■†THE UNLIMITED 萩原 カセンB† ■ ■「う・・・うわあああああああ助けてくれぇ・・・・!!!!!!」 激しい銃撃戦の中テレパス男の声だけが木霊する。 「ち・・・!あの娘ちょこまかと移動しやがって!!!!!」 向けられた銃の乱射を上手く交わしてカセンはその中を紙一重で回避していた。 そして彼女の避けた銃はその奥で向かい側から銃を向けていた男に当たっては傷を受ける 「本当に。バカじゃない?貴方達銃の扱い方も下手ならちゃんとした”戦い方”っていう物を知らないのね!」 そういって足場の悪い廃墟の機材の残骸の中を軽やかに飛び交う彼女に 「”化け物”がと呟く”普通人”」 聞きなれたそのセリフには”彼女”はもう”動揺一つ”しなかった。 ここで”能力”自体を使えば”相手は男”簡単に意のままに落とすことは簡単だろうしかし”万が一”ECMを手配されて捕まってしまった後下手な”反撃”にでもあえば傷つくのは自分だと分かっている。尚更”能力”自体はまだ”隠していた方がいい。 ”コイツらはその”組織”の残党・・・・しかも端役の雑魚にしか見えないようだ” しかもその”雑魚”に翻弄されて泣き叫んでいる”テレパス男”は”エスパーの風上”にも置けない更に雑魚にしか見えない。 「くそ・・・!お前ら一旦配置を変えろ!”奥”に誘い込んで正面から弾丸を浴びせるんだ!」 その中で”ザコども”を取り仕切っているらしい男がそう叫んだ 「面白い・・・・ならその作戦に乗ってあげようじゃな。」 そう言ってカセンは自ら向上端の廃墟の壁の方へと向かって行った。 「おいおい・・・!俺を置いていくなよ・・・!」 そう言って彼女よりも動きの遅い男がそれについて走ってくる。 「バカじゃないあんた?なんで私についてくるの?いても邪魔だし下手に仲間扱いされて”人質”に捕まったって私は助けもしないわよ?」 そう言って一人で置いていこうとする彼女に 「オイ、それはねぇだろう!俺だって感応系の端くれなんだぜ!居た方が相手の声とか反応とか詮索できて便利じゃないかよ!」 そう言って男は走って付いてくるが 「あんたサイコメトラーでもなんでもない只のテレパスなんでしょ?知らぬ間に服や衣類にGPSや盗聴器でも付けられてた日には逆に居場所バレバレなんだけど?」 「ひっ!???そんな!?????」 慌てて男は自分の服を漁り始めた。どうやら”自分の能力に過信してそういった類のことを考えた事がないようだ” 「どこまでも救いようの無いバカね。」 「オイ!待てよあんた!俺の能力が効かねぇて事は少なからずお前も感応系か何かなんだろ!????だったら俺の服にそういう類がついてねぇか調べてくれたって・・・」 「・・・・あんた・・・・レベルいくつ?」 「は?」 息を切らせながら走りついてくる男にカセンはそう聞いた。 「ば・・・バカ言うんじゃねぇ!これでも俺はレベル4・・・」 「・・・・・・ザコね。」 悪びれも無くカセンはため息を露にしたした。 「わぁ・・・・!」 丁度その頃ユウギリは真木達と離れて遊園地の道化師達に夢中になってきた。 「俺ぇ・・ちょっと飲み物買ってくるわ。」 アンディが席を外してバベルと接触していたのは丁度その頃の時間である。 その間。真木達は他のメンバーに頼まれた”買い物”と”それから” 「どうやらこの辺は相変わらず”平和”にノーマルどもがのさばって楽しんでいるようだな」 「そうね。・・・・・そういった平和な所も”この国”のいいところよね。」 「って真木さんも紅葉姉も何言ってんすか。それこそ”バベル”の奴らの功績を俺らが認めてるようなモンじゃないっすか」 そう言って”平和”なこの国の環境にしみじみと語らいも続けながらも暫く”日本”を離れた間に周囲の環境に”変化”や異変は無いか”観光”もかねてくまなくアジト周辺や潜伏先付近の状況をチェックしていた。 「それにしてもホントアイツロリ・・・・じゃね。意外とうまくやってるっすよね。ユウギリと。」 「あぁ・・・そうだな。」 「本当なら私達が”家族”として可愛がってあげたいところなんだけどね。」 苦笑する紅葉に「まぁ仕方ないじゃないか。最近”アジト周辺でも不穏な動きが見られるらしいからな”その辺もくまなくチェックして・・・」 「って・・・・葉!??????」 「何スカこのプレゼント。俺真木さんの買った中身が気になって仕方無いんスけど。」 葉は不思議そうに真木の持つ紙袋を眺めていた。 