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帰りつくまでが遠足です



「ヘムヘム、遠足だ!」
「ヘム!」

「団子は持ったか!?」
「ヘム!」

「饅頭は持ったか!?」
「ヘム!」

「羊羹は持ったか!?」
「ヘム!」

「カステラは持ったか!?」
「ヘム!」

「ボーロは「全部甘味ばかりじゃないですか!!!」 やぁ、土井先生。おはよう。」
「呑気に挨拶してないで、もうみんな集まってますよ。」
「よし!ヘムヘム、出陣だー!」



おー!と校庭に走る学園長とヘムヘム。
今日は学園長の突然の思い付きで裏裏裏山まで遠足だ。
全学年、点呼を済ませて出発…なはずが…、





「七松小平太、裏裏裏山まで競走だぁー!!」
「いけいけどんどーん!!」
「お前ら落ち着け!!!」



もうこんな上司いやだ。しくしく。




ーーーーー


少々手間取りはしたが無事、裏裏裏山まで来れた。
そこは学園長のお気に入りの秘境で、桜の木がポツンと置かれている。
近くで流れる川は穏やかで、桜を映して幻想的ではある。





「毎年ここに遠足に来ますね。」
「まぁ、この桜は私が若い頃植えたからね。お花見程度に来てるのだ。」



若い頃って……。なんかしっくり来ないのはなぜなのだ?




「あの頃はよかったなぁ…。」
「学園長?」
「10代の頃は不老不死だのロリ婆だの言われなかった…、あの頃は本当よかった。」
「が、学園長…。」



てゆーか、10代から全然変わらずその姿形なのですか?




「さくら学園長ー。」
「お、どうした?猪名寺乱太郎。」
「一緒にお団子食べましょー。」
「うむ!」




若い頃に植えた桜の木。その頃から学園長は一人でここまでお花見に来ていたのだろうか?
こんな秘境に一人で…。




「…………。」



昔から立てられてただろう古い看板。
そこには《猛獣注意!》と書かれている。




「見なかった事にしよう。」



字も、学園長の字ぽかったけど気のせいだろう。




「わぁ、食満先輩すごーい。」
「食うか?しんべヱ。」
「食満留三郎、キャッチアンドリリースは常識だろ。」
「え?なんですかそれ。」
「釣って、逃す行為だ。ムダな殺生は誰得にもならん。」
「さすがさくら学園長です!」
「さすが年の功ですね!」
「きり丸あとでただ働きな。」
「そ、そんなぁ〜。」



笑い合う生徒達を見て、たまにはこう言うのもいいな、と実感する。
突然の思い付きは困るが。





「そろそろ学園に戻るか。」



いつの間にか日が沈みかけている。
楽しい時間はあっと言う間でまだまだ遊びたりない生徒は沢山いる。




「学園に着くまでが遠足だ。気を抜くな。」



はーい、と言って友達や先輩の手を握り下山する生徒達。




「よーし。七松小平太、学園まで競走だー!!」
「いけどーん!!」
「俺も!ギンギーン!!」
「負けてられるか!!」

「いい加減にしろー!!!」
(もう、本当何なのこの上司……。)




ーーーーーーーーーー

これじゃ食満が何してたのか分かんないな。
釣りだよ。

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あきゅろす。
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