突然の思い付き
「先生方。」
「なん、でしょうか…?」
にっこり、と。綺麗な顔で笑う学園長先生。
あ、この顔は何か企んでいるな。と先生方全員が思った。
「明日、遠足しましょうか。」
それはもう決定事項だった。
「いつも言うように、突然の思い付きはやめてくださいって!!」
「実はこれ一週間前から決めてた。」
「なら決めたその時に言うべきでしょ!なぜ前日になって…!」
「忘れてた。」
「おいぃぃぃ!!!」
見た目に反して本当この人年寄りだな!!
てかあんた本当に私達よりも年上ですか!!
「やる事はむちゃくちゃだし発想が幼すぎますよ!!」
「土井先生。」
「なんですか!?」
「一年生が入学して早一月。この学園の素晴らしさを実感させるためには行事ごとも必要です。6年後、この学園を卒業する時に『この学園の生徒でよかった!』と心から思える優しい子達になればいいのです。それに十数年、食堂を任されたおばちゃんにも息抜きが必要ですし、なにより私が暇すぎて草生える。」
最後の言葉を聞いてここにいるみんながズッコケただろう。
そんな学園長は呑気にお茶を飲んでいる。
「長いわりに最後は結局自分のためですか!!」
「じゃ各自、自分の生徒達に伝えてね〜。」
「話しを聞けー!!!!」
ーーーーーーーー
「ーーーと、言うわけで明日は遠足になった!」
「はーい。土井先生。」
「なんだ?しんべヱ。」
「バナナはオヤツに入りますか?」
「学園長先生に聞け。」
「はい。土井先生。」
「はい、庄左ヱ門。」
「これってやっぱりさくら先生の思い付きですか?」
「そ、そうだが…。」
てかなんで庄左ヱ門は学園長を名前で?
「庄ちゃん、何で学園長先生を名前で呼んでんの?」
「学級委員会委員長の鉢屋三郎先輩がそう呼んでたんだ。だから僕も、と思って。ちなみに彦四郎と尾浜先輩もそう呼んでるよ。」
「なら私達もー!!」
「おー!!」
いやいやおー!!じゃないからな?
あんなのでも一応、ここのお偉いさんだからな!?
「あ!でも待って!」
「どうしたの?乱太郎。」
「見た目若いけど一応、学園長でしょ?」
「うんうん。」
さすが、乱太郎。
お前は出来る子だと信じてたよ。
「なら『さくら学園長先生』って呼ばなきゃ!!」
「さすが乱太郎!!」
信じた私が莫迦だったー!!
「長いから『さくら学園長』でいいかな?」
「庄ちゃん頭いい!!」
「じゃあ僕、さくら学園長にバナナはオヤツに入るか聞いてくる〜。」
「行ってらっしゃーい。」
「行ってらっしゃーい、じゃなーい!!」
その後、しんべヱが名前呼び許可を貰って1年は組みんなが学園長先生を『さくら学園長』と呼んでいた。
学園長曰く、「子供の可愛いワガママじゃないか。」と。
「どんだけ子供に甘いんですか…。」
「愛してやまないぐらいだよ。羨ましいか?」
「いえ、別に。」
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