魔の13階段 昼休み、郷子ちゃんと広くんがいなかったので5時間目が始まる前に聞いてみた。 「ああ、旧校舎の屋上にちょっとね。」 「旧校舎の屋上?」 そこの階段っていろいろ噂がたってるよね? 確か、魔の13階段だったかな? 「実はそれを調べに広と克也と行ってたんだけど……。」 「どうかしたの?」 「分かったのは広がバカだって事ぐらい。」 なんでも広くん、数え間違いで15段あるって言ったらしい……。 いやー、でも階段の数え方って複雑だよね。どっから数えればいいのか、はたまたどこが終点なのか。 これが階段の怪談なのか? 「そう言えば一希は補習やるの?」 「補習?」 「もー。ぬーべーが言ってたじゃない!明日は全国一斉の模試があるから自信のない人は放課後補習をやるって!」 あー。確かに言ってたねー。 まぁ、自信ないわけじゃないけど…。 「一応、やろうかな?」 「あーよかった!一希も自信ないのね。」 まぁ、そう言うわけじゃないけど。 なんで安心しきった顔なんだろ? ーーー放課後 「さー、張り切っていきましょー!」 目指せ、学年一位!なんて声高々に言うぬーべー先生には失礼だけど、みんなげんなりしている。 広くんなんて鬼だなんて言ってるよ。 「あれ?」 克也くんがいない?さっきまでいたはずなのに……。 ガシャーン! 「な、なに?」 「ドロボーでも入ったのかしら?」 どこからか花瓶かなんかが割れる音。 てか、郷子ちゃん。あんまりビビらせないでよ怖い。 そのあと、ぬーべー先生と郷子ちゃんが見に行ったら克也くんと見知らぬ生徒が走り去って行くのを見た、と。 「とりあえず、克也くんを追いかけた方がいいんじゃないかな?」 「そうだな。旧校舎の方角と言うのも気になるし、行くか。」 一緒に探すって事で私と郷子ちゃんと広くんとまことくんも同行。 旧校舎に急ぐ。 「あ、先生あれ。」 旧校舎の屋上に続く階段には今にも引きずられそうな克也くんの姿が。 その姿を見てどたまにきたらしいぬーべー先生は克也くん救出を試みるが相手はなんと、子供らしい。それをかさにかけている。 「広くん、これ……。」 だから私に出来る事は広くんに野球バットを渡す事。 子供の問題は私達子供で解決するのも手だよね! 「一希…、サンキュー!」 そのあとの広くんの行動は早かった。 克也くんにまとわりつく不良をバットでなぎ払い郷子ちゃんはイスで殴る。まことくんは不良に立ち向かっている!じゃあ私もまことくんの援護だ! そうこうしてる間に克也くん救出は大成功を収めた。 「うわーん。よかったよー。」 もう本当、ガチ泣きしそうなレベル。 無事でよかったぁ! 「……先生。」 克也くんが先生に話しがあるって呼び止めた。 ここじゃあれだから屋上でと言い屋上に入って行く。 「お前達は教室に戻って勉強だ。あ、一希は残ってくれ。話しがある。」 「へ?あ、はい。」 先生に続いて屋上に入るが、克也くんも大切な話しがあるため、会話が聞こえない場所に1人移動。 しかし、先生。私に話しってなんだろう? 「一希。」 「あ…、もう克也くんとお話し終わりましたか?」 「ああ。」 いつになく、真剣な目をするぬーべー先生。 実はぬーべー先生のこの目、結構好きだったりする。この目をされると安心するって言うかなんて言うか。 「一希は昔から霊力が高いせいで悪霊なんかに取り憑かれたって言うのがザラにあるはずだ。」 「あ、はい。経験はあります。」 「そう言う時はいつもどうしてた?」 「えーと、体から出て行くまでガマンしてたり、塩を盛ったり…、あと日向くんに頼んだりしてました。」 「日向、くん?」 親戚?と勘違いしている先生にそう言えばくだ狐やイタコの事言ってないなぁと思って説明してみる。 「くだ狐の日向くんです。」 「君は…、イタコなのか?」 「まぁ、家がイタコの家系でして…。」 隣で聞いている克也くんは訳がわからない顔していてぬーべー先生に説明してもらっている。 「一希、先生の元で修行をしてみないか?」 「しゅぎょう?」 「ああ。前言った通り、君は霊力がバカ高い。そのままにしておけばいずれ悪霊に飲み込まれるおそれがある。だがある程度修行しておけばいざと言う時役に立つはずだ。」 なるほど……。 修行一つで毒にも薬にもなるって事か。 それなら……、 「ぬーべー先生…。よろしくお願いしますっ!」 「よし。修行は明日の模試が終わってからだ。それまでは模試に励みなさい。」 「はい!」 「さ、教室に帰ろう。みんな今頃一生懸命勉強しているはずだ。」 教室に帰れば案の定、みんな勉強していなかったのはまた別のはなし。 [*前へ][次へ#] |