[携帯モード] [URL送信]

◆Main
掌の中end





いくら後悔しても



一緒に空を見上げた遠いあの日に



もう戻ることはできないんだ。





なぁカスミ――



ねぇサトシ――





まだこの掌は、“あなた”に届くかな。













「早くしろよサトシ!バトル終わっちゃうぞ!」



「分かってるっての!こっちはシゲルとのバトル終わったばっかで疲れてるんだよ」



「そんなこと言って、お前だって気になるだろ?カスミとカンナさんのバトルだぞ?!」



「なんねーよっ」



「・・必死に記者をまいてきたくせによく言うな。」



「・・・っうるさいなタケシ!」




フィールドの方からワーッと耳を刺すような危機迫る歓声があがった。




「お?何かあったのかもしれないぞ!行こうサトシ!」



「うわっ!引っ張るなってタケシ!」




そう言いつつも、タケシに引かれながら俺の足はあいつの元へと急いでいた。






観客席に立つと、そこは異様な熱気で包まれていた。



誰もが手に汗握るようにフィールド上に目を奪われていて、ほぼ全員が総立ちだった。





――その理由は、バトル結果を見た瞬間にすぐ分かった。





「す、すごいぞカスミの奴・・5対5で同点だ。あのカンナさんに5戦もさせてるのか!?ほぼ互角のレベルってことじゃないか・・!」




声をあげ、汗だくになって、一瞬の動きも見逃さないように食いつくカスミの姿に、瞬きさえ惜しんでしまう。




「すごい、すごいぞカスミ・・!頑張れカ・・――」



「頑張れカスミー!!!!」




隣でタケシが叫ぶ前に、俺が叫んでいた。




俺の声は届くことなく歓声に溶けていったが、カスミの名前を口にするだけで心臓が掴まれたみたいに痛くなった。





カスミに対してこんな声援を送ったのは何年振りだろう。



最後にカスミに「頑張れ」って言ったのはいつだっただろう。




あの頃、ずっと冷めた目をしていたカスミ。




乾いた笑顔しか見せないカスミが、何かに苦しんでることは十分わかってたのに


「そんなお前は好きじゃない」と言い捨てて、


最後まで俺は向き合うこともなく、カスミから告げられた別れをただ飲み込んだ。



別れを選んだカスミが、何を考えていたのか聞こうともせずに。



どうして、



どうして、「一緒に頑張ろう」の一言が言えなかったんだろう。



どうして、



お前の手を放してしまったんだろうな、カスミ。








――突如、また危機迫る声がフィールド内に響き渡った。



カンナさんの指示によるれいとうビームが、カスミのジュゴンの身体を掠めて、ただ掠めただけなのに触れた部分が一気に凍りつき、身動きが出来なくなっていた。



「ジュゴン・・!オーロラビームよ!!」



「ラプラス、ふぶき!!」



瞬時に立て直し、繰り出されたジュゴンのすさまじいオーロラビームの威力と、カンナさんのラプラスのフィールド全てを巻き込むようなふぶきの威力がぶつかりあう。



目の前の光景に圧巻され、観客が息を飲む。



誰もがそのスピードに圧倒されて、ついけいけてないようだった。




だけど。




「まずい・・」


「は?え?なんだサトシ?」




隙をついてラプラスがジュゴンへと距離を詰め、ふぶきの威力も同時に上がったのが俺にはわかった。




――それとほぼ同時に、カスミがジュゴンに向かって走り出した。




「・・っカスミー!!!」




あまりに強いふぶきを至近距離でくらい、吹き飛ばされたジュゴンをカスミがかばうようにふぶきの中に飛び込んだ。



一瞬にしてフィールド中に悲鳴が上がる。



カンナさんがすぐにラプラスにふぶきをやめさせたが、カスミがジュゴンと一緒に吹き飛ばされたと同時に、すでに放たれていた氷の風がすさまじい勢いで観客席まで舞い上がり、前が見えなくなった。



刺すように冷たい風を腕で受け止めて、なんとか目を開いて見回す。




どこだ、カスミ。どこにいる。

頼む。無事でいてくれ・・!




