」 と機嫌を露に男がましろに顔を向けた。 「え・・・え・・・・!???」 良く分からないがましろがそちらの方を向くと。 「丁度いいですね。ましろ様。貴方の手であの男を倒してください。」 と。メイが言った。 「え・・・・・・?」 良く分からないといった口ぶりでましろがメイの方を見るとメイは次にこう言った。 「私にはもう心に決めた方がいらっしゃいますので。その方を倒してからにしてくださらないとあなたのお話は聞きません」 そう言って。メイはましろを指差した。 「私が欲しければ、彼を倒してからにしてください。」 「は・・・・・・・?」 良くわらから無いがましろはそのままその大男と戦うことになった。 と言ってもましろにはそれほど戦闘能力は無い。 だが口八丁手八丁で何とか男をなだめこんで自分のテリトリーで戦うことまではこぎつけた。 というわけで。ましろは二人と連れ近くのテニスコートへとやってきた。 「これなら俺にも分があるよ・・・!」 そう言って大男にラケットを向ける。 「・・・・・・・・・・・笑止!我の力を持ってすればどんな土壌も我が物だ・・・!」 そう言って大男は素手でソレを迎え打つ。 「え・・・・マジで・・・・!!!!」 ラケット持つ気は無いのかよ!!!!!!と半ば丸腰の相手にラケットを持ってボールをぶつけるのもどうかと思いながら急遽始まった謎のテニス合戦は幕を開けるのである。 ■NEXT■ [*前へ][次へ#] [戻る] |