■真っ暗なその部屋、普段ならベッドで明るく出迎えるはずのソレが居ない、 ”どうした?”不思議に思いながらも無言で明かりをつけると 「やぁ・・・」真っ白なソファーの前の小さく綺麗に置かれたテーブルに腰掛けて待っていたのは銀髪、そして”学ラン”を身に着けた”死んだはず”の”化け物の筆頭”。 「生きていたのか・・・・・」 顔には出さずが一瞬”隙”を見せたその”一瞬の隙に”、後ろから銃を突きつけられた。 『亡霊が二人、死の淵から甦って来たというわけか・・・』 そして暫しの睨み合い、両手を挙げて挟まれる自分。 『”ユウギリ”は・・・”どこ”だ!?』 背後には”銃”を構えたヒノミヤ。 『”直接聞いてもいいんだよ?”』 目の前には”確認はされていないものの”死んだだろうと思っていた”人の形をした化け物”。 ”アレ”が居ない。と”言うこと”は私の”アレ”は拉致されたか。 「”アンディ・ヒノミヤ・・・やはり”こうなってしまったな”」 ”首輪”を付け切れなかった”野放し”の”出来損ない”野犬はやはり牙を剥いたか。 ”だが”本来なら”既に”私に忠実な”愛犬”になっていたはずの”アレ”はどこにいった? ”この程度”の奴らなら”ESP”を使えずとも隙をついて”排除することも”できたはずだが・・・・・ あの”小娘”があちら側に”寝返った”はずはないはずだが・・・・”本来なら”私のために”命をとしても”致命傷程度は負わせただろうものを。 ”戦闘の跡も無い。無傷の二人”私の”アレ”はどこにいった”私だけの忠実なアレは?” ■†THE UNLIMITED 萩原 カセン4partA†■ 「”あぁ。”コレ”が今の俺の居場所だ”」 あくまで”脅し程度の”攻撃”ヒノミヤ”に”人”を殺せる度胸など無い。 ”あくまで”少女の”居場所”を聞くための”挟み撃ちの脅し・・・・”か。 しかし”アレ”が無傷で”こいつら”を見す見す逃して”どこかへ消えるとは・・・・・” 考えにくいものだが”何をした”私に”忠実”だった”アレ”に? 「フッ、”貴様の居場所など最初からどこにも無かったさ”」 お前の性格等とうの昔に知れている”人も撃てない半端者”紙の的にジレンマを打ち込むだけの”弱い負け犬”。 「所詮は半端者だ」 「”くっ・・!”」 震える拳銃”やはり弱いな”お前の心の”弱み”など”等に知り尽くしているんだよ・・・・!” 手先が緩んだ瞬間にヒノミヤの体制を崩す。 「”貴様らの思い道理にはさせん・・・!!!!!!”」 愛しく思い始めていた”アレ”との”生活”もここで終わりか・・・ だが私は”あの方”の手足である以上。”失敗作”と同じ死に方をするわけにはいかない・・・・!!!! ”いくらテレパスやサイコメトリーを使えようとも死者の残留思念までは秘めたまま死ねば読み取ることはできない・・・!!” 本来ならばこの”部屋”はECMで管理された”特殊空間”アレのために”用意した”秘密の”隠し部屋”最初から”エスパー”に読み取られる情報など残していない。 ”化け物等に情を寄せ無残に殺される道を選ぶくらいなら・・・・!!!!” 私は”私の望む正義のために・・・!!!” 『キュゥゥゥゥウン・・・』 ”ガァン・・・!” 撃ったはずの銃口から弾丸が抜き取られる。 ”普通人”と言えども”死後”情報を読み取られぬよう”堅く”心を閉じた分”反応”に少し遅れた。 「・・・・っ!???」 ”抜き取られた”というよりは”空間ごと”支配された”私のこめかみの横で”念動力で止まる弾丸。 『死なせないよ。君はまだ此方の質問になにも答えてないじゃないか・・・』 ・・・・。”それはこちら側のセリフだ”。私も”失敗作”同様に”情を感じたわけではないが・・・” やはり作動していたはずの”ECM”は破壊されたか。 