「・・っサトシ、あれ!!!」




タケシが指差す方を見たら、カスミのギャラドスがボロボロの体でカスミを抱きとめていた。


意識もあるようで、カスミが弱々しく手を伸ばしてギャラドスの顔を撫でている。



「・・よかった」



それを見て、体の力が一気に抜ける。



観客席からも讃えるような興奮した大きな声が一斉に上がった。



そして、あのカンナさんがカスミのところまで自分から歩いていく姿にもさらに歓声が上がった。



カスミに声をかけ、カンナさんから差し出された手に手を伸ばして握手を交わすカスミ。



そしてカンナさんの手が離れた途端、カスミは泣き崩れた。



その姿は、あの頃の冷めたものとはまるで違う。



惜しみなく悔しさを吐き出す姿は、雨上がりの空のように儚く澄んでいて、



涙でぐしゃぐしゃになった顔は、どこまでも綺麗だった。





カスミのポケモン達が慰めるように側に駆け寄る。



そしてカスミの友達だと思われる何人かに肩を借りながら、カスミはフィールドから足を引きずりながら出ていった。




「・・・行くぞ、タケシ」



「えっおい、待てってサトシ」




それを見送ってから観客席を出た俺を、タケシが追いかけてくる。




「カスミ、大丈夫かな・・足を傷めたかもしれないな。」



「・・・・」



俺とのバトルで痛めた足。

気にならないわけがない。



「あー・・・タケシ、先に――・・」



「あっそうだ!俺用事があるんだった。しまった、急がなきゃ間に合わないな。俺先行くなサトシ!」



「は?お、おう・・・」



突然俺を置いて走り去ったタケシにポカンとしたが、都合よく1人になれたので、そのまま意を決してカスミの控え室へと足を向けた。


だから、



「頑張れよ、サトシ」



そう呟いたタケシの声に俺が気づくことはなかった。






*****






「はぁっ・・はぁっ・・」




俺は携帯片手に街を走り回っていた。




「くそっ・・あいつ、どこにいるんだよ・・っ」





遡ること2時間前。


カスミの控え室のドアを叩いた俺。



『はい。ってえぇ?!君はポケモンマスターの・・』



『どうも。あの、カスミはいますか?」



『あぁカスミちゃんなら、お姉さんが付き添って近くの大きなに病院に連れてったよ。さっきタクシーに乗ったから、そろそろ――・・』




そこまで聞いた俺は部屋を飛び出し、タクシーをつかまえて病院に駆け込んだ。



『サトシ君・・・?あらどうしてここに?』



『あのっ、それよりカスミは?』



『え?あの子なら治療が終わって1人で歩けるからって帰ったけど。わたしはこの後お出かけの予定があって』



『家に?』



『さぁどうかしら・・一応真っ直ぐ帰るようには言ったけれど』



『そうですか・・・』



『それにしても、なんだか久しぶりって感じがしないわね。』



『え?』



『カスミがしょっちゅうあなたのことを話すから、何度も顔を合わせてる気分になるわ。』



『カスミが、俺のことを・・?』



『えぇ。』




サクラさんが目を細めて俺を見つめる。




『あのね、わたしはあなた達の間に何があったのかは知らないのだけど、カスミにとってあなたが、特別な存在だったんだなってことは分かるの。
こうやって追いかけてきたってことは、あなたにも似たような気持ちがあるんでしょ?』



『・・・・』



『あの子、余計なことはギャンギャン怒ったりしてうるさいくせに、肝心なことだけは抱えこもうとするのよね。だから――・・』




あの子のこと、よろしく頼むわね。サトシ君――・・







「ったく、なんで電話出ないんだよ・・」




もう何度も何度も掛け直している電話に、カスミからの折り返しはない。



そのせいで街を走り回ってカスミを探しているというのに、一向に見つからない。



「・・・さっさと出やがれっ」



祈るように掛け直した電話のコール音が、プチンっと止まった。



『はい・・』



「カスミっ!!お前今どこにいるんだよ?!」



『・・何で?」



「いいからどこにいるか教えろ!!」



『・・・・やだ』



「はあぁ?!」



『今、サトシには会いたくない・・』



「・・俺は会いたい」



『・・・・』



あーーっもう!!



