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拗らせた片想い2





※R18指定

かなりリアルな表現が多いので、苦手な方はお戻りください。









君の姿を見たとき、あぁやっぱり好きだなって、



そう思ってしまったの。













「ねー、まだなの。“サトシ”君。」


「もう時間過ぎちゃったねー。カスミちゃん連絡あった?」


「もうそろそろだと思います。もうそこのコンビニ辺りって。」


「本当に来んのかよー。」


「つかマジであの“サトシ”君が来んの?嘘みたいな話だな。」


「でもさーー・・」



「あっ!カスミ、だよな?」



階段を駆け上がってきた音と一緒に、忘れたと思っていた聞きなれた声が聞こえて、身体が震えた。



振り返れば、少し背の伸びた彼がそこにいて、あたしを見て駆けてきていた。



「やっと見つけた・・!
遅れてすみません、写真撮影が押しちゃって。」


「サト・・・」


「サトシ君!?」


「うわっ本物・・!?」


「あ〜どうもどうも、今日はよろしくお願いします!」


「キャーー!!!」



あたしが声を掛ける前に、先輩ともう1人の女の子が黄色い声を上げてしまって、周りに気づかれる前にと、慌てて予約していた店へと入った。



彼女たちと店へ入る彼の背中を見ながら、あたしは胸の高鳴りが苦しくて小さく息を吐いた。



・・今までに彼じゃない人とデートをしたこともあった。



だけどやっぱり彼を見たとき、他の誰とも違う、やっぱり彼はあたしにとって特別なんだと思い知った。



会えて嬉しい。


・・・だけど、苦しい。





「うっそ!サトシ君彼女いないの!?マジ!?」


「あんまそういう機会ないんですよ。」


「じゃあじゃあ!わたし立候補しちゃおっかなぁー!!」



「・・・完っ全に、俺ら眼中になくね?」


「てか、視界に入ってるかな・・。」


「まぁ仕方ないけど、俺だってサトシ君と喋ってみてぇよ。」


「いや、今割り込んだら女子たちに目で殺されるぞ。」


「だな。」



物凄く盛り上がっている向こう一列の席を前に、他の男の子たちは恨めしそうにサトシを見てて、あたしは苦笑いを浮かべていた。



「カスミちゃんは、サトシ君といつから知り合いなの?」


「え?」


「いや知り合いだっていうのは聞いてたけど、さっきから全然話してないから。そんなに深い知り合いじゃないのかなーって。どういう関係なの?」


「あー・・えっと。」



何て答えればいいんだろ。


そんなのあたしが知りたいくらいなんだけどな・・。



「まぁいいや。それよりカスミちゃん、今日この後ヒマ?」


「へ?」


「ここ抜けて一緒に飲み直さない?」


「えっ、それはちょっと・・」


「いいじゃん、みんな気づかないって。」



どうしよう・・。こういう時どううまく立ち回ったら穏便に断れるんだろう。


こういう時の身のこなし方が分からない。



「ね、カスミちゃん行こうよ。」



「・・・っと。」



ふいにサトシが立ち上がって、みんなの視線が一瞬サトシに向けられた。



助かったと胸を撫で下して、その隙に席を移動しようとすると。



「ちょっとお手洗い行ってきます。カスミも行くだろ?」


「へっ?あ、うん。」



急に声を掛けられて、思わず頷いてしまった。



「何ー?サトシ君ツレションってやつ?」


「そうっすよ。」


「普通女子とは行かなくない?」


「えーっ悪いっすかー?あ、トイレ向こうでしたっけ?」


「そう、奥行って右ー。早く帰ってきてねサトシ君。」


「はーい。」



あたしの背中を押してドアを出たサトシは、部屋から少し離れたところで壁にもたれかかった。



「はぁ〜、めっちゃ疲れた。女の子みんなギラギラしすぎ。食われるかと思った。」