なら”私のアレ”は何処に行った?この”甘い”男共が”アレ”を始末したとは到底思えんが・・・。 ”得意の無効化能力で目の前の化け物のソレを静止させ弾丸を落とす野犬”。 いや、今は”兵部”の”飼い犬”か。”手馴れた物だな”最初から”この程度は読まれていたか・・・・・ だが・・・。 ”私がアレが好きだという白いバラをモチーフにしたネックレスをまさかスーツに入れて仕舞っていたとは思うまい。” そして奪われた銃が次は私の腰へと突きつけられる。 ”つかの間の調教だったがあの世に持っていくにはなかなかいい思い出だったとは思っていたがな・・・・” なかなか”やるようになったな。”アンディ・ヒノミヤ。”お前”も私同様に”アレ”に毒され”成長したか”。 皮肉なものだな。”ここにきて”ソレに”愛情”を感じるなどと・・・。 「”分かった・・・・案内しよう”」少し”欲”が出たか。 私もまだ”アレ”の”温もりを感じていたいのか・・・・・”どうやら私はまだ”生かされているようだ” ”情報に不足しているからこそ”ここにたどり着いたのだろう”人質”としての”効果は”期待していなかっただろうが ”アレへの情が移ったか・・・・” 「分かった。案内しよう。アレの元へ・・・・・・・」 ”こいつらの目的は私の求めるソレではなく”実験体A”の方か”。 私がまだ”生かされている”以上その甘さに漬け込めば”私のソレを奪還できないことも無い” まさか”あの小娘のために”生きる道を選ぼうとはな・・。 「賢明だね。」 そう答える目の前の”化け物”とソレに”飼いならされた只の野犬” 胸に秘めていた”指輪”を再び”左指”に付け直すと私は”彼ら”を案内した。 ”愛しいソレに渡すために車にも白いバラを積んでいた”私の”飼い犬”・・・・アレが愛しくて溜まらない。 光る指輪。”GPS発信機”付のその指輪。アレには首輪に付けていたが私も”万が一”のために”指輪”にソレを仕込んでいた。 「フッ・・・・」 こいつらさえ”始末”してしまえば”首輪”で位置を探すことも出来る。 ”つくづく甘い化け物達だ。”本当に”甘すぎる”。 「”少しだけ”アレ”との思い出に浸らせてくれないか?”どうせ”用さえ”済めば私は始末されるんだろう?”」 簡単に話しただけで”発信”を送ることが出来た。”本当に”つくづく”甘い”そして”アレ”がまだ”生きている事”もヒノミヤの”表情”で確認できた。 つくづく”甘い”本当に馬鹿な駄犬と”飼い主だ・・・・” 「合衆国の”超能力”に対する”政策”は”かなり早い段階から近代的に整備されています。 ”その”急激な発展のの影には”それ”を推進する日系人の”力”があったからだという”報告”が。」 「日系人?」 「ソレがどうも”出所の怪しい人物で”遡れば”終戦直後”GHQの手引きによって”合衆国”に渡った”日本人”だという”情報”もあります。」 皆本に続きそう話す賢木。 ”超能力者が普通人によって管理される世界・・・” それは”確かに”あの男が目指した”世界”バベル側に身売りして”必死”に自分なりに得た”情報”。 屈辱的でも”負け犬”だとは”思わない”それでも私は”生きることが”自分を”生かす道だから。” 「”早乙女英治”」 『”速報です、ニューヨーク市長選は”エスパー市民の自由と権利を訴えてきた、ノーマン・グリーン氏が”勝利”新”市長”の誕生にNYの町は沸きかえっています”』 「なぁ・・・”真木さん・・・”俺達いつまでこうやってアジトに”缶詰”になってなきゃいけないんすか?」 「”まぁ待て・・・葉。今この国は”新市長選”の話題で周囲の情報や声も雑音とともに乱れている”その間の回線の隙を縫って”少佐”の居場所を探す途中だ”」 それに”我々エスパー側を支援する”支持派の”人間”を”顔”に立てたほうが”我々”もエスパーとして今は”まだ動きやすい” 暫くして”反エスパー派組織”や”エスパー”に対する厳重な規制完備は解かれ始めたがまだ”下手”に動かないほうがいい。 