「俺が会いたいんだよ!!どこにいるんだカスミ!」



ここまできたら本音を全部ぶちまけてやる、と声を荒げる俺に、カスミは押し黙った後『ねぇ、サトシ――・・』と俺の名を呼び





『空、すごく綺麗――・・・』





そう答えた。





「空・・・?」





――――思い出したのは、あの遠い日の会話。





“わ・・・サトシ見て見て!夕焼け、すごく綺麗!”




「っカスミ!!そこ動くなよっ!!!」




それだけ言って電話を切り、俺たちが始まったあの場所に向かって一目散に走った。






*****





「や・・・っと、見つけた・・」




前とは違う、すっかり日の落ちた星空の下にカスミの背中を見つけた。



荒い息を整えながら、1人座っているカスミの側に寄る。




「おいカスミ――・・」



「来ないで」



「あ?」



「見られたくない。あたし今、ひどい顔してる。」




そう言って、自分の膝に顔を埋めてしまったカスミ。




「はぁ・・・」




俺はため息を吐いて、すぐ側にあった木にもたれかかった。




「つーか、1人でこんな時間に外ほっつき歩くなよな。探すのにどんだけ時間かかったと思ってんだよ。」



「・・誰もきてほしいなんて頼んでない。」



「何だと?」



「ていうかせっかく1人で浸ってたのに、邪魔しないでほしかったんだけど・・・」



「っかっわいくねぇー!!」




はぁー、と再びため息をついた。




「カンナさんに負けたのがそんなに悔しいかよ。」




サワサワ、と優しい木の葉を揺らす風に、かすかにカスミの香りが混じって届く。




「・・・・・悔しいよ。」




その風の音に、涙声が滲む。




「悔しい・・・
すっごく悔しい・・・
たとえあたしがどうなっても、それでもみんなでカンナさんに勝ちたかった。」



「そうか・・」



「・・・・らしくないよね。そんなこと、あの頃は考えたこともなかったのに。」




声を震わせるカスミの背中に目を向ける。




「あの子達と闘えてよかったって思った。
バトルの勝ち負けであんなにグチャグチャになるまで泣いたことなかった。
本気になるって、こんなにすごいことなんだって思えた。
だから――・・・なんであの頃同じように出来なかったんだろう・・って今更後悔して――・・」




カスミの本音を、今度は1つもとりこぼさないように俺は黙って聞いていた。




「も――・・バカみたい――っ」




どんなかわいくないカスミも、子供のように泣きながら声を荒げるカスミも、全部受け止めて向き合いたいと、そう思う。




「・・・・・本気になんてなりたくてもなれなかっただろ、あの時は。」



「そうだね・・・。お姉ちゃんに押し付けられてばっかりのジムリーダーも、バトルとは関係ないモデルみたいな仕事ばっかりきたことも、正直うんざりしてたし、自分だけが悪かったなんて今も全然思ってない。
けど、諦めてなにもかも投げ出したのは自分自身なんだよ。」