眉を下げて苦笑する少し気だるげなサトシに、なんだか申し訳なくなった。



「ごめんね。サトシも忙しいのに、誘っちゃって・・・。」


「え?あ、ごめん嫌味じゃないぜ!
ていうか、俺今日はカスミと会うために来たんだし。」



ニッと笑って平然とそう言うサトシに、あたしはドキドキした。



「へ、変な冗談言わないでよ・・」


「冗談なわけないじゃん。本当にそうなんだって。
なぁカスミ。」



あたしの気も知らないで、サトシはずいっとあたしに顔を寄せて、



「2人で抜けないか?」



いたずらっ子のような顔をしてそう言った。


かすかに香るお酒の匂いに、また胸がドギマギする。



「ダ、ダメだよ。来てる女の子たち、みんなサトシ狙いなんだから。」


「え〜、そんなこと言ったってさ、別に俺の方には興味なんてないんだけど。
ていうか、カスミだってあの男の子たちに誘われて困ってたくせに。」


「な、なんで知ってるのよ・・?」


「見てれば分かるっつの。
じゃあカスミは俺と抜けるのと、ここに残るのどっちがいいんだよ?」


「えっ」


「な、どうなんだー?」


「う・・」



ニヤリと笑ったサトシに見つめられて詰め寄られて、ため息を吐いた。



あたしはいつだって、サトシには弱いんだ。







「うわーー!超いい眺めじゃんここ!」


「そんなに身を乗り出したら危ないよサトシ。」


「すげー、風気持ちいー。」



結局あの場を抜け出して、酔いを醒ますがてら寄り道をしながら歩いた。



「てかさー、カスミそれ寒くないのか?どっか別の場所行く?」


「ううん、あたしは早く酔いを覚ましたいから平気。」


「はー・・ほんと久しぶりだな、こうして会うの。最後にあったのがまだ20歳になる前だから〜・・」


「・・4年ぶりだよ。」


「そうそう!4年かぁ〜・・。」



サトシがフハっとおかしそうに笑って、帽子を被りなおした。



「でも急に連絡来たからビックリしたよ。
しかも合コンって。うわ〜カスミがすげぇチャラくなってる!ってさ。」


「あたしだってこういうことくらいあるよ。
・・・確かにあんまり行かないけど。」


「アハハ。あー・・よかった。やっぱ変わんないなカスミは。」


「そうかな。」


「うん。俺の好きなカスミのまんま。」



笑って普通にそんなことを言うサトシに、あたしは笑うこともできない。




・・・ーー好きだとか、




「あ、でも髪伸びたなカスミ。伸ばしてんの?」


「あ〜・・うん。自分の髪なら人魚のショーも楽に出来るから。」


「あー、あれ今もやってんだってな!カスミが主役だもんな、そりゃ人気出るに決まってるよな。」




・・・ーーあたしと同じ意味じゃないクセに。




「っくしゅん!」


「あ、ほらやっぱ寒いんじゃん。」


「大丈夫よ、これくらい。」


「ほらほら、やせ我慢すんなって。」



パサッと上着を肩にかけられた。



あの日を彷彿とさせる光景に思わず目を見開いたあたしに、サトシが吹き出すように笑う。



「前にもこんなことあったよな!」



自分の心臓がうるさくて、


苦しくて、


嬉しくて、



おかしくなりそう。





「・・・そうだっけ?」


「うわ、忘れてるとかひどっ。」





見えないように、サトシの匂いがする上着をギュっと握り締めた。



「あ〜やっぱ寒いって!別のとこ移動しよ!俺もうちょっとカスミと話したいしさ〜」




ーーーこんな・・・




「行こうぜカスミ!」




どうしようもない恋なんて、するんじゃなかった。




ーーーー





「んっ、ぷはぁーー・・・」


「ちょっカスミ・・、お前結構呑んでるけど、大丈夫か?」


「大丈夫よっ。あたしは今、呑みたい気分なの!」



そう言ったものの、新しいお酒の缶を開けてゴクゴクと呑み込んでたら、さすがに酔いが回って来て机にうつ伏せになった。



