☆ササメモリアル☆
■それぞれのバレンタインB■

■そういえば昔好きになった女子の一人に”雉鷹”と言う名前は変な名前だといわれたような気がする。

それからあまり女子とは距離を置くようになったが・・・・・・”冷めた目線”というのだろうか。
早く大人になって見返したい思いがあったような気がする。

演劇部に入るようになってから自然と取り巻きは出来たがやはりくもった目線でソレを見ていた。
俺の眼鏡はその距離感の証だ・・・・。

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「アラ。佐伯くんってもしかして伊達眼鏡?」

「・・・・っ・・・・!?生島・・・・・・!???」
キラキラしたまぶしい光に一瞬目が遮られた。どうやら俺はいつの間にか眠っていたらしい。

「ごめんなさい。佐伯君。随分と気持ちよさそうに寝ているものだからついつい近寄って覗き込んでたら眼鏡のソリがおかしいなー・・・と思ってつい触らせてもらったの。」

どうやら彼女は矯正の後が無いソレを不思議に思ったらしく良く見てみようと外したらしい。
「今は・・・・1人か・・・・・?」

いつもは双子の弟と一緒に居る事もあるが・・・

「えぇ、翔太は今日は用事があって別の場所に居るわ。それに私も今日はバレンタインですもの。皆に友チョコを配るため私も早く学校に来たの。」

「・・・・そうか・・・・・。」
友チョコと聞いて少しだけ期待心がうずいた気がする。
彼女はもともとクラスメイト。去年もクラスの人間に何かを配っていたような気がする。

「礼拝堂の聖母様は随分とお忙しいようだな。」

「あら、その言い方は何。皮肉?・・・ハイ。佐伯君にもコレをあげるわ。」
そう言って渡されたのは綺麗にラッピングされたチョコレートマフィン。

ソレを見て雉鷹は一言こう言った。
「なぁ・・・・生島、俺の名前・・・・”雉鷹”っていうのは・・・・変な名前だと思うか?」

受け取っていいのか分からないソレを手にしながら眼鏡の無い瞳で手元を見やる。

「なぁにソレ?私はそういった偏見的な差別なんかはしたりしないわよ?」

そう言って微笑む彼女に雉鷹は安堵感を覚えたがやはり眼鏡が無いと照れくささを感じる。

「なぁ・・・そろそろ眼鏡を返してくれないか。」
「え、あ・・はい。コレ」
彼女の手に置かれたソレはすんなり手元に戻ってきた。

と、ふと雉鷹は自分の胸元にチョコレート菓子を入れていたことを思い出す。
それは義母といっていいのだろうか祖母が渡してくれたポッ〇ーの一袋。

「生島。お礼にチョコ食うか?」

チョコにチョコで返すのもどうかと思ったが雉鷹は封を開けてそれを取り出そうとする。

「あら、いいの佐伯くん。有難う。」
ソレを取り出して渡そうとした瞬間彼女の口元がソレに近づいてきた。

ポキン!

良い音を立ててそれが折れる音がする。
袋を開けてすぐ雉鷹のすぐ手元に生島の顔がある。

ふわりと香るシャンプーの匂いなのかほのかに花のようなにおいがする。

ドキリとそれに反応する自分が居る。

これはマズイ・・・・・・男として色々マズイ・・・・
雉鷹はそう思いながらもここで奥底に秘めていたソレを吐き出す事にした。

それはどこか母親の面影に近い彼女に対する淡い思い。

「生島・・・・・好きだ。」

あえて眼鏡はかけずに話した。まっすぐな瞳で彼女を見やる。




「いっくちゃーん・・・・!!!!」
クラスメイトの女子の声がした。

「・・・・・・・・・・」
少々フリーズしたというのだろうか一瞬固まった生島だったがワンテンポ遅れて
「あ、はーい・・・・!」
と返事をするとそのままクラスメイトの方へと走っていった。


手には先ほど渡されたマフィンと返された眼鏡が残されている。


「俺は・・・・・・・」

”今・・・・・・何を言った・・・・・・・・・?”
ついその場の流れで吐き出してしまったソレ。

この先アメリカに帰るであろう生島には迷惑だっただろうか。
そもそも”最後の告白”もそれを見越してはなむけに送るつもりだったのだが・・・・・・・

白く包まれたぼんやりとした光を眺めながら自信の眼鏡を付け直す。

っと。急にどっと鼓動がおかしくなった。

そして真っ赤になる自分。


”俺は・・・・・・何を言ったんだ・・・・・・・”

礼拝堂での彼の苦悩はここから始まるのであった


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ちなみにその頃ましろはというと
「今年も義理チョコすらもらえない可哀想な男性諸君にましろちゃんからのプレゼントだよー・・・・・・・・・・?」

と関係各所に”ご縁”チョコをばら撒きに行っていた

が。
「あ!ましろ先輩おはようございまーす!」
「ましろくん。良かったらコレもらってってね」

「サンキュー・・・・!」

ちゃっかり訪問ついでに女子からチョコをもらっていくので男子からが酷い目で見られていた。

が、成績優秀な元生徒会役員という事であって誰も彼になにかをすることは出来なかった。

そんなギスギスした視線を尻目にチョコを回収していくましろであった・・・・・・。


そして舞台は放課後に移るのである。

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