■「そういえば”姉さん”は”脱がない”んすか?」 「は?」 不機嫌そうに椅子に座っていたカセンがギロリと男を睨む。 「あんた”ソレ”あたしの”能力知ってて”言ってんの?この”エロガッパ”」 イライラと何かにムカつきながら”カセン”がそう答える。 ここは”船内”のカフェテラス。窓の外には楽しそうにプールで遊ぶ子供達。 「あ・・・・いや・・・ココに来て早数週間・・・・”一度も”姉さんの”水着姿”観た事無いな・・・・と」 そういって”焦り”なのか”照れ笑い”なのか分からない笑みをへらへらと向ける”佐伯”こと”テレパス男” 「・・・・・決めた・・・。」 「は?」 「あんたの”あだ名”は”ドール”にする・・・・!!!!!!」 今日からあたしの”完全奴隷”よ。 ”ひゅ”っと”つけた”グローブ”の指先から伸びる”強固”なワイヤーで彼を”肉塊”にしない程度に絡み取り自分の元へと引き寄せるとそのまま床に縛り付けて足蹴にしてやった。 「名前も”通(とおる)なんだから丁度いいじゃない”」 ”よかったわね。早くも面白いコードネームがついて?” 不機嫌そうに”カセン”が言った。 ”正直”かなり”腰が痛い”・・・・”初めてではないのだが”こんなに痛くてムカついたのは初めてだ。 それだけ”今まで”ソレを意識して来なかった”自分”が奥底に居たんだろう。 飲みかけの”メロンソーダ”を飲みながら”ドール”と”名づけられた”ソレを足蹴にしていると ”あ・・・・腰が痛いんすか”・・・・・と”かすかにそう聞こえてきた。 ムカついたので奥の壁まで”蹴飛ばしてやった!!!!!!”煩い・・・・!!!!!!!!!! 「フン・・・」 そう言ってもう一度グラスに口をつけようとすると”ユウギリ”が外に出て行くのが見えた。 あの子が”一人”で”外”に”向かう”なんて珍しい。 ”他の子”とも”上手く馴染めてない”はずの”特別”な幼女。 ソレをぼんやり”眺めていると”ユウギリは”アンディ”のところへと向かっていった。 「あの・・・・」 「・・・・・・昨日は・・・・有難う。」 読唇術は”得意じゃないが”なんとなく”そんな事を言っていたような気がする。 「なんなら俺が聞き取ってやりましょうか?」 テレパス男が無神経にそう聞いてきたが 「ユウギリの方があんたより”レベル”が上よ?・・・・”嫌われたく”なかったら”やめときなさい?”」 なんだかんだで”自分の居場所が”無いせいなのか”面倒見”がいいのか”子供好き”なのか”子供”達の相手を頻繁にしては”遊びに”つれてかれる”面倒見”のいいソレに”少々”ムカつきを感じながらも”それ”で”面倒ごとになったら”尚更”面倒だ”といわんばかりに”ちょんちょん”と開いた片手で向かいの椅子を指差すと”ドール”をソコに座らせた。 「・・・・・あんた。この”設計図”昼までに全部頭に入れて”暗記しなさい”」 「は?」 そう言って”取り出したのは”カタストロフィ号の”設計図” 「”覚えなくとも”私が”覚えて”イメージした”図面”と”各所”を照らし合わせてどこがどこだか”分かる程度には”理解しなさい」 「そんな・・・!????無茶な・・・・!??????・・・!?????」 ”ていうか!???いいんすかこんなもん”俺”みたいな生半可な奴なんかに見せたって!??” 何かを察知したのか”言葉”で返すのを止めて直接”思念波”を送ってくる”佐伯” 「・・・・・”あんたが”裏切った暁には”記憶”を無くして”幸せに生きてるはずの”ノーマルのあんたの家族ぶっ殺す。」 ボソっとそう言ってやったら”よほど強い念派”をそのまま”受信”してしまったのか”押し黙って図面を覚えようと眺め始めた” 「あんたホント”忠実で使い勝手いいわね”それで良く”不良”の”リーダー”なんかやってたわね。」 ”面倒見”のいい部分と”義理堅い”部分は認める”けれども”どちらかと言えば”人の上”に立つよりは”支え合って輪を作る”側の”人間”のような気がする。 ”ESP”に目覚めなければ”保育士”あたりをやっててもおかしくないような”気のいい”彼に少々”毒抜け”されながらも”だからこそ”手足にするには”扱い易い”思う反面”下手”に”戦闘”に”巻き込んで”戦闘力の無い”彼”を”失う事になったら”少々”辛いかもしれない”今まで何とも思わなかった”人”に対しての見方も”変わった”。”そういう”意味では”少佐”も”ソレ”と少し違う”孤独”を”愛するのは”自分が”傷つきたくないが故”けれども”リーダー”というよりは”彼もまた・・・・” ”ドボン!!!!!!” 「・・・・何!???」 大きな音に反応してプールに目を向けるとアンディが”兵部”によって”プール”に突き落とされていた。 