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平手打ち





三治郎と朝食を食べていれば三郎と雷蔵が来て四人で食べていれば小松田くんが天女様を連れて来た。






「お、そう言えば天女様の名前は輝ならしいぞ。」





これは昨日、新野先生から聞いた話。
お互い自己紹介(新野先生はしてないが)したらしい。





「そう言えば善法寺先輩も名前教えてないのに知っていた、と言ってましたね。」
「天女様って何者なんですか?」





天女の情報をあまり知らない三治郎が聞いて来た……が、私もあまり知らない。
知っているのは私と似たような世界から来た事ぐらいか?あの平成の世から。






「僕達もその辺詳しくないよね?」
「私もよく知らない。」





雷蔵も三郎もあまり知らないようだ。
君たち聞きに行ってないの?と聞けば興味ないもーんと答えた。





「それになにも天女に聞かなくても、さくら先生に聞けばいいじゃないですか。」





同じ世界でしょ?と聞かれ多分と返す。
でも天女の事は天女しか知らんよ?
そう、四人で話してたら天女がこちらにやって来た。





「ちょっとあんた!」
「? 私の事か?」
「あんたしかいないでしょ!なに三郎と雷蔵に色目使ってんのよ!」





は?色目?
誰が誰に?私が三郎と雷蔵に?ないわー。






「それより天女様。」
「なによ!」





ふん!と鼻息荒くする天女に気になった事を一つ。






「昨日も申した通り、私の名は大川さくらだ。」





この小娘と私じゃ生きた年季が違う。
こんななりでもこの小娘よりも50も60も上だ。
まぁ、暗に、





「口の聞き方に気を付けろ。」





そう言えば天女はプルプルと震えだした。
なんだ。どうしたんだこの天女。
よく見れば名乗ったあとから三治郎も震えてるし。





「三郎〜、雷蔵〜。あの女が輝をイジメるの〜。」




三郎と雷蔵が話しかけられ二人ともどうしよう、と悩んでいる。
三治郎はプルプルが増している。






「三治郎、大丈夫か?」
「は、は、はい…!」




いやいや。
大丈夫そうに見えないよ。口元ニヤケてますが。






「も、だめ…!」




なおも言い寄られている二人を見て限界が来たのだろう、三治郎は大声で笑い出す。






「先輩達も迷惑なら迷惑って言えばいいのに…!ぷくく…!」
「ばか三治郎!そうすればさくら先生に迷惑かかるだろ!」





なんだこの二人は私の事考えてたのか。
そんぐらい、別にいいのに。





「…………。」





いまだに笑う三治郎を見て、顔を真っ赤にさせる天女様。
これはまずいかな?





「……のくせに。」
「え、な、なんですか?ぷくく…。」





キっと睨んで腕を振り上げる。





「子供のくせに、輝をバカにしないでよ!!」






パァン、と渇いた音が食堂中に鳴り響いた。







「さくら先生!」
「学園長!」





咄嗟に庇ったおかげで三治郎にけがはない。
よかった。





「さくら学園長!頬が!」
「私は大丈夫だ。」




僕のせいで、と涙目になる三治郎に安心させるように笑う。
実際、沸点の低い天女も天女だしな。





「天女様。」
「な、なによ!」





さすがに下級生に手を出したのが悪いと思ったのか、少しビビり気味だ。
だがケジメは付けてもらわねばならない。







「次、学園の生徒に手を出してみろ。」







ー貴様を敵とみなして、容赦しない。

そう言えば天女は顔を覆い食堂を出て行った。









「なんだ。天女様は食堂の手伝いに来たんじゃないのか?」
「手伝いどころじゃなくなったな。」
「天女様あんなに怖いなんて…。」
「三治郎も、ちゃんと反省しろよ。」
「はーい。」
「さくら学園長がけがしたって聞いてうわあぁぁぁ!」
「「善法寺先輩…。」」




――――――――――

三治郎には反省文を書かせました。

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あきゅろす。
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