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02



「さて、本題なんだけどね」



言葉とともに仁さんは顔を引き締めた。



「改めて、香黒君、入学おめでとう。入学に際して幾つか注意があるんだ」
「注意、ですか」
「うん。まず、授業以外は校内での法術行使は原則厳禁だよ。何らかの理由があればその時その時に考慮に入れるけど、基本厳罰が下ることは忘れないで。
それと、寮で渡される鍵があるんだけど、それはこの学校の支払いにも使われる。クレジットカードみたいなもんだね。だから絶対に無くさないこと。部屋はオートロックだから外に出るときは鍵を忘れないこと。
……後は、この学校の校風について、なんだけどね……」



校風の話になった瞬間、仁さんは口ごもった。
どんな風習があるんだ。まさか毎年バトルロワイヤルをやっている、とか言い出さないだろうとは思うが。



「校風が、何なんですか」
「うん……あのさ、ここって初等部からの持ち上がりが多数でしょ?」
「そう聞いてます」
「だからね、その……なんて言うか……えっと……」
「……仁さん、口ごもっててもわかりません」
「う……っ」



俺の言葉に顔を歪め(三十路近い大人が泣きそうにならないでほしい)、それから思い切ったように言った。



「……っ、ど、同性愛者が九割を占めてるんです!」
「……」
「……っ」
「…………」
「…………」
「……それだけですか」
「え?あ、うん。え、だけってことはないんじゃ……?」



なんだ。何を言われるかと思いきや、その程度か。



「同性ばっかり同じ空間に閉じ込めておけば必然的にそうなるでしょう」
「……香黒君ってずれてるよね」
「?そうですか」



むしろ普通じゃないだろうか。

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