「隙だらけだぞ。」 そう言って”愉快そう”な”兵部”けれども”何かがおかしい”なんだろう・・・ ”最初”に”来た頃も”能力上なのか”新人”だからか”馴染めずに居た”アンディが”少し”前より”遠く”に見える気がする。 あの頃は”自分の能力が効かない”それに”興味がわいて面白がって観ていたが”なんだか”今日”は”彼が一人ぼっちに見える ”居場所が無い”あの頃の私に”似てる”なんだろう、この気持ち。 とりあえず・・・・ 「ドール・・・・!あんたアンディに服貸してやりなさい・・・・!」 「は・・・・?」 いきなり怒り声のカセンに言われて佐伯は驚いた。 「今すぐ・・・!今すぐ”服”を取ってきなさい・・・・じゃないと殺す・・・・・・!!!!!!!!!!!」 帽子を被ったその頭のすぐ下、額に”銃口”を付きつけてカセンは鬼の形相で佐伯を睨みつけた。 「行け・・・・!!!!!!!!!今すぐ行きなさい・・・・!!!!!!3秒・・・・!!!!!」 「そんな!????無茶な!????」 そう言いながらも”殺気”を感じて急いで”服”をとりに行く佐伯 「・・・・大丈夫?」 その後ゆっくりとドアを開けるとカセンはアンディに近づいた。 「あ・・・・」 ・・・・・。 そう言って押し黙って水面に目を向けるアンディ。 ”やっぱり”避けられてる”気がする” 自分だけじゃなく”他”との”距離感”を”感じてならない”自分から目を背けて外に目を向けたら”眠らせていた”牙の一端が少しずつ開花し始めた。 ”少しずつ”見えてくる”感じてくる”何か”少なからずどこかしら”孤独感を”感じている”なんとなく”ソレが見えた” 「待っててね。今”代えの服”用意してくるから」 「え?」 「・・・・・けど。絶対”司郎”のは着させないから。」 そう言って”苛立つ”殺気がそのまま”表情へと出た瞬間”急いで着替えを持ってきた”ソイツ”が後ろで”ヒッ”と叫んだ。 前に”初めて”司郎の服を着るアンディを観て”物凄く”妬きモチに”駆られた”不安定な”関係”の中”ソレ”を”代える”不思議な存在。 尚更”アンチエスパー”・・・・・その”能力”で”司郎”に近づいて”不安定だった”前までの”関係”を”幻”を”消されるのが”怖かった。 だから”あの時私はとっさに自分の服を脱いで司郎の服を奪い取ろうとした”自分の”体”なんて”関係”さえ”消えなければ”どうでもいい。 思っていたけど”今”は流石に”恥ずかしい”尚更今日は体に跡が残っている。”それ以前に””大事にしたい”思いでも何もかも”自分はもう司郎の物なんだから” 関係が変わって”司郎が私のモノ”不安定な”洗脳”による”ソレ”から”今度は”自分自身が”個人”として”必要とされている”ソレがとても嬉しくて。 なんだか”くすぐったい”ソレが”愛しくてたまらなくて”ふいにそのまま笑みを向けた。 ”大丈夫だよ。アンディの居場所はちゃんとここにあるから?” そういって微笑む彼女にアンディは水面に映るソレ越しに目を背けた。 そして。夜。 「・・・・じゃぁ、行ってくるからな?」 後のことは頼んだぞ。 ”ぽんぽん”と頭を撫でて向かおうとする司郎の腕を絡みとって自分の胸元に寄せた。 そのまま”反動”で近づいてきた司郎の額に”唇を寄せる”と ”行ってらっしゃい?”カセンは優しく微笑んだ。 「あぁ・・・」返事をされるように抱き寄せられてキスされた。 ”行ってらっしゃい”のキス。 なんだか”ホームドラマ”か何かのようでくすぐったくて仕方ない。 ”それでも”そんなことすら”初めての感覚でなんだか嬉しい” 優しく抱き寄せられてもう一度高等部を撫でられ。そのままゆっくりと長い口付けを交わした。 それから”よし・・・”司郎の行った後。”手薄”になった”船の警備状況の把握”と”自分の仕事”について”気持ちを切り替えてやる気を出した” 「で?あんた”設計図”は覚えたの?」 「え・・・・あ・・・・まぁ・・・それなりには・・・」 ”通行証が無いんで行けない場所は分かりませんでしたけどそれなりには覚えましたよ” 「へぇ・・・・やるじゃん・・・」 「とりあえず”自分の足で歩いてみて”確認はしましたけど」 ・・・・・・。 「設計図持って・・・・・・・?」 「あ・・・いや!???それはちゃんと隠してましたけど!!!???一応”掃除”とか”整備”とか頼まれたって言っては置きましたよ」 「聞いてきた奴いたんだ・・・・」 「そりゃ・・・”俺はその・・・”こんなだから・・・・」 そういって”ドール”はバツが悪そうに顔を背けた。 「”自信の一つも持てばいいのに”」 何だか”ソレ”がムカついてカセンは”その額に”口付けしてやった 「は・・・!??????