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01


私立羽陽学園。この汀国では珍しく法術を中心に学べる全寮制の男子校だ。

法術とは、森羅万象を司る力を制御し行使する術のことで、その行使能力を法力という。
法力の有無が天性のものであるため、いまいち教育機関としては発展していなかったが、最近この羽陽学園のように何校か新設されているらしい。

ちなみにこの学校は授業料は国立と変わらないが、維持費などの諸経費が桁違いで有名だったりする。
要するに超絶お坊ちゃま校だ。


だからといって。


俺は部屋を見渡した。

赤く毛足の長い絨毯。柔らかいソファー。美味しいコーヒー。

理事長室をこんなに豪華なところにする理由はあるのか。

柔らか過ぎるソファーに埋まりそうになりながら、俺はぼんやりと思った。



魔法使いのススメ
Chapter.01




出されたコーヒーを飲んでいると、背後で、がちゃり、と扉が開いた。振り返るとにこやかに笑う羽陽学園の理事長にして俺の保護者の兄である仁さんが入ってきたところだった。
仁さんは俺が立って挨拶をしようとするのを制すると、対面のソファーに座った。



「お久しぶりです、仁さん」
「ああ、久しぶりだね、香黒君。元気そうで何よりだよ」
「おかげさまで」
「聞いたよ。編入試験ほぼ満点を取ったんだって?さすが彩美さんの娘だね!」
「息子です」
「冗談だって!」



冗談じゃなきゃ困る。百七十ある男を女と見間違えるようなら、もはや眼科じゃなくて脳外科行って脳みそまるごと取り替えてもらうしか改善方法はないだろう。



「それにしても驚いたよ。まさかうちの学園に香黒君が編入してくれるなんてね。僕今日会えるって決まってから寝付けなくてさ!」



小学生か。



「相変わらず冗談が上手ですね」
「え?違うよ!ほら、ここ。クマ出来てるでしょ?」



顔が整っているせいなのか何なのか、仁さんの言うクマは見当たらなかった。

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あきゅろす。
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