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13

一つため息をついて手紙を胸ポケットに仕舞う。
内容はあれだったが、それでも手紙を送ってくれたことは嬉しい。

緩みそうになる口元を引き締め、再度ダンボールに向かい合う。

とりあえず最初に、このパソコンをどこに設置するか決めるのが先決かもしれない。




*****


あの後、嚆矢と千里に手伝ってもらいながら、身に覚えのない大量の荷物――例えば服(制服あるんだからほとんど無駄になる予感)、本(以前佳さんに読みたいと言ったものが大半だった。ありがたい)、ゲーム(やらない。いらない。嚆矢にあげたら喜んでいた)、アクセサリー(好きなのは確かだが多過ぎ)、その他――を全て片付けた頃には、外はすっかり暗くなっていた。



「うー、腹減ったわー」
「二人とも、遅くまで悪い……」
「ううん、気にしないで。僕らが勝手に手を出しただけだから」



何が楽しいのか、始終にこにこと笑っていた千里に笑顔で返される。
癒しだ。



「時間も調度だし、食堂行かない?」
「食堂?」
「そー。朝五時から夜十二時までー、が売りの食堂ー。メシも美味いんよー」
「ああ、二階のか?」
「それそれ」



覚えてるなんてさすがやわー、と嚆矢に笑うついでに頭を撫でられる。
馬鹿にされてる気が拭えない。
止めさせようと前髪の間から嚆矢を軽く睨むと、突然嚆矢の動きが凍り、かぱ、と手が俺の顔を覆った。



「う?」
「あかんよかぐちゃん、誘惑せんといて……」
「嚆矢、どうしたの?」
「かぐちゃんが俺のこと上目遣いで誘惑してきた……あかんて……」
「お前は何を言ってるんだ」



言ってる意味がわからない。
顔を覗き込んできた千里にその意を伝えようと小首を傾げてみせる。
すると、何か理解したのか、千里は顔を輝かせた。



「そっか、香黒君は無意識で色気を放っちゃったんだね!」
「汀語で話してくれ」



理解が追いつかない。

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あきゅろす。
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