クラスメート 保健室へつくとまず一希をベッドへ寝せる。 彼女に憑いている霊は低級なため除霊は簡単だ。だが長い間、取り憑いていたのだろう。真っ青を通り越し青白い。 「ぬーべー…。一希ちゃん、助かるよね…?」 振り向けば郷子だけでなく、5年3組のみんながいた。 金田なんかは泣きそうな顔をしている。 「当たり前だ。今は疲れて眠っているんだ。ゆっくり寝かせてやろう。」 「…うん。」 みんなを連れて教室に戻り授業を再開させる。 だがやはり一希が気になるのだろう、そわそわしている。 「一希はきっと……生まれつき霊に取り憑かれやすいんだろう。」 「生まれつき…?」 「ああ。彼女のプライバシーに関わる事だからこれ以上は言えないが、幼い頃から沢山苦労して来たんだと思う。」 苦労。 頻繁に霊に取り憑かれる。 まだ幼いためどうする事も出来ない自分は毎日が苦痛との戦いだ。 そしてそんな自分に友と呼べる人間はいるだろうか?否。誰も近寄らないはずだ。自分がそうだったように。 だけど、一希にはそんな辛い思いはさせたくない。 「一希も5年3組の一員だ。」 「そんなの当たり前だ!!」 「そうだよ!一希ちゃんはもう私達5年3組の一員なんだから!!」 「……そうか。 だ、そうだぞ。一希。」 「「「「え…?」」」」 ガラっと扉を開けた先には律子先生と一希の姿。 教室に戻る前、実は律子先生に一希を頼んでいたのだ。そして目が覚めたらここに来るよう仕向けたわけだ。 「あの、わたし、その……。」 「ゆっくりでいいから。」 「(コクン)私…、こんな体質だから、友達出来なくて……。前の学校でもこれが原因で…。」 「じゃあ私達が最初の友達だね!」 「とも、だち?」 「ああ、そうだ!友達だ!」 「いいの…?私を友達にして。迷惑、かけるかもしれないんだよ…?」 「迷惑なんて思わないよ!」 「そうよ!これが迷惑って言うんなら郷子と広はもっと迷惑よ!(焦れったくて)」 「こら美樹!」 ついに騒ぎ出した5年3組。 一希を見ればボロボロと涙を流し郷子に抱きついている。そんな郷子は優しく頭を撫でながら美樹と口喧嘩。広や克也は二人を宥めつつ一希を慰め中。 「鵺野先生。ありがとうございました。」 「俺は何も。あいつらが一希の心の壁を溶かしたんです。これから先、きっと強い絆で結ばれると思います。」 「ええ、私もそう思います。」 翌日ーーーー 「一希、ドッジやらない?」 「あ、あの。私そのどっじ?のルール分からなくて…。」 「じゃあ教えてあげる!校庭いこ!」 「うん!」 ああ、本当。 俺もいい生徒を持ったな。 テスト採点をしながらそう思った。 [*前へ][次へ#] |