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転校生の噂




一昨日、我が5年3組に一人の転校生がやって来た。





ーーー一昨日




「鵺野先生、実はお願いがあるのですが・・・・。」



そう、言って来たのは同僚の高橋律子先生。
美人な5年2組の担任の先生だ。



「律子先生、どうしたんですか?」



そんな律子先生のうしろには一人の女子生徒。
この前、5年2組に転校して来た生徒だ。




「実はこの子・・・、」



言いづらいのか言葉を濁す律子先生。
でも確信した。この生徒は5年3組に来るべき生徒だと。




「分かりました。この子は5年3組が預かります。」
「!ありがとうございます、鵺野先生!」



名前は?と聞けば「葉月・・・、一希。」と答えてくれた。




ー5年3組教室ー



「今日は転校生を紹介する。」



俺がそう言えば生徒はみんなざわつき始めた。



「広以来ね。」
「どんな子かなー。」


大半が転校生に対しての興味だ。
廊下で待たせていた生徒を教室に入れ自己紹介をさせる。




「葉月、一希です。」



ペコリと頭を下げる一希に教室の中がまたも騒がしくなった。




「あれ?律子先生のクラスの子よね。」
「おとなしそうな女だなー。」
「胸は郷子よりも小さめ、か。」
「こら美樹!」
「静かに!席は・・・、勝の隣が空いてるな。」
「あ、でも先生。机がないわよ。」
「あぁ、それなら廊下においてある。」
「なら俺が持って来るよ。」
「私も手伝う。」



広と郷子が机とイスを持って来、勝の隣に置く。
こう言う時、3組の団結には感心する。



「どうぞ、葉月さん。」


一希はコクンと頷いた。
それが一昨日の事だ。








「葉月さん、一緒にドッジやらない?」
「私はいい・・・。」
「そっか。じゃまた誘うね。」



3日たった今でも彼女はクラスに馴染めていない。
どうしたもんかな〜。




「鵺野先生、ちょっと。」


そこへ偶然、律子先生と遭遇。
ここ(廊下)では話しづらいため、職員室へ移動した。



「一希ちゃん、どうですか?クラスに馴染めましたか?」
「いえ、それがまだ。」
「そうですか・・・。実はあの子、不思議な力があるみたいなのです。」
「不思議な力?」




律子先生は話してくれた。
たまに何かを目で追っている事。
ある一定の場所をずっと見ている事。
金縛りにあったようにピクリとも動かない時がある事。

そして急に顔が真っ青になる時もあると言う。
律子先生が言う「不思議な力」とは霊力が高いと言う事か。



「あの子が怖いってわけじゃなくって私じゃ何も力になれないと思ったんです。でもあの子から見たら私は生徒を捨てた教師と思われても仕方ありませんね。」



唇を噛み締め泣くのを堪える律子先生。
心なしか肩も震えている。



「鵺野先生!あの子を・・・、一希ちゃんをよろしくお願いします!」
「任せてください!」



どんな形であれ一希はもう俺の生徒。
可愛い生徒を守るのが俺の役目だ。





ーーーとは言ったものの。
今だに1人で本を読んでいる一希。






「はぁ〜。どうしたもんかな。」
「ぬーべー、悩み事?」



うしろを振り返ればドッジボールをしていたはずの郷子達。



「なんだ?もうドッジボールはお終いか?」
「何言ってんの。もうチャイムなったわよ?」
「しっかりしろよな、ぬーべー。」




生徒達が笑う中、一希だけが無表情でこちらを見ている。



「はいはい。いつまでも笑ってないで算数の授業を始めるぞ。」



文句を言いながら広達は自分の席へと戻る。




「では、この問題を・・・、一希。解けるか?」
「、はい。」



少しだけ様子がおかしかった。それに少しだが妙な気配もする。
それでも彼女は前に出て問題を解いていく。




「よし、よく出来たな。」



イスに座ろうとした瞬間、勢いよくうしろへと転んだ。



「!!大丈夫か!?」
「っ〜!」

「おい、金田。今わざとイス引いただろ?」



広がそう言えば、勝は「しーらない。」と言う。



「大丈夫。私の不注意だし・・・。」
「ほらな。葉月もこう言ってんだしよ。」



だが広は腑に落ちないような顔をしている。
まぁ、自分も勝には注意するつもりではいるが一希がそう言うならそれを信じるしかないが。




「授業を続けるぞ。」





*****



終盤近くまで来た時。
妙な気配が強くなって来た。
気になり一希を見れば顔を真っ青にさせ、蹲っていた。
声をかけようとした時、




ドサリ
大きな音を立て、床へと倒れた。
そして腹部が蠢きだした。




「(また、ここでもダメだったよ・・・。)」
「きゃー!」
「(ほら、ね。まただ。)」

「ぬーべー!一希ちゃんを助けて!」
「(え・・・・?)」



目を見開いたあと、意識を手放した一希を抱え、保健室へと急いだ。



ーーーーーーーーーー


一旦ここで区切ります。
ちなみにイスを引いたのは金田の仕業です(^ω^)

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