サトシが一人暮らしをしてる部屋はサトシの匂いでいっぱいで、呑んでも呑んでも、胸が締め付けられる。





「だいたいねぇ〜・・、あんたが悪いのよ・・。」


「俺?」


「あんたがいつも思わせぶりなのが悪いのよ〜・・。その気もないクセに。」


「はぁ?」



酔ったあたしに絡まれて、困ったような呆れたような顔してサトシが苦笑している。



腕に顔を乗せたまま、左を向いてサトシをジトーッと睨んだ。



「な、なんだよ?」


「どうせ彼女だっているんでしょう?」


「・・・いないよ、色々面倒だしそういうの・・。」


「ふ〜ん・・・。ふ〜〜〜〜ん・・・。」


「・・・なんだよ?」



缶チュウハイを口に運んだままサトシがあたしを横目で睨み返してくる。



「じゃあ、夜寂しい時とかどうしてるのよ?」


「ぶふぉっ」



ゲホッゲホッと咳き込んだサトシが口元を拭いながらあたしに振り返った。



「な、何言ってんだよ急に・・・!!」


「だって男の子も、秋とか人肌恋しくなったり寂しくなるって言うじゃない。」


「一体なんの話して・・っ」


「ねぇっ!どうなのよ?」



詰め寄るあたしに、サトシが困惑した顔で、照れ臭そうに目を逸らした。



「・・そりゃ、俺だって男だし・・
恋人がいる奴見ると羨ましいなって思うけど・・。かと言って別に適当な子とそういう風になるの、後々めんどくさいし。」


「・・そっか。」


「あー・・なんでこんなこと言ってんだろ俺・・。」



頭をボリボリと掻きながら、照れ隠しをするサトシを、あたしはチラリと横目で見た。



自分でも何してるんだか、何言ってるんだか分からない。



「じゃあ・・・」



でもお酒のせいで、サトシを求める気持ちが抑えられない。





「・・・あたしが相手しましょうか?
あたし、サトシとならそうなってもいいよ。」





あたしの申し出に、サトシは驚いたように目を見開いた。



そして数秒の沈黙の後、


サトシは真っ直ぐに、


あたしに手を伸ばして来て、





「駄目だよ。」





そう笑って、わしわしと前髪を撫でた。



「てかカスミ呑みすぎ!」


「うぅー。」



頭を軽く揺らされて、目が回りそうで唸り声が出る。



「ハハ。あのな、そういう冗談は嘘でも言っちゃダメだって。お前はそういうことする奴じゃないんだから。」




・・・ーーどうして、




「特にお前には、そんな風になってほしくない。」




そんな困ったような、


苦しそうな顔をして、


いつもはぐらかすの。






グイーーーっとサトシの顔を上に向けて、あたしは無理やり唇を重ねた。






間近で、不意をつかれたサトシの顔を見下ろす。




「あたしじゃ、嫌?」




サトシの頬を手で包んで、逃さないように真っ直ぐに見つめる。




「・・・・・・お前酔ってるだろ。」


「酔ってない。」




サトシがゆっくりと視線を落として、あたしの背中を撫でた。




「・・・電気、消してもらってもいいか?」


「・・・うん。」






ーーー暗くなった部屋で、




「ん、」


「んん、ふぁ・・っ」



向かい合わせに座って、サトシと深いキスを繰り返す。



初めてのキスなのにあまりに気持ちよくて、背中に腕を回して、足までサトシの腰に回して、もっととねだってしまう。




「お前、がっつきすぎ・・・」




熱が篭った声で、少し笑ったサトシに抱えられて、ベッドに優しく押し倒された。



「つーか、俺したことないんだけど・・・」


「あたしもだよ・・。・・・嫌?」


「じゃなくて。やり方とかよくわかんねぇっつーか・・」


「いいよ、そんなの・・」


「よくないだろ、痛くしたくないし。」


「そんなの、いいから・・。早く・・。」