姉さん・・・・!????」 驚く彼に”カセン”は少し頬を染めて 「前賃・・・。」 と”小さく答えた”。 ”こんな奴でも”警備上はそれなりに”連絡役”として”役に立つ”何より一度”生死の境を一緒に越えて”司郎との上下関係もしっかりついたようで一番今の自分にとっては”忠実”な存在”部下”とは呼ばない”なんとなく”距離を置きたくない上で”誰にもやりたくない”何か。その”気持ちは分からないけど”傍に置いて損は無い。いつの間にか彼もまたそういう存在になっていた。 「アレ・・・・・ユウギリ・・・・・?」 普段なら寝ているであろうその時間に”ユウギリ”を発見した。 「どうしたんだ?」 最初に”話し掛けた”のは佐伯の方だった。 「・・・・。」 一旦彼の目を見つめると。 「ん・・・・。」 一言だけそう言ってユウギリはパタパタと自室に戻って消えていた。 「どうしたんだ?」 ”面倒見の良い”男がそう言ってソレを見つめる。 「・・・・・・まぁ”あの子”には”桃太郎”がついてるから・・・。」 何かあれば”テレパス”で連絡してくるでしょ? でなくとも”何も無いことを祈るけれども”・・・・・。 「ユウギリも”プレコグ”が使えるんだからそれなりに”身の危険”を感じたら”教えてはくれると思うわ。”」 そういって”ポケットに入っていた飴を取り出して佐伯に渡した。 「へ?姉さん?」 「一応、持っときなさい。あんたの”能力”使うことになったらかなり”酷使”することになると思うから”能”の”栄養源”だけはちゃんと”補給しておきなさい”」 ”チョコ”を渡すには時期的に少し室温が高すぎる。 「あと、ソレアンディからの”服のお礼”」 ・・・・・っていうのは”嘘”だけど”コイツ”を可愛がりすぎる自分にも”少々腹が立ったのでそう言って渡してやった。 ”今この船内で一番自分が頼りにしているのは”不服だけれども”今”はコイツしかいない。 ”真木”の部下とも一応顔は合わせたし”無線”機は用意して一応各自待機はしている。 只”何も無ければ”無理やり”臨戦感覚”を維持させようとは思わない。 只・・・・・ ”なんとなく・・・” 「嫌な月ね・・・・」 窓から見えたソレを観ながら何故か少し不安に駆られた・・・・。 「へぇ・・・便利な能力だな。」 そういってアンディ達が”強奪現場”に向かった頃。 カセンはぼんやりと船の上で外の風に当たっていた。”臨戦態勢”にいたったら”狭い船内より”戦いやすい外が一番”自分に合う” ”敵”がどこから”来るのかは”全く持って分からないが。”船の真ん中”周辺で一番”周りが見渡せるその高いポイントで彼女はなんとなく”歌” をうたって過ごしていた。 それは”母国”で唯一覚えた”曲の歌詞”平和を願う”ノーマル”へ向けた歌。 その”裏で”何が”行われていたか・・・・・”そんなの”もう気にしない。”今大事なのは”今の自分をどう生かして生きていくかだ・・・・・。 流石に寒いわね・・・・・。 少しだけ。暖を取りに”飲み物でも”取りに行こうかと船内へと戻ったところで”廊下”を走るアンディを見かけた? ”アレ・・・・・?” 早いわね・・・・?もう”仕事”がおわったのかしら? こぽこぽと熱いポットのコーヒーを注いでソレを飲み干しまた外に向かうと今度は少佐が目の前に”テレポート”で現れた。 「やぁ。”船の警備”かい?」 ご苦労、カセン。そういって少佐はポンと彼女の頭に触れた。 瞬間・・・・・”ぐらり”急な眠気に襲われた。 「少・・・佐・・・・・・?」 倒れこんだ体をゆっくりと受け止められソレそ支える少佐の腕へと絡め取られながら ”君もゆっくりお休み?カセン・・・” 寝落ちた体を抱きとめられてそっと頭に口付けられた。 それから 「彼女を頼む。」 「は・・・・・!?????」 ”眠るカセン”を姫抱きして現れた”少佐”に”ドール”はそれを受け渡されると”抱きとめた”それをどうしていいか混乱しながら目を向けた。瞬間彼も少佐によって”自室”へと”テレポート”され。二人そろってそのままその場で眠りに付かされた。”他の皆も今はおやすみ・・・・” 少佐によって皆眠らされた船内で”アンディ”と”少佐”そして”少佐の過去”が明かされる・・・” ”君は昔の僕に似ているんだよ・・・・・” 嫌な思い出だ。 ”この話は誰にも聞かれたくは無い・・・・・” 「少佐は・・・・」 その時真木が皆本に”何かを”言おうと試みた。 「いや・・・・」 それよりも ”カセン・・・・・” 真木は”ソレ”が”気になって仕方なかった・・・・・・” ”カセン・・・・” ”何も無ければ・・・・” それだけが”心配”でならなかった・・・・・。 ■NEXT■ |