忍者のゴールデンタイム
〜♪♪
夜中。
草木も眠る丑三つ時……。忍者のゴールデンタイムに響く音色。
「学園長先生はお琴が上手なのだな!」
「お?七松小平太、潮江文次郎、食満留三郎。何してんだ?こんな時間に。」
「何って…。鍛練ですよ、こんな時間に。」
「ほう。精が出るな。」
精が出るな、って……。
満月ならまだしも、こんな真っ暗なのに隠れないでどうすんだ…。
「学園長先生は…、本当に忍者ですか?」
「違うよ。」
「え…?」
「私は忍者じゃない。」
ならなぜ、この学園の長に?
ならなぜ、忍者並の動きが出来るんだ?
「ぷ。」
「え?」
「ぷ、あはははは!」
いきなり笑い出す学園長先生。
なんだ?どうしたと言うのだ?
「いやぁね、忍者が自分の素性晒すわけないでしょーよ。ふふふ。」
ああ、なるほど。そう言う事か。
まぁ、確かに自分が忍者だと言う奴はいないだろう。
土井先生でさえ大家や近所の人達に忍者だと言うのは内密にしているんだ。なら学園長先生が今我々に内密にするのもわかる……と思う。
いやしかし、内密にするほどでもないか?この忍者を育てる学園内では。
「まぁ、そんなに考え込むなって。」
「え…?」
「お前ら三人、眉間に皺寄ってたぞ?」
マジか。三徹ぐらいしたから眉間には気を付けねば。
「でもまぁ、さっき言った通り、私は忍者ではない。」
「違うんですか?」
「ああ。忍者“みたいなもの”だ。」
「忍者…みたいなもの?」
完璧な忍者ではないと言う事なのか?
忍者のぺーぺーって事か?
「お前達は竜王丸を知ってるか?」
「はい。確か学園長先生の古くからの知人でしたよね?」
「うむ。古き良き友だが…。奴に出会ったのが私の運の尽きよ。」
えー。なんだそれ。
全然理解出来ないわー。
「(あいつのせいで、私の不老不死説が出始めたからなぁ〜。しまいにはロリ婆とか草生える。)」
「あ、そうだ。学園長先生。」
「ん?なんだ?」
留三郎が何か思い出したかのように学園長先生に耳打ちする。
聞かれたくない事か。まぁ、いい。興味ないしな!
そのあと耳打ちが終わって学園長先生が「構わん。」と一言だけ言った。
「もう夜も遅いし、寝な。潮江は三徹ぐらいだろ?」
驚いた。
三徹だって事、知っていたのか。
それともただ単に俺がギンギン五月蝿かったとか、か?
「学園長先生。」
「なんだ?」
「自分も、1年は組のように『さくら学園長』と呼んでも?」
「構わん。好きに呼べ。」
正直、1年は組が学園長先生を名前で呼んで疑問に思った。
発端は鉢屋三郎と聞いて聞きに行った事がある。鉢屋は当たり前のように『好きだから。』と答えたが多分1年は組もその理由だろうな。
だからと言って自分がこの先生…、さくら学園長を好きか、と聞かれれば答えられない。答えられないが尊敬はしている。
「なら私も!さくら学園長と呼ばせてもらう!」
「俺も、便乗してさくら学園長。」
小平太や留三郎の言葉を聞いてさくら学園長はふっと笑い、
「この時代には、驚かされてばかりだな。」
そう、答えた。
どう言う事だ?
「竜王丸といい、忍術学園の生徒といい。どうやら私は良縁に恵まれたみたいだな。」
「何年寄りじみた事を…、あ、年寄りでしたね。」
「事実だが言われると腹立つな。」
「さくら学園長まだまだ若いじゃないか!」
「本当、いくつなんですか…?」
「トップシークレット。」
「「「は?」」」
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食満が耳打ちしたのは前回のお饅頭のお礼です。
しんべヱからみんなには内緒でと言われたので二人に聞かれないように耳打ちにしました。
このあと、学園長も潮江達を名前で呼ばせてもらいます。
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