結局は自分が決めたこと。


だから、苦しい。




「いろんなこと、簡単に諦めないで、もっと足掻いてたら。
そうしたら、何か違ってたのかなぁ・・・」




俺はそっと目を閉じた後、カスミの方へと近づいた。



「・・・まぁ、昔のことについては俺も同じだし。後悔すんなとは言わねぇけどさ。
今は本気でやってるんだろ?
ならそんな顔してんなよ。」





ぽん、とカスミの頭に触れて、今日1番言いたかったことを口にした。





「今日のバトル、お前すげぇカッコよかった。」




カスミが顔を上げて、フルフルと肩を震わせる。



「・・・っで・・・」



「ん?」



「なんで今そんなこと言うのよー・・・っ!!」




ボタボタと涙を溢して、地面を染めていく。




「何でって・・・本気でそう思ったから言ってんじゃん。」




泣きはらした顔で俺を見上げるカスミ。

その目は、以前の冷たさや乾きなんて一切ない鮮やかで温かな青色で、やっぱり綺麗だと思った。




「つーか、好きだって言っただろ。目の前で凹まれて放っとけるか。
俺だってもう後悔したくないんだよ。」




だけどカスミは、すぐにその目をそらした。




「――・・・なら、尚更・・もうあたしに構わないでよ。」



「・・・何でだよ」



「だってあたし、あの時あんたからも逃げたんだよ。」




―――その手を離したことを後悔する日がくることも分かってた。

それでも・・・




「恋人になんてならなければよかった。
友達のままなら、別れなんて考えずに傍にいられたのに・・・って。」




ただ、怖かった。




「否定されるのが怖くてあんたとちゃんと向き合おうとしなかった。
本当は・・・・・変わってく気持ちに、サトシ自身が1番戸惑って苦しんでることも、
それでもまだあたしを好きでいてくれてるってことも、
全部・・・分かってたのに・・・っ」