「こ・・コラ!ヤメロ葉!そんな事より・・・・・紅葉!」 「え?何。真木ちゃん?」 「”お前”は何を買ったんだ?」 手ぶらに見える紅葉に真木も葉も不思議そうに彼女を見つめた。 「え?・・・・フフ、それは少佐に会ってからの内緒♪」 肩に掲げる紫の紙袋を大事そうに撫でながら、紅葉もまた楽しそうに”観光気分”を味わっていた。 「・・・・・と、コレでよしっと。」 「何やってんだお前?」 物陰に隠れて”使えない”テレパス男がカセンの行動を見つめていた。 「ピアノ線や透明なワイヤーならともかくそんな工事用のデカイロープ張った所に相手にバレバレで意味なんか・・・」 「これでいいのよ。”あえて目に映る方が相手も下手に近づけないと距離が置けるでしょう?」 「んなこと言ったってこんなデカイ編みの目じゃ銃弾なんか簡単に通過しちまうじゃねぇか?」 「それでも”距離”は稼げるし”銃”だって弾道が自由に変えられるわけじゃないんだからある程度は防げるでしょ?」 付近の鉄骨に抱きつきながら男はソレを眺めていた 「本当のゲリラ戦だったら丁度この前に落とし穴を作って足止めをしたところに上から鉄骨落としてやってもいいけれど使える”手ごま”があんただけじゃ時間の都合上この程度のトラップしか作れないわよね。」 「トラップって・・・・」 男には只無造作に工業用の強固なワイヤーが不規則な網の目上に結ばれて”穴だらけ”の壁を作っているようにしか見えなかった。 「こんなんで本当に俺たち助かるのかよ?」 そう聞く男にカセンは”さぁ?”と首をかしげた 「少なからずあんたと仲間は殺されたりするかもね。っていうかあんたの仲間ももう”人質”の意味無いだろうし殺されてるんじゃない?」 「なっ・・・・!?????」 おどろく男にカセンは”本当に””平和”な”国”だな。と”苦笑”した。 これだけ”平和”な”国”の人間なら”先に”人質を殺すマネはしないだろう。 尚更”男”が自分についてきた都合上”仲間”と見られているうちはまだ”捕まっている”人質とやらも”最終手段として”役には立つであろう。 かといって”簡単”に男を”安心させて”なれなれしくされても”困る”自分の”テリトリー”内には邪魔者は入れたくない。 「これでよし」っと。 近くの残骸の山にまた。腰を下ろすとやっと”ノーマル”の男どもがかけつけてきた。 どうやらある程度の”土地勘”はあっても”廃屋”の”敷地”の仲間では把握してはいなかったようだ。 息を切らせて銃を構えながら走ってくるのには”慣れてない”人間には大変な事であろう。”構えず”に走ってくればもう少し早く追いつけたかもしれない事を”バカだな”と思いながらカセンはそれを眺めていた。 「ふ・・・・小ざかしいバカな女だな。この程度のバリケードで我々の銃から逃れる事など・・。」 そう言って銃を構える男達。その横は他の工業残骸が無数に山済みにされていて袋小路とも言ってもいい。 男達からは”追い込んだ”様に見えるその場所で”カセン”は相手が”集団”で固まってくれるのを待っていた。 その頃兵部はバベルに単独潜入して内部情報を漁っていた。 間でアンディと皆本たちのやり取りが行われる。 「全員いっせいに銃を構えろ・・・・!いくら隠れる残骸や山場はあってもこの程度のバリケードならこの距離から銃弾を浴びせればすぐに蜂の巣にしちまえる!」 「ひっ!???」 男達が銃を構えた瞬間に柱にへばりついていた男はさらにそれに力を加えた 「オイ・・・・!どうすんだよ!!!!!!奴ら本気で俺たちを”殺すつもりだぜ?”」 「そうね・・・。」 そういってカセンは手にしたばかりの”二丁拳銃”を取り出した。 「く・・・!”女の方”も銃を持っていたのか・・・・・・!??????だがひるむな・・・・!”銃の数ならコチラが上・・・!”」 バシャァ・・・! 「っ・・・!????何だ・・・・・・!????????」 固まった男達の上に上から何かが降ってきた。 「つ・・・・っ!?????何だ・・・・コレは・・・・!???」 「ぺっ・・・汚っ!!!!こりゃ腐った雨水じゃなんかじゃ・・・・!!!????」 「そうね。」 笑いながら”カセン”は言った。 「さっきロープを引いた時に上のタンクから降ってくるように準備しておいたの」 ”どうやらここの機材の残骸は水に当たると発熱するしくみのようでね” 「今は使われてない廃墟の只の残骸だけど熱を帯びたらこのまま発火する事もありえるかもね」 「・・・っ!??