■「結婚・・・ですか?」 「あぁ、そうだ。」 それは”軍部”に”上がってすぐ”の事、上官で”上将”の”父”からいきなりそう言い放たれた”その言葉” やはり”お前”には”軍”は”向いてはいない”。 「尚更、”投資化”のパトロンの”息子”の一人が”会合”で”護衛”についていた”お前”に一目ぼれしたらしい」 「下手に”戦場”で”体に傷”が付く前に”外交渉の一環として”嫁ぐ気は無いか?」 それはつまり”政略結婚”強い”資産力”を持つ”投資家”との”強いパイプ”役として”私にそこに嫁げ”とそう”父”は”戦略”を話してきたのだ。 それはまだ”上官”に”憧れを持つ”前”の事。”彼”にであるその前の。 初めての”仕事”だった。 とにかく”既に見合いの席は用意してある”お前は相手から指定されて用意されたこの”ドレス”をまとって”席”に付けばいい。 そういわれて漆黒のドレスにバラのモチーフのブローチがついたそれを渡される。 ”自分には似合わない”上品なドレス。それを”着るの”は”普段”自分が”護衛”に付く”高貴女達”それを今回自分が”身にまとって”そこに座って対談なんて・・・・ 「その前に”カセン”お前には先に”テーブルマナー”を覚えて貰う」 ”端役”のお前に”教師”をつけるのもたった一度きりだ。全ての時間をたった一度でダンスレッスンから”男爵”側への相手まで全てを覚えてもらう。 ”端役・・・” 「・・・・・了解しました。」 ”父”も”私”をちゃんと”娘”とは”見てくれない”本来なら”男”の”息子”が欲しかったんだ。 自分の”後”を”継げる”軍師になれる”自慢の息子を” ”一度きり”たった”一度きり”母にもそう言って”私”が”生まれてきたらしい”母も”それなりの公爵嬢”でやはり”政略結婚”に近い。 ”恋愛”婚ではないそうだ。少し”欝気味”になりながら”車椅子”に座る母を”遠目”に目の当たりにしながら”私”は女がてらに”軍人”になるために”育てられた” 父の”血”をついでいるなら尚更”恥さらし”な”行動”は取るわけにはいかない。 それでも・・・・・・ 「ホラ、カセンちゃん?手がおぼつかないよ?」 ちゃんと前を見て姿勢を良くしなやかな手を伸ばさなきゃ駄目じゃないか? 軽快に”そう”教えるのは”貴族公爵”ともいい”先生”若くて20前後といった程度のさわやかな表情の彼に手を取られてダンスの練習に励む。 ”青いメッシュ”に黄色い瞳。白のタキシードが”似合う彼”に練習用の”白のワンピース”を着せられて”鏡越しに自分のダンスを確認する” 何よりも”似合わない”姿勢でもなくダンスでもなく”白”のその”純白”が似合わない。 本来なら”これから”血に染まった戦場に”向かわなきゃいけないだろう”私”がこんな”白い布”似合わないとしか言い様がない 「ホラ”君のお父様”がこちらを見てるよ?」 ちゃんと”あご”をあげて”凛とした”気丈な姿を見せてやってあげたらどうだい? そういわれ”手を叩いて睨みつけてくる父のことを思い出し”言われたとおり”レッスンを終えた” 「上出来だ。」 そういって次はまた同じく”先生”にテーブルマナーと”基礎知識”の全てを習う。 ”とても”退屈な時間だった ”貴族”というものは”こんなにもゆっくりとした”時間を過ごして”たしなむのか” ”踊り”も”マナー”も”知識”も全て”私が”軍人”として”入る”上で”覚えてきた知識”にも”身体能力”にも”追いつかない”そんな”脆くて弱くてくだらない”生き物を”パトロンだから”と守らなきゃいけないのか。 ”屈辱的で仕方なかった” なんで”こうも”生まれた違いで”こんなにも差”が出るんだろう。 ”覚えるほどに”何故か生まれる”劣等感”私は”こんな事をするために生まれたんじゃない・・・・” 私は・・・・・。 そして”見合いの席”がやってきた。”