[携帯モード] [URL送信]

◆Main
恋をしたのは・1・
※R18指定






・・なぁ、お願いだから。



俺だけを見てよ。



俺だけのものになってよ。



俺を好きになってよ。



君が好きなんだ。






何度告げても、君は決して気持ちを返してはくれない。



何度抱いても、俺を受け止めてくれない。



俺を好きだと言ってくれないくせに、俺を拒絶することもない。



こんなに苦しい恋ならいっそ、全部忘れてしまえたらいいのに。



そう言ったら、君は悲しそうに笑った。








1








「・・あ・・っ・・ん・・はぁっ・・・」


「・・・カスミちゃん、気持ちい?」


「・・・・んっ・・も・・と・・」


「・・うん?・・もっと?・・」


「・・う、ん・・・あぁっ・・」


「・・かわいい・・・。・・ね、カスミちゃん。俺のこと、少しは好きになってきた?・・・」


「っふ・・・はぁっ・・・変、なこと・・聞かな・・」


「・・・俺は、好きだよ・・カスミちゃん。本当に・・大好きだよ。」






そう言って思い切り彼女を抱きしめたけど、彼女はその細い腕を俺の身体に回してはくれなかった。






「サトシ君」


「ん〜・・・」


「サトシ君、起きて。」


「ん〜?・・」


「今日仕事でしょ?」


「んん・・もうそんな時間?」


「うん。だから早く起きて。」


「え〜・・その前に、おはようのキスは?」


「そういうのは無しって言ったはずでしょ。」


「じゃあ頬っぺたでいいからさ〜・・」


「・・・さっさと起きないと、スターミーのみずでっぽうかけるけどいいの?」


「っそれは勘弁・・・!」




飛び起きた俺を見て、朝の日差しを背にクスクスと笑った彼女は「おはよう。」と言って微笑んだ。






ーーー彼女との出会いは、1年前。




彼女が働いていたファミレスに、俺がたまたま仕事の打ち合わせで寄って、そこで出逢った。




ポケモンマスターになって、そこそこ知名度も出てきた頃だったけど、変装とかそういうのは何もしていなくて、




そこへ彼女が俺のテーブルに来て、オーダーを取ろうとした瞬間、彼女が驚いて水が入ったグラスを落としたのがきっかけ。




たぶん俺のことをテレビか何かで見て知ってたんだと思うんだけど、それで俺も彼女の顔をしっかりと見てしまって、




その瞬間に恋に落ちた。

いわゆる一目惚れってやつだ。




それからは、何度も何度も家から遠いそのファミレスに足を運ぶようになり、彼女に一生懸命声をかけた。




最初は俺が来るたびに、彼女は俺を避けるように店の奥に入ってしまったり、話かけても素っ気ない態度ばかり取っていた。




でもめげずに何度も会いに行って話しかけていると、次第に彼女も折れたのか、少しずつ会話をしてくれるようになった。




彼女の綺麗な顔と少し勝気な性格とのギャップ、水ポケモンに対して熱い思いを持っているところや、正義感が強いところとか、



知れば知るほど、会うたびにどんどん惹かれていって、俺は我慢できずにバイトの帰りを待ち伏せして告白した。





『俺、君のことが好きです。俺と付き合ってくれませんか?』





生まれて初めての告白だった。



すごくドキドキしてたけど、真っ直ぐに彼女を見つめて気持ちを告げた。






だけど彼女の答えは、



『ごめんなさい。』



その一言だけだった。






脈がないのは分かってた。



だけどひょっとしたらって期待もしてた。



なぜだか分からないけど、彼女が俺に向ける眼差しは、他の人に向けるそれとは違うって確信があったから。




だから何度も何度も好きだって気持ちを伝え続けた。



どうしても彼女が欲しくて。

いつかその眼差しの意味を答えてくれると信じて。



そしてそんなことを続けていたある時、俺は勝負に出た。





『ねぇカスミちゃん、どうしたら俺のこと好きになってくれる?』


『サトシ君・・・』


『迷惑なら迷惑だって、君なら必ず言うはずだろ?ねぇカスミちゃん、俺のこと本当はどう思ってるの?』


『別に何とも思ってない・・』


『嘘つき・・』


『嘘なんかじゃない。』


『じゃあ試そう?嫌だったら俺を突き飛ばして。』





俺はカスミちゃんの頬を手で包んでーーーキスをした。





あの時の俺はただ必死で、少し理性を失ってたように思う。




それでも俺を見つめるカスミちゃんの切ない顔やたまに見せる微笑みは、俺を好きだと言っているのに、言葉では全く認めてくれないことに苛立ちを感じ始めていたんだ。




最初は腕の中で抵抗していたカスミちゃんも、次第に抵抗をやめて、俺のキスを受け入れてくれた。



そして俺の家で一緒に朝を迎えたとき、俺はもう一度告白をした。




ーーーでも返ってきたのは、思いもしない彼女の告白だった。




『・・・今まで言わなかったんだけど、あたし特定の人は作らないって決めてるの。
そういうの面倒だから・・。
だから、身体の関係だけでもいいなら、別に一緒にいてもいいよ。
その代わり、あたしに気持ちを求めないって約束して。』





「それが条件。」だと言う彼女に、他にもそういう相手がいるってことかと尋ねたら、彼女は「そうよ。」と、俺とは一切目も合わせずに言い放った。




正直、ふざけんなって思った。



バカにしてるのかって、本当はそう言いたかった。



だけど、




『・・それでいいよ。絶対に俺を好きにさせてみせるから。』




やっぱり彼女がどうしても欲しい気持ちが変わらなかった俺は、そう宣戦布告した。




それからこの半年間、身体だけの関係を続けている。







to be continued


なーちゃんさま、メールくださりありがとうございます(^ ^)すごく嬉しいです!
時間はかかるかもしれませんが、『あたしだけのかわいい人』最終話まで書く予定です(^^)
お問い合わせありがとうございました(^ ^)

←前次→

25/303ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!