そう急かしたら、「・・痛かったら言えよ。」と呟いてサトシの熱い手が服の裾から入って来た。



最初は恐る恐るだったサトシの手が、どんどん身体中の隅々まで這い回っていく。



舌が肌に触れた時は思わず声を出しそうになって、手で抑えた。



「どうして声我慢してんの。カスミから誘って来たのに・・・。」





ーーーだって、



やっとここまで持ち込めたのに、



変な声出して、前みたいに引かれるなんてもう嫌だし・・・。





でもそんなこと言えるわけなくて、サトシの視線は感じていたけど、あたしは何も言わずに横を向いていた。



「・・まぁいいんだけどさ。ほんと変なとこ頑固だよな。」



サトシの指が、舌が、あたしの肌を湿らせていく。



「んんっ・・」


「・・・ここ?気持ちい?」


「・・・聞かな、いで・・」


「ここなんだな・・」


「ふ・は・・んん・・・っ」



サトシの指に翻弄されて、そのうちもう声も我慢できなくなった。



「も、いいから・・・。来て・・。」



あたしばかり気持ちよくされて、痺れを切らしたあたしは、サトシの手を引いた。



サトシに足を抱えられて、グッと鈍い痛みが走る。



「はぁ・・っ、入っ、た・・?」


「入った・・・、すげ、キツイ・・」



浅く息を繰り返しているあたしの前髪を手で掻き上げて、サトシが顔を覗き込む。



「やっぱ痛い・・?」


「ん、少し・・・。」


「そっか・・」



それ以上動こうとせずに、サトシが優しく身体中を撫でるように触れてくれる。



サトシの柔らかい手に安心して、自然と心も身体もほぐれていった。



「も、大丈夫だから・・動いて・・」


「ん・・・」



サトシが動くたびに、痛みと一緒に背中がゾクゾクして、自然と声が弾けるように出た。



「ふ、う・・・はぁっ、サトシっ」


「はっ・・・。・・んー?なに・・っ?」


「はぁ、んんっ・・・サトシ・・っ」


「カスミ、近所に聞こえちゃうよ・・・」


「ふ、あぁ・・ん、んっ」



あたしの声がサトシのキスに飲み込まれていく。



重なった身体のすべての感覚を忘れないように、あたしの意識がサトシのすべてを追った。



指の感触や唇の柔らかさ、息遣いまで全部記憶に焼き付けたかった。



サトシの息がどんどん上がっていく。



眉を寄せた、初めて見たサトシの男の人の顔を、快楽の波に流されそうになりながらも目で必死に追いかける。



最後に力が抜けて倒れてきたサトシの汗ばんだ体の重みをしっかりと受け止めながら、その腕の中の心地よさに、うっすらと滲んだ涙が流れた。





ーーーー






冷蔵庫からお酒と一緒に買った水を取り出して、サトシの部屋に戻ろうと、ソワソワした気持ちのまま裸足で廊下を歩く。



トクン、トクン、と心臓が今もうるさい。



酔いが醒めたら、さっきまでの自分の行動に自分でも信じられない気持ちでいっぱいで、恥ずかしいどころの話じゃない。



それでも、後悔は全くしていなくて、


それよりもサトシへの気持ちが更に強くなっていて、


あたしは早くサトシの元に戻りたくて足を早めて、ドアを開けた。




「サトシ、お水持ってきたんだけど、よかったらサトシも・・・」





・・・ーーだけど、





「サトシ・・・?」




服を身に付け、ベッドに腰をかけて手を額に充てたまま項垂れる



後悔でいっぱいのサトシを見て、それはあたしだけだったんだと知った。





to be continued





最近、R指定ばっかり書いてる気がします。
秋だからでしょうか。。

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あきゅろす。
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