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不幸の手紙





「郷子ちゃん、おはよう!」
「おはよう、一希。」
「今日は広くんは一緒じゃないの?」
「今日はサッカーの朝練みたい。」




広くん頑張ってるなー。
さすがレギュラー!





「ん?あれって美樹ちゃんじゃない?」
「あ、本当だわ。」





どうしたんだろう?
顔を赤らめてモジモジして。
ポストに用があるって事はもしかして…。





「ラブレターかな?」
「ラブレターね。」





どれどれ、と言って覗きこむ郷子ちゃん。
瞬間、美樹ちゃんが郷子ちゃんに蹴飛ばされた!





「き、郷子ちゃんんんん!?」





どうしたのいきなり!何があったの!?
美樹ちゃん大丈夫!?






「な、何すんのよいきなり!」
「何すんのよ、じゃないわよ!何よこの手紙!」





手紙?
蹴飛ばされた時にヒラリと落とした手紙を拾って見てみる。






「不幸の…、手紙?」




え、なぜ?
美樹ちゃん何か嫌なことでもあったの?





「どうしてそーゆー事するのよ!何か悲しい事でもあったの!?」
「美樹ちゃん、私でよかったら相談にのるよ?」
「やーね、一希ったら。」






悩みはないけどただ年賀ハガキが余って暇潰しに書いただけと供述。






「やめなさいよ。受け取った人が本気にしたらどうするのよ!!」
「私も、やめた方がいいと思うけど…。」
「こんなの、どうせお遊びなんだから。」






そう言ってポイっとポストに不幸の手紙を入れた。
……まではよかった。(いや、よくないか)



―――数日後
ぬーべー先生が朝の朝の会で不幸の手紙の事をはなした。
まぁ、信憑性ないから来たら速攻で破り捨てろ、との事。






「私のところにも来たよ、不幸の手紙。」
「え!?大丈夫なの!?どうもなってない!?」
「う、うん。」





鬼の形相で詰め寄る郷子ちゃん。
本当、大丈夫だよ。
私には日向くん(クダ狐)がいるから。ほら、バックにspいると心強いって言うでしょ?






「何かあったらすぐぬーべーに相談するのよ!?」
「うん。」
「ぬーべーが頼りなかったら私達にでも、ね?」
「うん。」




でもぬーべー先生、結構頼りになるんだけどなぁ〜。
あ、もちろん郷子ちゃん達も頼りになるよ。






「本当、変な事がおきなきゃいいんだけど…。」
「そうだね…。」





まぁ、もう出しちゃったものは仕方ないし…。
今さらあれこれ言ってもどうにも出来ないよね。






「一応、ぬーべー先生にも相談した方がいいかな?」
「まぁ、もう少し様子を見ましょう。」





それもそうだね。
さすが郷子ちゃん。頼りになる!

その1ヶ月後。
美樹ちゃんから突然の電話がかかってきた。





「もしもし?」
『あ!一希!?私、どうしよう!』
「え、どうしたの?美樹ちゃん。」
『とりあえず私の家に来て!!』




ガシャン!と電話をきられた。
焦ってたけど、どうしたんだろう?
念のために日向くんも連れて行った方がいいかな?






「あ、郷子ちゃん。」




美樹ちゃんの家につくとなんとまぁ郷子ちゃんもいた!





「郷子!一希!」
「美樹ちゃん。どうしたの?」
「実は………、」





ズラっと見せられたのはハガキ。
しかも100枚近く。





「もしかして…。」




それを見て郷子ちゃんが何か察したようだ。
顔をひきつらせる郷子ちゃんを見て私も察した。
これ全部、






「不幸の、手紙…。」




裏返して見てみればデカデカと不幸の手紙と書いてある。






「これはなんとまぁ。」
「こんなにたくさん…。」
「こんなバカなはなしある!?」




あー、うん。
確かにそうだよね。
何か美樹ちゃんに集中攻撃してるみたいだね。





「ぬーべー先生に相談してみれば?」
「ダメよ!私が犯人だって知れたらどんなに怒られるか…。」





するといきなり大きな物音と悲鳴が聞こえた。
様子を見に行けば美樹ちゃんのお母さんが倒れていた。





「お母さん!!」




携帯でテンパりながらも救急車に電話した。
ベランダが突然崩れたらしく、落下。
全治1ヶ月、と聞いた。






「これは手紙の呪いだわ、間違いない!」





急がなきゃ!と言って走って行く美樹ちゃん。
そして美樹ちゃんを追いかける郷子ちゃん。
私は美樹ちゃんの部屋で待機。だってあの二人足早いんだもん。
そして「ただいま!!」と言って帰って来た美樹ちゃんはハガキをたくさんもっていた。