バカな・・・・!???そんな話・・・・!???」 「いや。待て確かにそのようだ・・・・・・・脇の機材から発熱した蒸気が上がってきている。だからといって時間稼ぎのハッタリで我々を同様させたところでそんなに上手くはいくまい!むしろ好都合だ!実際”発火”するまでには”熱”を帯びてからまだ時間がかかる。我々が銃を発射してお前達を殺してから”自然発火”に見せてお前達を処理した方が我々には好都合だ・・・!」 びしょびしょの体で春先の寒さがこたえる空気の中”ザコ”を統率していた”男”がそう言って銃を構えた。 「ひるむなこのまま殺してしまえば後は”自然”に任せればいい!あとは”お荷物だったコイツの仲間を消して”」 「ひっ!??????南無サンっ・・・・!」 ”テレパス男がそういって覚悟を決めた時だった” ブワッ 「え・・・・?」 ほのかに香る甘い臭い。 本来なら”人から発せられるソレは感知できないはず”の”フェロモン臭”がその場を支配するように包み込んだ 「あ・・・///」 それを見ていたサングラスの男達ですら立っていられず膝を付くほどの”強い支配力” 「く・・・・・くそ・・・・ひるむな・・・・・・」 ガクンと腰を落としながらもサングラスの統率者は銃を構えようとする。 「もう遅いよ」 そういって最初に向けたのは”雷”の”拳銃”リミッターを解除してその能力を封印した”銃”から”雷”に変換したESPエネルギーが発せられる。 「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?????」 雨水を浴びてぬれ滴った男達が電撃をさらに浴びて悲鳴を上げる。そしてさびた鉄くずがさらに熱を帯び熱くなりはじめたソコへ、 もう一度持っていた”水”の瓶を投げつける”パァン”雷を帯びたエネルギー体に瓶の中身がはじけ飛ぶそして見る見る蒸発したソレは周りの酸化しきった廃材を崩し霧のように周りを包む 「お・・・・オィ・・・・コレってまさか・・・・!??????」 「トラップを仕掛けたのは”一定の場所に奴らを密集させるためよ」 ”さてここで問題です。散らばった廃材と電気分解で酸素と水素に分かれたこの粉塵の廃材の中に”炎”の一撃を浴びせたら”ここはどうなることでしょう? 「ニコリ」と笑って男に見せたその顔には”狂気”の沙汰が漂っていた。 それですら”顔を向けられて美しい”と思う”高揚感”は”彼女の絶対的な能力開放の証だった” 「粉塵・・・・・水素爆発・・・・・・・・・・!?」 隣で男がそういった。 「正解。」 ”ニコリ”と笑って”さようなら”と彼女は”スーツの男達”に酷な笑みを浮かべた。 ソレですら”惹き付けられる”悪魔のようなその能力 「あ・・・あ・・・・」 ”虜にされてしまったその能力の効果により男は死よりも絶対の支配力を持つ高揚感に捕らわれていた” 「私の”能力”に”痛覚を忘れて”逝きなさい?バカな”普通人”」 ”ニコリ”最後の笑みを投げかけて彼女は”炎”の銃を”ソコ”に向けた。 ドカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアン ”大きな爆音が盛大に響いた” ギシギシとなる鉄骨。しかし爆発に耐えたのは最初にひいたワイヤーの強靭な太さと強力な強さであった。ギシギシと頭の奥に配置された雨避けのタンクが揺れる、その眼前にはもう”人の形”すら”目に入らない”ような炎の塊が広がって見えた。 「オイ・・・・これ・・・・お前ヤベェんじゃねぇか!???」 男がそういって”彼女”に声をかけるが”振り返った”その”姿”に”動揺”を隠せず言葉にそのまま詰まってしまった。 ”コイツって・・・・こんなにいい女だったのかよ・・・・!???” そりゃ”最初に話しかけた時から”可愛い”顔してるとは思ってたが・・・・・ ”ゴクリ”男は目の前の惨劇を忘れるほどの”邪”な”気持ちにそままとらわれそうになった。 「そこまでだ・・・・・・・!!!!!」 いきなり現れた黒い帯状の物体に男はそのまま傍に立った柱へと締め付けられた。 そのまま”想い”が体に現れかけていたソレが下半身から放たれる。 「・・・・・・あ、司郎・・・。」 「・・・・・・・・・・何やってるんだ。お前は・・・・・」 そういって炎の上に現れたのはパンドラの”三幹部” 「うわ・・・・・カセンまたえげつ無ぇ事したのかよ・・・・・・」 そういって葉も空から覗いている。 