――――怖い。



卑怯で臆病なあたしは、きっとまた間違えてしまうから。



「・・・あたしね、サトシには幸せになってほしい。
苦しい時ちゃんと傍にいてくれる、あたしとは違う優しい人と、今度こそ後悔しない人生を・・・っ。」




どうか今度こそ、幸せに――




「だからっ、あんたはあたしなんかのとこに帰って来ちゃダメなのよ・・・っ!!」




ぐいっと華奢な手首を掴んで、カスミを力一杯抱きしめた。



「そんだけか?」



「え・・・?」



「言いたいことはそれだけかよ」



くしゃっと指先に絡めた髪は、柔らかくて昔と変わってない。



「それだけって・・・あんた今の話聞いてた?」



「おう。だから今も昔も、結局俺が好きだってことなんだろ?」



「ちっ・・・ちがくないけど違う!!!」




真っ赤に染まった顔でグイッと押し返してくる。




「あたしとじゃ幸せになれないって、分かんないの?
あんたにはもっと・・・」



「あー・・・お前が自己中でめんどくさいのなんて、前から知ってるから安心しろ。」



「ちょっ・・そんなこと言ってないんだけど?!」



ほんっと調子狂う・・・。
そう拗ねたように唇を尖らせるカスミに愛しさがこみ上げる。



「そもそも自分のことで手一杯だったのは俺も同じだ。お前の気持ちなんて全然分かってなかったし、今も100%は分かってない。」



「サトシ・・・」



「つーかそうじゃないだろ。そうじゃない・・・」



今度は優しく引き寄せて、カスミの肩に顔を埋めた。



「後悔するとかしないとか関係ない。お前が欲しいだけなんだよ俺は。」



どうしようもない恋だとしても、もう二度と手放さない。



そう言ったら、カスミの肩からストンと力が抜けた。



「・・・また、同じこと繰り返しても?」



「繰り返さねぇよ。大事なもん手放すってことがどういうことか、もうお互い知ってるんだから。」



「・・・本当かな」



「それにさ、」



「うん?」



「間違えたら何度だってやり直せばいいだろ。
人生も、俺たちも。」



そう微笑んで、さらりと髪を撫で、――唇を重ねた。



―――・・あぁ。

触れる手も、キスの感触も、

何も変わってない。




キスを終えて息を吸い込むと、カスミが俺の肩に顔を埋めて来た。


その頭を、優しく何度も撫でてやる。




*****





サトシの肩越しに見上げる、何年振りかの空に目を奪われる。




「あ。・・・サトシ、空・・・」



「ん?あぁ、夕焼けも綺麗だったけど、こっちもすげーな。」




――あの日オレンジ色に輝いてた空は今は暗く、


その代わり


無数の星が今にも降り出しそうで――




あたしは、んーっと星空に向かって手を伸ばした。



「ふはっ。何子供みたいなことしてるんだよ。
星なんて手に入らないぞ。」



優しく前髪を撫でながら、


サトシはあたしの伸ばした手を追うように手を伸ばしてきて、


指先を絡めて優しく笑った。



「俺で我慢しとけ。」



絡められた手ををしっかりと握りしめて、声にならない声で泣く。



届きそうだと伸ばした掌に掴んだものは


ただ優しく、温かかった。




*****





バルコニーに出て見上げると、あの日と同じ、星が降り出しそうな夜空が広がっていた。



あの日からずっと、見上げる夜空はいつもキラキラと煌めいている。




「カスミ」



カラカラと音がなり、追いかけるようにして彼も出てくる。



「何してんだよ。そんな薄着で風邪引くぞ。」



「んー?ちょっと酔っちゃったから醒まそうと思って。」



「ほら、着とけ。」


「わぷっ」



顔に上着を押し付けられて、変な声を出したあたしにケラケラとサトシが笑う。



「もうっ。そういうサトシも酔い覚まし?」



「俺はあいつらがうるさいから逃げてきた。」



「なんか言われたの?」



「カスミを泣かせんなとか。家事は分担してやれとか、俺のこと何だと思ってやがるんだ。」



「普段の行いが悪いせいじゃない?」



「んなことあってたまるか。だいたい引越し祝いとか言って、あいつら呑んで騒ぎたかっただけだろ。」



「みんな祝ってくれてるんだし、いいじゃない。」



「よくねぇよ。婚約初日に押しかけて来やがって。」



「婚約・・・」



改めて口にすると照れて、顔が赤くなってしまう。



そんなあたしを見て、いたずらな顔をしたサトシがあたしを抱き寄せた。



「ちょっと・・!ここ丸見えなんですけど!」



「うるさいな。本当ならお前と2人きりでベッドでイチャつくはずだったんだから、こんくらいいいだろ。」



「勝手にそんな恥ずかしい予定たてないでよっ!!」




まったくあんたって人は。



いくつになっても子供みたい。





口では「もーー」と呆れながらも、コテンと肩に頭をのせた。


少し驚いたようだったけど、サトシも優しく肩に手を回してくれた。





・・・婚約、か。




「あれから5年も経ったのね・・。」



「うん?」



「あたしね、やり直し始めたばっかりの頃は、やっぱり信用できなかったのよね。
自分のことも、あんたのことも。」



優しく前髪を撫でる手のひらにおでこをすり寄せた。



「喧嘩するたびにまた終わるんじゃないかって。今度こそ友達にも戻れないかもって何度も考えてた。」




――――なのに。




「まさかこんなものまでもらえる日が来るなんて思いもしなかった。」




2人の薬指にはまるこの指輪は、一緒に時を積み重ねてきた証で、これからも積み重ねていくと誓った証。




「バーカ。何が5年もだよ、まだ5年だろ?
こっから俺たち後何年生きると思ってるんだよ。」



「え?」



「ソレ受け取ったんだ。覚悟は出来てるんだろうな。」



サトシの真っ直ぐな、だけど少し照れたような眼差しに思わず笑みが漏れた。



「当然でしょ。
さすがにあんな必死なサトシを前にして、半端な気持ちじゃ受け取れないわよ。」



「っうるさいな!緊張するだろ誰だってっ」



「・・・すごく、嬉しかったよ。」




――あたしはバカだから、きっとこれからも何度だって間違えてしまうと思うけれど




「ていうか、覚悟ならあんたこそしといた方がいいんじゃないの?」



「はぁ?」



「あたし結構長生きする予定だから。
末永くよろしくね、サトシ」




間違えたら何度だってやり直せばいい。


あの言葉を


ずっとずっと、信じてるよ。




end





←前次→

23/303ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!