「それどうするの!?」
「決まってるじゃない!電話帳見ながら手紙を書くのよ!」
「500枚全部!?」
「1枚につき十人に出せば呪いはかからないんでしょ!?お願い手伝って!!」





徹夜で手紙を書く私達。
でもいつの間にか寝たのか、朝が来てしまった。
起きたのは郵便屋さんの声で。
そして郵便受けを見に行くと…、





「な、によこれ…。」
「200…、いや、300枚はあるわ…。」
「美樹ちゃん、もしかしてこれ全部…。」
「書く!書かなきゃ不幸になるもの!」




と言って通帳をもって走って行く。




「郷子ちゃん、私達はぬーべー先生に相談しよう!」
「そうね!」




なんとか郷子ちゃんの足に追い付きながら学校にと急ぐ。
郷子ちゃんはぬーべー先生に、私はクラスメートに。そしたら広くんと晶くんが一緒に来る!と言ってくれた。
ちょうどよく、郷子ちゃん達と合流し、再び美樹ちゃん宅へ。





「ぬーべー先生!美樹ちゃん家が!」




火事になってる!
早く火を消さなきゃぁ!
うろたえてる私とは違い、晶くんとぬーべー先生はバケツに水を。広くんはお布団で火を消し、郷子ちゃんはどこからもって来たのか消火器を。





「郷子から聞いたぞ!お前って奴は。」
「ご、ごめんなさい〜!」




かんかんのぬーべー先生だが真剣な表情になった。
ギャップ萌え?




「やっぱり、不幸の手紙をもらったからなの?」
「いや、不幸の手紙が受け取った人を不幸にする力はない。むしろ…、出した者が不幸になる!」





じゃあこの場合、美樹ちゃんが不幸になって事?
何か日本横断してとんでもないものを連れて最終的に持ち主の元に帰って来る、って言ってハガキの霊呼び出してるけど…。

ブーン、ブーン



「何この虫。」




シッシッ!と追い払う。
けどまたブーンとこっちに来る。
しつこい虫だなぁ。





「この小さなハエのようなものは生霊だ。」
「生霊?」
「不幸の手紙を受け取った人達の恨みの念だ。一つ一つは小さいがこれだけたくさん集まると…、」




そしていきなり、人の形をしたハエがぬーべー先生と美樹ちゃんに襲いかかった。
なんとか美樹ちゃんを説得しているぬーべー先生。
涙を流して必死に謝る美樹ちゃん。






「ごめんなさあい〜〜〜っ!!」




ドシュッ!と嫌な音を立てて消えていく虫達。





「ぬーべー先生、背中がぁ!」
「なに、これぐらい大丈夫だ。」





私がヒーリングで治すから死なないでぇ!
あ、ちなみに私じゃなくて日向くんに訂正。ぬーべー先生との特訓でヒーリングも使えるようになりました。と言ってもまだまだ不慣れだけど。






「一希…。」
「どうしたの?美樹ちゃん。」
「郷子から聞いた。一希にも不幸の手紙が届いたって…。」
「え、ああ。」




まぁ、完全無視してたけど、そう言えばそうだった。





「それで、その…。…ごめんなさい!!」
「み、美樹ちゃん!?」




どうしたのいきなり頭さげて!
私謝られるような事してないよ!





「私のせいで、一希まで不幸になるところだった!」
「え、大丈夫だよ!私今幸せだから!」
「うん。知ってる。でも、それでも謝らせて。」





うー。どうしよう。
郷子ちゃん、助けて。





「美樹なりの謝罪なんだから、素直に受け取っときなよ。」
「郷子ちゃんが言うなら。」
「もう!一希ってば本当、郷子が好きなんだから!」




当たり前だよ!友達なんだから!
あ、でも、







「美樹ちゃんも好きだよ。」
「え、あ、ありがと…。」





そして照れながらも「私も好き!」と美樹ちゃんは言った。
うん。嬉しい。



――――――――――

最後は美樹夢になった。
友情愛です。

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