「”少佐”も・・・・”消息不明”のカセンも生きてるとは思うが・・・・・・・”」 「”姉さんなら・・・・・・もうここに手に入れて来たぜ?”」 いつの間にかドアを背に立っていたその”男” 「”紅牙・・・!??????あんた今までいったい何してたの!???????”」 真っ先に反応したのは”空間察知能力”の紅葉。それでも”気づくのに時間がかかった”。 「”あんた・・・いつの間に中に・・・・・っていうか心配してたのよ!!!あの日あんたまで消息不明で途中からリミッターのGPS反応も衛星回線を使うわけにはいかなくなって・・・・”」 そういって心配そうに寄ってくる紅葉そしてその腕に抱かれているのは 「”カセン・・・・!!!!”」 椅子に座ってラジオとテレビ、パソコンに目と耳を傾けていた真木がソレに反応した。 「”・・・・もう少し黙っててもらえねぇっすか?”」 今”姉さんを起こしたら暴れだすかもしれねぇ・・・・・・” そう言って”寄ってくる”幹部を黙らせようとする”紅牙” 『”しかし・・・・・・”』 「・・・・・・・」 口で言っても分からないであろう”他のメンバー”に”紅牙”はテレパスを使って”思念派”を送った。 今の”カセン”は”普通人の策略的な暗示により非常に脆く危険な存在に陥っている ”尚更壊れそうになった精神を守るために”保護本能”が”エスパー”を抹殺する方向に”向けられて”保たれている。 『”偽り”の”甘い”幻想で姉さんは”心に傷を負ってるんすよ”』 見た目に表れない”身体的な”ダメージ以上の。”発信機やGPSの反応元を全て断ち切って”サニー”の思念派が宿る”微弱”な”レアメタル”鉱石で”外部”の”尾行”を警戒しながら 彼女・・もとい”彼”の”情報”を頼りにここまで来た。 「・・・・・とりあえず”少佐もヒノミヤ”も生きてる・・・・今”ユウギリ”を探してる最中だ・・・・・」 ”・・・・っ・・・!??????ヒノミヤだと!??????今更あんな裏切りものなんか・・・!???” そう”反応”する桃太郎に 「”いや・・・今は少佐と一緒なんだな?”」 真木は一言それだけ聞くとずっと安否を心配していた何より大事なソレを受け取って強くしっかり抱きしめた。 「”ちゃんと・・・生きてるな・・・・”」 暖かい”少しだけ”聞こえる心音と安らかな寝息。 「”・・・・・・俺とは違うからな・・・・”」 目を伏せて少し申し訳なさそうに言う”紅牙” 「”何言ってんの・・・あんただって今は生身の体じゃない・・・!??”」 そう言って”紅牙”に触れる”紅葉”しかし ”俺も”・・・”心の闇”も”本当の”中身の”人間の”命と”時間”を餌に生きてる・・・・。 ”他の”人間”エスパー”とも違う存在・・・”今は。もう一度”人の体とぬくもりを手に入れたが”それでも”それは”他人の人生を食い物にしたその”体”。 『”簡単には喜べねぇよ・・・・・”』 「”真木さん。”姐さんのこと”頼みます・・”」 そう言って”紅牙はもう一度外へ出た”。 「”紅牙・・・・・?”」 心配そうに見つめる紅葉。 「”・・・・・?”」 抱きとめた”カセン”の髪に小さな”メモ”が挟まっていた。 ”少佐たちの”移動先が”つかめ次第連絡します”小さな紙切れにはそう”彼の”手で書いてあった。 「”・・・・。”」 ”移動中・・・”なのか・・・・・。 「”少佐・・・・・”どうか”ご無理だけはなさらないでください・・・・・・”」 必ず”生きて”戻ってくると約束したじゃないですか。 ”愛しいソレを抱きしめながら”真木は”兵部”の安否を願った。 ■NEXT■ |