父も私の護衛として同席している” 相手の男は”それなりに”身なりも顔もいい男。只”へらへらと軽い”汚い行儀が悪い。 ”マナー”を完璧に”覚えた”コチラからすれば”強力な資産を持つ”父親に甘えるだけの”汚い存在”そう思えて仕方なかった。 何より”多少緊張して手の震えるボーイにまでやすやすと中傷を向けてくる”この”男”は馬鹿なのだろうか。 銃を持った相手の”護衛”と”准将”の父に囲まれ、周りにも”護衛”がついたピリピリとした緊張の場で”こんなにも浅はかな”行動を軽々しく取っている。 銃を持っていたら殺してやりたいところだ。 ”相手側への粗相になると”それは父に奪われた。 赤い口紅、黒いヴェールに包まれた黒くつばの広い帽子。 黒い髪に大きな瞳。”只の”生人形”程度”にしか見えない”着飾った”だけの”死んだ魚”を”水から上げてこの男は”何がしたいんだろう。 と。軽く渡されたワインに口を潤しながら”ぼんやり”時を過ごしていた。 ”別に酒は苦手じゃない” ”ESP"に”目覚めるまでは”それに目覚めてからは”脳波”に”影響”が強く出るのか”かなり”回りが速くなったがその時はまだ”ソレ”には全く酔いしなかった。 しかし”男が酔い始めた”所で”場の雰囲気”が変わった。 「・・・それで”オヤジ”とは別に”俺自身”今”強力”な”資金源を”手に入れてるわけでよ・・・・」 酔った男がべらべらと何かを話し始めた。 「”最後”には”俺が”オヤジを殺して”この家を継いでさらに”デカく”するつもりだからよ・・・」 へらへらと笑う男に。後ろの更に形のいい顔をした眼鏡の男が形相を変え始める。 ”まずい” 後ろの”男が”殺気立ってコチラを見てくる。 「で、”今は”エスパーを見つけては”家”に連れてきて”組織に密売・・・・・・」 パァン!!!!!!!!!!!!! そこで”銃口が放たれた” 「・・・・・・失礼しました”お嬢さん”これ以上は”こちらの機密事項ですので”。」 そういって漆黒の髪に眼鏡を掛けた相手側の執事と思われる男が主人を殺してコチラに一礼をした。 「・・・・・やはりか・・・。」 後ろで”父”が”重い口”を上げた。 「えぇ、最近・・・・どことはいえませんが亡国の組織と手を組んで主は”どこかへ”へスパーの”密売”を行っていたようです。」 貫通した玉が”前”を飾っていた真っ赤なバラの”花瓶”を割り、散らばったその花びらが男の頭へと舞い落ちる。 目の前で”起きた”惨劇。 「・・・・・父さん・・・・・・?」 驚いた私は”普段”は”私生活”でも”准将”と呼ぶその人へと振り返って震えた眼でそれを見つめた。 「安心しろ。”カセン”その男は私が彼の父と組んで”送った”こちら側のスパイだ。」 「・・・・・・スミマセンね。お嬢さん。あなたをそんなにも怯えさせてしまって。」 「そろそろその”口調はやめろ”紅牙”お前らしくない。・・・・いつもの口調に戻れ。」 それと 「今日から”コイツ”がお前の”上官”になる男だ”カセン”。」 お前の”容姿”と能力は”彼同様”にスパイ活動としても役に立つ。 「お前も”コイツ”を見習って”立派な”軍人に育つんだぞ。」 ・・・・今日はよくやった”そう言って”父に頭を撫でられた。 それが私と”上官”の始めての出会いだった。 「よくやった・・・カセン・・・。」 整えた髪をばさばさと振り落とし眼鏡を外した彼がそういってコチラを褒めた。 「お前には”中々”の才能がありそうだな。」 「え?」 そう言われた意味が分からなかった。 「最初から、”奴”の酒には多少の”媚薬”を注いで”喋り易く”させていたが”」 忍び込んだ屋敷の先でも中々”尻尾”を掴む事は出来なかったんだ。”直接的な”裏づけを作るのに”時間”と手間を”取りすぎてね” ソコに”お前”を”見初めた”相手からの”商談・・・・いや見合い”の話で上手く事が運んだ。 