☆ササメモリアル☆
■シェアハッピー/板脇家。■

■「テツ。おいで・・・・!」

笹目は駆け寄ってきた犬のテツを抱きしめた。
黒い色のソレは嬉しそうに尻尾を振っている。


「テツ。今日はポッキーの日ですって・・・・・!一緒にポッキーを食べましょう・・・・!」

そう言ってソレを取り出す笹目の後ろで。

「駄目ですよ。和美(なごみ)さん・・・・・!犬にはチョコは禁止ですよ」

と雪鷹がやってきた。


「雪さん・・・・///」

いつの間にか”笹目さん”ではなく”和美さん”と呼ばれるようになったそれは物凄く嬉しいようで恥ずかしくなんだかくすぐったいものであった。

といってもこの二人の関係もまともにそんな名前で呼び合えるのは二人きりの時だけであったが。


だが。突然ここで別の声が聞こえてきた。


「大丈夫ですよ。笹目さん。今日は1の連続”犬の日”ということで。僕も”人間”になりました。」


「て・・・テツ・・・・!???????」

いつのまにか胸元から離れていたソレは目の前に人の姿で立ち上がっていた。

黒い髪に黒い瞳。耳と尻尾の着いたそれは”男性”の姿をしていた。



・・・・・しかしやはり元は犬。服を着てないそれを間近で見ることになった笹目は驚きのあまり真っ赤になって意識を失った。


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「て・・・・・テツ・・・・・・・」

そう言って笹目が目を覚ますとそこは自分の部屋であった。
視界の先には天井が見える。いつもの空間いつもの部屋。


しか隣には・・・・・・・・・
「ゆ・・・・・・・雪鷹さん・・・!???????」

隣でくーくーと小さな寝息を立てて身体を丸めるように眠るソレが布団に入り込んでいた。


「・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・アレ・・・・・・・?」
そういってむにゃむにゃと雪鷹は起き上がると外の景色を見回した。


「あ・・・スミマセン。どうやら仕事で帰ってきて部屋を間違えて寝たようです。」


「そ・・・・そうですか・・・・・///」
寝巻き姿の笹目は恥ずかしそうに布団でそれを隠すように距離をとる。

だが。

「駄目ですよ。笹目さん。・・・・・・・・”部屋の鍵”ちゃんとかけないと悪い僕みたいなのが添い寝にやってきますよ?」


「え・・・・・?」


・・・・・・・確信犯なのか本当に寝ぼけてやってきたのか分からないソレはそう言って笹目の額にキスをした。


「・・・・・・今度から。二人きりの時は”和美さん”と呼んでもいいですか?」


「え・・・・・///!?え・・・・・!???」

もしかしてこれも”夢・・・・・・・”もしかして・・・・このあと人間になったテツが出てくるんじゃ・・・・!???????

笹目がそう思った瞬間笹目の部屋のドアが開いた・・・・・・


”まさか!????”
笹目がそう思った瞬間である。


そこから現れたのは小柄な背の低い老婆であった。


「ごら!!!!!!ゆぎだが!!!!!笹目の部屋にはいるでねぇ・・!!!!」
そう言って持っていた箒で雪鷹に遅いかかかる祖母のシノさんに笹目は圧倒されながら、そうだと学生カバンに入れっぱなしになっていたそれを取り出した。

「大丈夫ですよ。お婆様・・・・・雪鷹さんに限って何か起こる事はありませんから」
そう言って微笑む笹目に何か男の威厳的なモノを失ったような雪鷹だったが。雪鷹もシノも笹目から渡されたソレを受け取った。



「シェアハッピーです・・・・!」
そう言って微笑む笹目に窓の外でテツが尻尾を振って回っていた。

今日はポッキーの日。
「雪さん。名前で呼んでくれてありがとうございます・・・・・・」


笹目は丁寧にそう返した。



■END■

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あきゅろす。
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