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「それにしてもかぐちゃん。これ、なんでウインドウが二つもあるん?」
「二つしかないか?」



落ちそうになる眼鏡を慣れない手つきで押し上げ覗くと、箱には確かにキーボード三つ、マウス二つ、メインハード一つ、サブハード三つ、そしてウインドウが二つ入っていた。



「二つ、しか?」
「もう二つあるはず……」



試しに隣の箱を開けてみると、大量の服と一緒に二つのウインドウが入っていた。



「ん、あった」
「……かぐちゃん、すごいな」
「?そうか。ありがとう」



何にだかわからないが、褒められたようなので礼を言う。



「ねぇ、香黒君、」
「ん?」
「普通デスクトップパソコンってさ、ウインドウとハードウェアとかが一つずつでワンセットだよね?」
「ウインドウとハードがひとまとめのもあるが、大概そうだな」
「どうしてこれ、こんなにあるの?」



画面が四つでハードウェアも四つで、周辺機器がそれより少ないよ?
頻りに首を傾げる千里の言葉に、ああ、と納得する。
確かにあまりパソコンを弄らない側から見るとこれは少し異常かもしれない。



「俺のメインハードは作ったOSだから、市販のソフトが動かない時もあるんだ。だからその時ようで普通のOSのハードが三つ。あと、作業によっては一気に四つ使った方がよかったりするから」
「……凄いってだけ、わかりました」
「あかん。俺はどう凄いかすらわからん。むしろ何言ってんのかすらわからん」



今一わかってない顔の千里と、全くわかってない顔の嚆矢がそれぞれに呟く。
そう言えば幼なじみも同じような顔をしていた気がする。
彼はどちらかと言えば嚆矢寄りの機械音痴型で、よく色々なものを壊しては俺の所に持ち込んでいた。
機械弄りが趣味だからよく修理していたのか、それとも彼のおかげで機械弄りが趣味になったのかは微妙なところだが、とりあえず彼が俺の趣味形成に一役買っていたことだけは確かだ。



「かぐちゃん、これ入ってたでー」
「なんだ?」
「これは手紙、かな?」
「手紙……」



白い二つ折りの紙は、確かに手紙のようだ。
手渡されたそれを開く。
紙の真ん中に、大振りな(お世辞にも綺麗とは言い難い)見覚えのある字が並んでいた。



『バイクとかパソコンとかさ、
壊れるからまた直してくれよ!
休みの日には帰って来いよ!
           竜悟 』



幼なじみは、どうしても何か壊したいらしい。

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あきゅろす。
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