「よかったわ・・・・あんたがなんかおかしなことしてるようだから近くに”空間固定”を放っていたの。おかげで爆発自体は”外部”には漏れては無いと思うけど・・・・・」 ”何をしてるのあなた・・・・” そういって近寄ってきた紅葉に頬をはたかれた。 「一人でこんな危ないまねして・・・・!只でさえあなたは移動能力はノーマルと変わらないんだからこんな四面楚歌な場所で危険な真似して”貴方に何かあった日には少佐になんていえばいいの・・・・!?????”」 涙を浮かべて紅葉にそういわれた。 ”少佐・・・・” 少佐は・・・・・ 「私の代わりくらいなら・・・・他にもいるし・・・・・・」 そう言って解除していたリミッターを元に戻し。目を逸らした瞬間にテレパス男に心の動揺を読み取られたようだ 「あ・・・」 なんだか”心配”そうな目で男に視線を向けられた。 瞬間に ギリリ。 真木が男を締め上げた。 「・・・・・所でなんだこの男は・・・・・・。見たところはぐれの不良エスパーか何かのようだが」 そういって真木が男を締め上げる。 葉は”能力”を操って炎の消火に当たっていた。 中から出てきたのは黒こげの遺体。 「はぁ・・・。」 紅葉はソレを見てため息をつきながら「後で処理班を呼ぶから」と”携帯”を片手に部下に連絡を取り始めた。 「・・・・・。」 どこに目を向けたらいいか分からず寂しげに足元を見る彼女に真木が話しかける 「携帯に連絡しても音信普通だしリミッターにつけたGPSで確認してみたら”船”を離れてこんなところに居るじゃないか。」 心配したんだぞ。・・・そういって背けた視線を無理やり真木の方へと向かせられた。 「ごめんなさい・・・・。」 どういったらいいか分からない”只でさえ今日は少佐の誕生日”皆がその”サプライズバースディ”のため楽しんでいる中で自分は ”どうしたらいいのか分からない・・・・・・”そんな中で今度はまた”他の不穏な念波をキャッチしたらしい”テレパス男がうろたえ始めた。 今度はまた”別の何か”に恐怖に怯えだしたようだ 「あ・・・あ・・・・・」 ”見えない何かの幻想に捕らわれて怯えだしたようだ。」 ビクン! ”受信機能”が無いとはいえ”感応系”の”カセン”にもそれは確かに伝わったようだ。むしろテレパス男から漏れた念波がふいに揺らいでいた彼女の精神へと流れ込んで来たようだ。 「ユウギリ・・・・・!????」 その中に見えた”映像”は”不安に怯えて暴走寸前のユウギリの姿だった!” 「大変!真木ちゃん・・・・ユウギリが・・・・!」 事態を処理して収拾班が現れたところで真木達はユウギリの元へ向かった。 「あんた達何やってんの?」 「何か”思念波を感じたとか言われて来て見れば”」 「あ・・・・。」 「・・・・・・・・まさかあんた・・・・・」 「マジか・・・・・。」 「違ぇよ!勘違いすんな!!!!!」 「じゃぁ何で泣いてんのよ!!!!!」 「勘弁してくれよ”変態”はジジィ一人で十分だぜ」 そう言って彼らがアンディ達の下に向かった中。 もう一人の”変態扱いされてしまった”テレパス男はというと 「あんたのせいで嫌なこと思い出したんだから今日一日あたしの財布になりなさい」 「・・・・っそんな・・・っ!???」 ”パンドラ”の他の実行部隊により付近の”普通の人々”の小さな支部は壊滅し。 ”仲間”を取り戻した”テレパス男”を”足蹴”にして”カセン”は機嫌悪そうにそいつを連れて行くことにした。 まだ”少佐”のことについては”心”に”溝”が残っている。”真木”達も”ユウギリ”の方に向かって今は”傍にいてくれない”この状況で見知らぬ”不良エスパー”とあまり親しくも無い”幹部”たちの部下よりは”少しの間だが”話をした”この男”の方が便りにはなると思う。 尚更”真木”にしつこく”痛い目”に合った後だ。失禁したズボンはその辺に転がっていた普通の人々からスーツのソレを拝借し。 ”バツが悪そう”に”仲間”の前で”弱い自分”を見せ付けることになってしまった”ソレ”を連れて”カセン”も今更ながらに”少佐”への”プレゼント”を購入する事にした。 「私は”そういう事は”良く分からないの!」 あんたが”スコートして選びなさいよ!!!!!”確実にもう”自分には手は出そうとしないであろう”その男を従えて彼女もまた”人で賑わう街中”へと消えていくのであった。 ■NEXT■ |