「ここまであっさり行かないようなら最後はピロートークに入るまで覚悟はしてもらうつもりだったが。」 ”なかなかいい能力だな。流石は”あの人”の娘”と言ったところか。 その”あの人”が”父”だったのか”母”だったのか分からないが”彼”はその時遠い目をしてどこかを眺めていた。 それが”最初”の出会いの”記憶”それから・・・ ”やぁ、また会ったね。カセン・・・・” 私が”牢の蝶”にされて暫く”先生”として”私”に指導した彼がその場に現れたのはそれから暫く”後”のことだった。 「あの”目障り”な”君の上司”と”邪魔な准将”を殺してくれた事には”感謝しているよ”カセン」 そう言って”誘うように華やかな色の布を纏わされた私の額に優しく口付けを交わすと彼は”こういって”頭を撫でた。 「初めまして。僕の名前は--------------。」 ”本当は”僕が”エスパー売買”の仲買をしていたんだよ。”この国で・・・・・” そういって舐めるように”私”の頭を撫で回すともう一度額に口付けて彼はそのままいなくなった 「いいんですか?何もしなくて・・・・・」 私の”護衛”とは名ばかりの監視役が”彼”に向かってそう言った。 「いいんだよ。僕の目的は”蝶”に群がる”蜘蛛の子”とそれが捕らえた”蟻”なんだから・・・」 そういって白いスーツを見に纏った”先生”がその場を後にする・・・ ”ギリアム様・・・・!!!!!” かすかに”奥”で誰かがそう言ったような気がした・・・・。 ”誰だったんだる・・・アレ・・・・・。” ぼんやりと”行為の”後の生暖かいアンディの胸の上で腕を組んでその上で密着させた肌をそのままに”ぼんやりと”思い出す記憶。 まだ”司郎”とは”関係”を持つ前の”アンディとの夜の密会・・・” 「さぁ・・・・・”知らねぇな・・・・”つか他の男の話なんかこんな時にするんじゃねぇよ。」 そういってアンディに頭をポンと撫でられた。 「・・・・・そうね。じゃぁ”司郎”の話でもしましょうかしら?」 「・・・・それは尚更止めてくれ。」 アンディは”嫌そうに”顔を背けた。 「次の仕事は”モナークだったかしら?”」 「あぁ・・・・”お前”はよくわかんねぇけど先に”モナーク側”について”軍事政権”の調査の”仕事”をするらしいな。」 「・・・・うん・・・。”何か”呼ばれた”客”の一人を”少佐の思惑通りに動くよう”手配するのが”私の仕事なんだって・・・・」 それが”私”と”皆本”の”初めての”出会い。” ”能力”を利用して”モナーク政権”側の”軍部”に潜入し、”少佐の”思惑通り”コマ”を動かすのが私の仕事。 ”ハッキングソフト”入りのゲームに見せかけたUSBを”内部”端子を使ってファイアーウォールに繋げることも、逃げ出して皇女を暗殺に向かったあの”男”にGPS機能付きの”発信機”を取り付けて。ソレを示した”携帯”を追いかけた皆本達に渡したのも全て私。 そこまでは”想定の”範囲だった”只”皆本の”存在”が”この後”自分を代えるほどに大きくなるとは思わなかった。 「あんた・・・・それでいいのかよ?」 「何だが・・・・?」 「・・・・俺と・・・・だから”カセン”との”関係”について”知らないわけじゃないだろう”」 「そうだな。」 アンディと真木が”その話”で密会を始めるのはその後のことである。 ”俺のこの気持ちが”偽者だと思うなら”お前のその能力でその”洗脳とやらを解けばいい” ・・・・”それでも”解けなければ・・・・・ ”それは”本物”という事だろう” 何でも”知った”ような目をしてため息を付きながらそう言って”去っていった”真木。 ”何だよ・・・・” コレじゃぁ”俺は只の道化じゃねーか・・・・・・” ”ユウギリ”と行った”遊園地”で”ソレ”を見ながら”アンディ”は確かにそう思った。 ”俺ちょっと飲み物買ってくるわ” ”機嫌”が悪い中”皆本”と”対峙”したのはその時の出来事である。 END |